先週の週末、日本のふたつのテレビ局がアイスランドに関する番組を放映したと聞いています。日本のテレビの外国ロケ好きは前から承知していますが、この頃はまた輪をかけて盛んになっているのでは?という気がします。
それでもそういった番組を通して、日本の皆さんがアイスランドに興味を持ってくれるのなら、それはやはり嬉しいことですね、現地組としては。
「アイスランドに住んでいます」
「えっ?どこそれ?」
「北の小島です」
「ああ、ラグビーの盛んな」
「それはアイルランド」
こういうのはサミシイですから...(^-^;
さて、アイスランドで2008年の経済恐慌時よりググッと前に出てきた産業が観光業です。アイスランド通貨が非常に弱まったことが、国際観光的には「安い旅行」を提供することになり、多くの外国人ツーリストを呼び込むことになりました。
旅行者の数は毎年増え続けており、今年は年間百万人を越える見通しとなっています。人口に比して三倍以上の観光客が来る、ということになります。
短い期間のうちにこれだけ増えてくると、どうしても対応しきれない部分や、軋轢を生む部分が出てきてしまいます。
例えば今議論になっているのは、ゲイシル(間欠泉)その他の人気スポットで、見学料を取るかどうか、という問題です。
ゲイシルなどにも実は土地の所有者がおり、維持管理に掛かりがするので見学料を取り始めたのです。ところがそれらの人気スポットは「国民の財産」であるから、勝手に料金を徴収するのはまかりならん、と国からクレームがついているのです。
私が思うには維持管理のために料金を徴収したいというのはもっともな話しだと思います。ただそんな行き当たりばったりな工作ではなくて、所有者、国とあと観光業者が話し合ってきちんとした解決を見出すべきだと思います。
もうひとつの実際的な問題はホテルの急増です。あちこちの普通の住宅やアパートがホテルまたは観光用賃貸アパート化してきています。これによりもともと少なかった賃貸アパートが相当に不足しており、住むところがない、という人たちが増えてきているのです。
先週のニュースのインタビューでは、全く違った観点から観光客に対する不満が聞かれました。語った主はグビュズルンという女性でSamtok Idnadarinsサムタク・イズナザリンスの会長さんです。これは日本でいうところの商工会議所の様なものです。
グビュズルンさんの不満は押し寄せる観光客が十分なお金を落として行ってくれない、ということから始まりました。「豪華な客船で来る観光客はほとんど陸ではお金を使わない。欧州からフェリーで来る連中は自分の車、食料を持ち込んでくる。団体客は自前のガイドを連れてくる。おまけに観光客は付加価値税を払わないでいい。これは可笑しいではないか?」
最後の付加価値税は25,5%もあるのですが、これはいわゆるTax Freeの用紙をもらえれば最後に換金することができます。
息巻くグビュズルンさんは「でも観光客がひとつ1.290クローネもするケーキを食べさせられているのはどう思うか?」とレポーターに訊かれ、続けました。「美味しければいいじゃない?」
さすがにこのインタビューにはアイスランドの一般の人たちからかなり辛辣な批判を受けていました。「観光客が自前の食料を持ってくるのは、ここでの食費が高いからではないのか?」「アイスランド人が外国へ行ったら同じように倹約するのではないか?」「なんというぶったくり精神だ!」等々。
さて、私自身この観光立国化の経緯の中で不満があります。まず第一にレイキャビクのカフェやレストランの値段。明らかに観光客用の値段設定が常識化してきています。ケーキひとつ1.290クローネ?ワタシがこの間食べたアイスクリームは1.890クローネもしましたよ。美味しかったけどアイスの値段じゃないだろ!
ブルーラグーンの入場料もひとり5.400クローネもします。これも観光客用設定。おかげでアイスランド人の一家四人が気軽にお出かけの域ではなくなりました。これテーマパークではなくてスパですからね。
こうなった上はもう「住民割り引き」を作ってもらうしかない。免許証やクレジットカードで住民であることを示せば全て半額。これくらいやってくれなければ庶民はもう生活できないのだ!
こういう実態を日本のテレビは紹介してくれたでしょうか?
ワタシのもうひとつの不満は、この中でひとり儲けしている観光業界です。観光客が来るということには色々な形でアイスランドの全住民が関わっているといってもいいすぎではないと考えます。ですから観光業界も儲けている以上、きちんとした形で利益の社会への還元を考えるべきです。今のところそれが全然見えません。
前にも書いたことありますが、アイスランド人はどうしても目前の利益に飛びつく傾向があります。今そこにあるものをできるだけ搔き入れようとします。五年後、十年後を考えて計画を建てないと、かならずしっぺ返しを喰らうと思いますけどねえ。
日本の皆さん、テレビでどう紹介されているか知りませんが、アイスランドには問題が沢山あります。ゆめゆめ「天国に一番近い国」などとはお考えになられませぬよう...
