毎日何台の車がレイキャビク市内を行き来するのか定かではありませんが、相当な数だろうと思います。もちろん人口二十万程度の都市にしては、ということですよ。
レイキャビク市そのものの人口はわずか十二万強ですが、周辺の日常活動地域を含めば二十万に達します。そしてそれは車社会の二十万といって間違いありません。
バスは超高い運賃(なんと先日また値上げしてひと乗り四百クローナ!)、電車地下鉄なし、風雪雨強しのこの街では車は生活必需品です。自転車愛好者も最近頑張ってますね、この環境の中で。あれはもう真冬のジョガーと同じで、ひとつの宗教です。
さてその車都市のレイキャビク、今、どのドライバーもが直面し、イライラさせられている問題があります。道がデコボコなのですよ! もちろん舗装路なんですよ。にもかかわらずデコボコなのです。
大きな幹線道路ではそうでもないのですが、時速五十キロ以下の表通り「裏」の道になるといけません。いたるところにバケツ大、時にはタライ大の穴が空いているのです。ツーリストの人がレンターカーを運転したら「何だコレワ??」と悲鳴をあげるでしょう。
実際、時速四十キロで運転していたって、うかつにバケツ大の穴を通過したら相当なショックを感じます。車だって傷む可能性があるし。自転車野郎がハマったら死にますよ、マジで。
タテ30センチヨコ80センチくらい? こういうのがあっちにもこっちにも
車のタイヤが破裂するなどの、走行中の路上での車破損の届け出が、今年はこれまでのところ67件、昨年の同時期が41件、ということで何と六割増しです。
かつ、ドライバーが穴を避けようとして、車が必然的に蛇行状態になったりして、道路がゲームセンター化してしまうのです。これも危険です。
で、何がこのデコボコの理由なのでしょうか?
もともとアイスランドではまだスパイクタイヤが使用されています。そのためどうしても道路表面が削られ、毎年夏になるとアスファルトなどで表面を平らに戻す作業をします。
今年は特にこれまで積雪が多かったのですが、雪が溶けかけると気温が下がって氷化し、またそこに雪が積もる。というようなことの繰り返しでした。そうなるとやはり「道路」を覆っている物質にも負担が大きくなります。
そして強度の弱いところが除雪の際にはげ落ちてしまったり、くだけてしまい、このような亀裂や穴が出現してしまったのです。
この説明部分はもちろんワタシの知識ではなくてテレビのニュースの受け売りです。
ところがです。この裏にはまだ深い訳が隠されていたのです。レイキャビク市の「環境および計画課」のアウスミュンドゥル・ブリンヨウルブルスソンさんの話しによると、レイキャビク市も2008年の経済恐慌後には厳しい予算カットを強いられ続けてきました。
小学校までも含めて様々な市の関連部門が統廃合されたのは衆知の事でしたが、実は道路管理維持の材料も節約されていたのです。別に不思議でもなんでもないのですが、そのことに気がついていたのはその分野に関係する人たちだけだったでしょう。
「我々は、恐慌後に残っているもので間に合わせざるを得ないのです。パッチワークの延長ですよ」よく意味が分からなかったのですが、要するに材料も値が張るアスファルトを減らし、他の材料を混ぜたり、ピンポイントではなくて一面を舗装し直したりすべきところを、パッチワーク手法でごまかしてきた、ということのようです。
虫歯を治すのに、きちんとした充填材料ではなくて持ちの悪い低質のものを使っていたようなものですから、傷みがくるのも早かったようです。
「市は道路修理用に一億クローネを予算に追加しましたが、これでも十分ではありありません」とアウスミュンドゥルさん。問題はさらにあるのです。
肝心のアスファルトの生産が追いつかないのです。
アスファルトを生産しているフラーズブライ・コラスという会社によると、恐慌後の2009年のアスファルト需要は、バブルが弾けた2008年の需要の僅か二割にまで落ち込みました。当然会社は事業規模を縮小して生産も落ち込みます。反面、アスファルトの値段は上昇しました。
というわけで、市としては値の上がったアスファルトを買い漁らないといけませんし、それでも生産量が上がらなければ「弾がない」という事態になってしまいます。一度恐慌にはまるとまさしく「負のスパイラル」になってしまうわけですね。
ここのところアイスランドは経済回復の兆しを示しており、新しいホテルの建築があちこちで進んでいます。しかし、観光客の皆さん。オーロラと建築中のホテルと上ばかり見上げないで、しっかり足元に気をつけて歩いてください。
足元に穴を見つけたら、それこそまさしくアイスランドのこの十年弱の現実なのだ、と受け取っていただいてよいかと思います。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
