レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

12月23日の伝統「エイのおしっこ」

2012-12-19 05:00:00 | 日記
12月23日は現天皇のお誕生日ですので日本でも旗日になっていますね。アイスランドでもこのクリスマス ・イブの前日は祝日ではありませんが、ソルラウクス ・メサと呼ばれ伝統に裏打ちされた一日となっています。

話しが教会っぽくなり過ぎないよう、かいつまんで由来をご紹介しましょう。ソルラウクル・ソウルハトゥルスソンという人がいました。12世紀の始めです。当時はアイスランドの教会はまだカトリック教会で、このソルラウクスはアイスランドの教会の監督でした。

色々と優れた人であったようで、例えばアイスランドのキルキュバイヤークロイストゥルというところに初の女性の修道会を建てたりしました。

1193年の12月23日に六十歳で世を去りましたが、その後アイスランド国会によって聖人に列せられました。ちょっと手元の文献でははっきりしないのですが、この時点ではおそらく「ローカル」な聖人であったと思います。

その後1984年に、ローマ法王のヨハネ・パウロ2世がきちんと「アイスランドの守護聖人」として認めているようです。「聖人」はワタシとはかけ離れた存在なので、話しが少し曖昧です。ご容赦。

ソルラウクスの没後しばらくして、命日の12月23日に記念のミサ(メサ)が執り行われるようになり、ソルラウクル聖人のミサの日ということで、今日では12月23日そのものがソルラウクス・メサと呼ばれるようになっています。

たまたまクリスマスの直前ということで、いろいろとクリスマスに関連のある伝統が培われ、現在ではクリスマスの前座(というのは失礼ですね)というか、一部として融合しています。

そのうちのひとつに「スカウタ」と呼ばれる伝統的料理を食することがあります。これはエイ(あの海のエイ)なのですが、こちらの西部フィヨルド地帯ではこのエイを保存食として食べる習慣があったものが、20世紀になってから全国に広まったとのことです。

伝統としては、わりと最近の流行?ですよね。この「保存食」というのがミソです。百年前のアイスランドは超貧しい国でしたから、保存食も現代のようなレトルトや瞬間冷凍ではないですからね。このエイを少し腐り始めるくらいにしてそこから発酵させるんだそうです。

発酵?って、どうやって?と思ったらどうもエイの「おしっこ」、アンモニアが発酵の素になるようです。ご想像いただけると思いますが臭いのですよ。
アイスランドにはもうひとつ、サメのアンモニア発酵の料理?がありますが、 貧しい農民、漁民が多かったアイスランドでは、なかなか御馳走にありつけず、四苦八苦して色々なものを食べる習慣が出来て行ったようです。

もっとも、このスカウタ、伝統料理とはいえ皆が皆食べるわけではありません。今ではそういう伝統を守り食べる人もいる、くらいが本当なのではないかと思います。知りあいの女性が「家の下の家族が毎年(強烈に臭い)スカウタを食べるので、いつも23日は朝から出かける」と言っていましたから。

当然のことながらワタシも食べません。食べている所にも近着きません。一度、食べたことはあります。最初で最後。

この時期、スカウタの外食も無理ではないようで、レストランによっては注文できるようです(他のお客さんが文句を言わないのか?と不思議に思うのですが)。もしクリスマス前後にこちらにお出かけのことがありましたら、土産話にいかがでしょうか?

ブログ仲間のイェンス・グビュズさんから、写真の又借りです。
写真は臭わないので大丈夫ですよ。(*^^*)

ちなみにグーグルしてみたら、日本のお隣りの韓国でもこのアンモニア発酵エイを食べる地域があるとのこと。アイスランドは遠い、とお思いの方は、今度韓国料理屋さんに出かけたら見つけてみてください。


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