*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
それでもそういった番組を通して、日本の皆さんがアイスランドに興味を持ってくれるのなら、それはやはり嬉しいことですね、現地組としては。
「アイスランドに住んでいます」
「えっ?どこそれ?」
「北の小島です」
「ああ、ラグビーの盛んな」
「それはアイルランド」
こういうのはサミシイですから...(^-^;
さて、アイスランドで2008年の経済恐慌時よりググッと前に出てきた産業が観光業です。アイスランド通貨が非常に弱まったことが、国際観光的には「安い旅行」を提供することになり、多くの外国人ツーリストを呼び込むことになりました。
旅行者の数は毎年増え続けており、今年は年間百万人を越える見通しとなっています。人口に比して三倍以上の観光客が来る、ということになります。
短い期間のうちにこれだけ増えてくると、どうしても対応しきれない部分や、軋轢を生む部分が出てきてしまいます。
例えば今議論になっているのは、ゲイシル(間欠泉)その他の人気スポットで、見学料を取るかどうか、という問題です。
ゲイシルなどにも実は土地の所有者がおり、維持管理に掛かりがするので見学料を取り始めたのです。ところがそれらの人気スポットは「国民の財産」であるから、勝手に料金を徴収するのはまかりならん、と国からクレームがついているのです。
私が思うには維持管理のために料金を徴収したいというのはもっともな話しだと思います。ただそんな行き当たりばったりな工作ではなくて、所有者、国とあと観光業者が話し合ってきちんとした解決を見出すべきだと思います。
もうひとつの実際的な問題はホテルの急増です。あちこちの普通の住宅やアパートがホテルまたは観光用賃貸アパート化してきています。これによりもともと少なかった賃貸アパートが相当に不足しており、住むところがない、という人たちが増えてきているのです。
先週のニュースのインタビューでは、全く違った観点から観光客に対する不満が聞かれました。語った主はグビュズルンという女性でSamtok Idnadarinsサムタク・イズナザリンスの会長さんです。これは日本でいうところの商工会議所の様なものです。
グビュズルンさんの不満は押し寄せる観光客が十分なお金を落として行ってくれない、ということから始まりました。「豪華な客船で来る観光客はほとんど陸ではお金を使わない。欧州からフェリーで来る連中は自分の車、食料を持ち込んでくる。団体客は自前のガイドを連れてくる。おまけに観光客は付加価値税を払わないでいい。これは可笑しいではないか?」
最後の付加価値税は25,5%もあるのですが、これはいわゆるTax Freeの用紙をもらえれば最後に換金することができます。
息巻くグビュズルンさんは「でも観光客がひとつ1.290クローネもするケーキを食べさせられているのはどう思うか?」とレポーターに訊かれ、続けました。「美味しければいいじゃない?」
さすがにこのインタビューにはアイスランドの一般の人たちからかなり辛辣な批判を受けていました。「観光客が自前の食料を持ってくるのは、ここでの食費が高いからではないのか?」「アイスランド人が外国へ行ったら同じように倹約するのではないか?」「なんというぶったくり精神だ!」等々。
さて、私自身この観光立国化の経緯の中で不満があります。まず第一にレイキャビクのカフェやレストランの値段。明らかに観光客用の値段設定が常識化してきています。ケーキひとつ1.290クローネ?ワタシがこの間食べたアイスクリームは1.890クローネもしましたよ。美味しかったけどアイスの値段じゃないだろ!
ブルーラグーンの入場料もひとり5.400クローネもします。これも観光客用設定。おかげでアイスランド人の一家四人が気軽にお出かけの域ではなくなりました。これテーマパークではなくてスパですからね。
こうなった上はもう「住民割り引き」を作ってもらうしかない。免許証やクレジットカードで住民であることを示せば全て半額。これくらいやってくれなければ庶民はもう生活できないのだ!
こういう実態を日本のテレビは紹介してくれたでしょうか?
ワタシのもうひとつの不満は、この中でひとり儲けしている観光業界です。観光客が来るということには色々な形でアイスランドの全住民が関わっているといってもいいすぎではないと考えます。ですから観光業界も儲けている以上、きちんとした形で利益の社会への還元を考えるべきです。今のところそれが全然見えません。
前にも書いたことありますが、アイスランド人はどうしても目前の利益に飛びつく傾向があります。今そこにあるものをできるだけ搔き入れようとします。五年後、十年後を考えて計画を建てないと、かならずしっぺ返しを喰らうと思いますけどねえ。
日本の皆さん、テレビでどう紹介されているか知りませんが、アイスランドには問題が沢山あります。ゆめゆめ「天国に一番近い国」などとはお考えになられませぬよう...