レイキャビク市そのものの人口はわずか十二万強ですが、周辺の日常活動地域を含めば二十万に達します。そしてそれは車社会の二十万といって間違いありません。
バスは超高い運賃(なんと先日また値上げしてひと乗り四百クローナ!)、電車地下鉄なし、風雪雨強しのこの街では車は生活必需品です。自転車愛好者も最近頑張ってますね、この環境の中で。あれはもう真冬のジョガーと同じで、ひとつの宗教です。
さてその車都市のレイキャビク、今、どのドライバーもが直面し、イライラさせられている問題があります。道がデコボコなのですよ! もちろん舗装路なんですよ。にもかかわらずデコボコなのです。
大きな幹線道路ではそうでもないのですが、時速五十キロ以下の表通り「裏」の道になるといけません。いたるところにバケツ大、時にはタライ大の穴が空いているのです。ツーリストの人がレンターカーを運転したら「何だコレワ??」と悲鳴をあげるでしょう。
実際、時速四十キロで運転していたって、うかつにバケツ大の穴を通過したら相当なショックを感じます。車だって傷む可能性があるし。自転車野郎がハマったら死にますよ、マジで。
タテ30センチヨコ80センチくらい? こういうのがあっちにもこっちにも
車のタイヤが破裂するなどの、走行中の路上での車破損の届け出が、今年はこれまでのところ67件、昨年の同時期が41件、ということで何と六割増しです。
かつ、ドライバーが穴を避けようとして、車が必然的に蛇行状態になったりして、道路がゲームセンター化してしまうのです。これも危険です。
で、何がこのデコボコの理由なのでしょうか?
もともとアイスランドではまだスパイクタイヤが使用されています。そのためどうしても道路表面が削られ、毎年夏になるとアスファルトなどで表面を平らに戻す作業をします。
今年は特にこれまで積雪が多かったのですが、雪が溶けかけると気温が下がって氷化し、またそこに雪が積もる。というようなことの繰り返しでした。そうなるとやはり「道路」を覆っている物質にも負担が大きくなります。
そして強度の弱いところが除雪の際にはげ落ちてしまったり、くだけてしまい、このような亀裂や穴が出現してしまったのです。
この説明部分はもちろんワタシの知識ではなくてテレビのニュースの受け売りです。
ところがです。この裏にはまだ深い訳が隠されていたのです。レイキャビク市の「環境および計画課」のアウスミュンドゥル・ブリンヨウルブルスソンさんの話しによると、レイキャビク市も2008年の経済恐慌後には厳しい予算カットを強いられ続けてきました。
小学校までも含めて様々な市の関連部門が統廃合されたのは衆知の事でしたが、実は道路管理維持の材料も節約されていたのです。別に不思議でもなんでもないのですが、そのことに気がついていたのはその分野に関係する人たちだけだったでしょう。
「我々は、恐慌後に残っているもので間に合わせざるを得ないのです。パッチワークの延長ですよ」よく意味が分からなかったのですが、要するに材料も値が張るアスファルトを減らし、他の材料を混ぜたり、ピンポイントではなくて一面を舗装し直したりすべきところを、パッチワーク手法でごまかしてきた、ということのようです。
虫歯を治すのに、きちんとした充填材料ではなくて持ちの悪い低質のものを使っていたようなものですから、傷みがくるのも早かったようです。
「市は道路修理用に一億クローネを予算に追加しましたが、これでも十分ではありありません」とアウスミュンドゥルさん。問題はさらにあるのです。
肝心のアスファルトの生産が追いつかないのです。
アスファルトを生産しているフラーズブライ・コラスという会社によると、恐慌後の2009年のアスファルト需要は、バブルが弾けた2008年の需要の僅か二割にまで落ち込みました。当然会社は事業規模を縮小して生産も落ち込みます。反面、アスファルトの値段は上昇しました。
というわけで、市としては値の上がったアスファルトを買い漁らないといけませんし、それでも生産量が上がらなければ「弾がない」という事態になってしまいます。一度恐慌にはまるとまさしく「負のスパイラル」になってしまうわけですね。
ここのところアイスランドは経済回復の兆しを示しており、新しいホテルの建築があちこちで進んでいます。しかし、観光客の皆さん。オーロラと建築中のホテルと上ばかり見上げないで、しっかり足元に気をつけて歩いてください。
足元に穴を見つけたら、それこそまさしくアイスランドのこの十年弱の現実なのだ、と受け取っていただいてよいかと思います。
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