*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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私はアイスランドが2年前ほどから北欧に興味があり、その中でもアイスランドに特に興味があります。他の北欧諸国を含め、アイスランドの歴史が好きで、その歴史を是非現地で感じたいとも思っております。
日本のテレビも最近よく世界のいろんな絶景だとかそういうのを特集する番組が多くなってきてる中、アイスランドだけは北欧というくくりから外されてたりしてて毎度悲しい思いをしてたのですが、先日2つのテレビ番組が同じ日にアイスランドの特集をするということでとても楽しみにしてたところです。しかも地上波でした。
内容は「世界一エコな国」というテーマでアイスランドのエコについて特集してたのと、日本のSF作家が憧れのSF作家の本のテーマになったアイスランドを訪れて色々する…みたいなものでした。
やはりテレビです。マイナスイメージなところは放送されませんでした。主様の書かれている問題など、一切放送されていません。ただ、アイスランドはエコで自然に愛されているということはすごく伝わりました。
私はアイスランドに住むかというのはともかく、観光では是非行きたいと思っています。絶対行きます。しかし、テレビでしか流れない良い情報だけではなく、たくさんの問題を抱えているのをこの記事を読んで痛感しました。勿論全く知らないことはなかったのですが、料金が観光客用料金になってるのはさすがにびっくりしました。やはり現地でしかわからないことがあるんですね。私がアイスランドに行けるようになったときは、このような観光業を含む難しい問題が少しでも解決して、現地に住む人も、観光に来た人も楽しめたらなぁと思いました。高1がこのような長文失礼いたしました。
日本国内ですが、一応観光地&別荘地に住んでいます。年々自然を切り開いて、或いは畑だった所に建つのは別荘別荘別荘。既に環境破壊のレベルだと思っています。しかも別荘に来る人たちは多くが自動車で食糧を買い込んできます。そして帰る時地域のゴミ集積所に分別もせず、決められたゴミ袋にも入れていないゴミを放り込んで帰って行きます。そう言うゴミは自治体のゴミ集積車は絶対収集しません。結局は地域住民が分別、袋詰めして出すのです。いくら別荘で出たゴミは持ち帰るように広報しても無駄だと言う状況です。冬に来る人たちは、雪で道幅の狭まった道に平気で車を止めたままにし、他の車が通れない。
観光客も平気で地域住民のうちの敷地に入り込んで来る、植えてある花を折って行く、ゴミを捨てる。キャンプ場では夜中過ぎまで大騒ぎ・・・実は辟易しています。これがまだ地元にお金を落としてくれるのならマシですが、決してそう言う訳ではない。
確かに、観光客目的の食べ物屋で、価格が高いと思う所もあるのは問題ですが、基本的には地域住民も使う場なのでそう高くは出来ないです。
多分今後、別荘の建築制限は必要になって来るだろうと思っていますが・・・
アイスランドでも住宅問題は起きているのですね。後、物品に余りに価格設定が高いのも問題です。
何とかならない物でしょうか。
コメントをありがとうございます。
高校一年生なのですか。これからいろいろとものを見聞きして情報を貯えていく時期ですね。情報を得る時はテレビ、雑誌が伝えるものを鵜呑みにせず、ご自身で咀嚼して理解していくことが大切だと思います。
このブログ自身、私の個人的な意見に過ぎませんから「そういう意見もある」というものとして捉えておいてください。
いつかこちらにいらっしゃった時に、桐岡さんご自身での判断と意見をぜひ聞かせてください。
ご自身の地元の様子を知らせていただきありがとうございます。どこであるのかも存じませんので何も意見はできませんが。
ブログの中で述べたグビュズルン女史の発言はこちらの英字週間紙でも取り上げられています。
http://grapevine.is/news/2014/06/27/business-sector-believes-tourists-should-pay-more/
最近やっと(すみません)ブログを拝見する時間の余裕ができたので、ちょこちょこコメントさせて頂きます。
街のカフェやレストランの値段が高すぎる件、同感です!お友達と気軽にカフェなんて行けないので、自宅のお茶会ばかりやっています。そして1万クローナ弱払ってコース料理食べても、記憶に残らないような味だったりするし、家族持ちだとファーストフードに行くだけで破産しそうなので自炊必須です。
近所のアイスランド人女性が、「最近の街は、ホテルとレストランだらけになっちゃってびっくりしたわ」なんて言っていました。
それではまた。
コメントありがとうございます。歓迎します。
ですよねー、値段。特に外食。
私がツーリストだったら、絶対カップラーメン持参で一食浮かせますね。
実は、宿と機関から返事がなくてどうしようという状態です。
サマースクールに参加されるのですか?
サマースクールの方で、参加者のための宿舎を用意していないのでしょうか?もし用意していないなら、非常に不自然なことに思えますね。
普通、夏休み中の学校などが、その期間安い宿として提供されるものなのですが...
返事がないとのことですが、繰り返しプッシュしてみてください。全てが日本のようなペースで運ばれるわけではありませんから。イーサフョルズルは人口二千にみたない小さな田舎町です。そのつもりで我慢強くトライしてみてください。
もしよんど困ったらメイルで知らせてください。
nishimachihitori@ gmail.com
寝袋持参で共有部屋のパターンが一番安いそうですね。