いやあ、知りませんでした。妖怪「件(くだん)」。
先日放送された新日本風土記。お題はズバリ「妖怪」。再放送を録画して見たのですけど、そのなかで紹介された妖怪のひとつです。再々放送が8月31日(土)午前6時からあるそうですから見逃された方はまだチャンスがあります。
放送では定番の「河童」「人魚」が多く取り上げられました。オオッと思ったものでは「子泣きじじい」や「ヒバゴン」、「真っ黒クロスケ」みたいなものなど、なかなか興味深かったです。
そして、お題の妖怪「件(くだん)」です。
古くから日本各地で知られる妖怪で、「件」という漢字は人偏に牛。この文字のように、半人半牛の姿をした怪物として知られているそうです。
幕末頃に広まった伝承では、牛から生まれ、人間の言葉を話すとされています。作物の豊凶や流行病、旱魃、戦争など重大な予言をして、数日で死ぬそうですが、予言したことは間違いなく起こるそうです。また「件」の絵姿は厄除招福の護符になるそうです。
江戸時代の越中・立山では
「これから数年間疫病が流行し多くの犠牲者が出る。しかし自分の姿を描き写し絵図を見れば、その者は難を逃れる」と予言した。とか
出雲の田舎では
「『今年から大豊作になるが初秋頃より悪疫が流行る。』と予言し、3日で死んだ」とか
明治時代の五島列島では
「日本はロシアと戦争をする」と予言をして死んだ
などの話があるそうです。
これを見て真っ先に思い出したのが
『よって件(くだん)のごとし』
の言葉です。デジタル大辞泉によると、
前記の通りである。で、証文・手紙・公用文書などの末尾に用いる決まり文句。
だそうです。
私がこの言い回しを覚えたのは上方落語「延陽伯(えんようはく)」でした。ググると桂枝雀師匠のものが出てきますが、私は笑福亭仁鶴師匠ではまりました。その筋は、
大家さんの紹介で妻をもらった八五郎ですが、彼女の言葉づかいがあまりにも丁寧なために起きる騒動話です。この「延陽伯」は江戸落語に移植されて「たらちね」という題でやられてます。この「よって件のごとし」が使われているところです。
嫁、
「あぁ~ら我が君、もはや日も東天に輝きませば、お起きあって、うがい手
水に身を清め、神前仏前に御灯(みあかし)をあげられ、朝餉の膳につき給う
べし。恐惶謹言(きょ~こぉきんげん)」
辰
「ホォ~、飯を食ぅのが恐惶謹言なら、酒を飲むのは酔って件(くだん)の如しか」
という落ちでした。
この落語以外「よって件のごとし」というもの言いには接していませんので、久々に聞いた心地がしました。いや、逆に妖怪「件」が件の予言が外れない様に、嘘偽りがないという意味で「よって件のごとし」の語源かしらと思っちゃいました。
ウイキによると妖怪「件」の記述がみられるのは江戸時代後期。ところが「件の如し」という決まり文句は既に『枕草子』などにも見えるため、妖怪「件」は民間語源の一種と考えられるそうです。
新日本風土記「妖怪」。
再々放送8月31日(土)午前6時です。
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先日放送された新日本風土記。お題はズバリ「妖怪」。再放送を録画して見たのですけど、そのなかで紹介された妖怪のひとつです。再々放送が8月31日(土)午前6時からあるそうですから見逃された方はまだチャンスがあります。
放送では定番の「河童」「人魚」が多く取り上げられました。オオッと思ったものでは「子泣きじじい」や「ヒバゴン」、「真っ黒クロスケ」みたいなものなど、なかなか興味深かったです。
そして、お題の妖怪「件(くだん)」です。
古くから日本各地で知られる妖怪で、「件」という漢字は人偏に牛。この文字のように、半人半牛の姿をした怪物として知られているそうです。
幕末頃に広まった伝承では、牛から生まれ、人間の言葉を話すとされています。作物の豊凶や流行病、旱魃、戦争など重大な予言をして、数日で死ぬそうですが、予言したことは間違いなく起こるそうです。また「件」の絵姿は厄除招福の護符になるそうです。
江戸時代の越中・立山では
「これから数年間疫病が流行し多くの犠牲者が出る。しかし自分の姿を描き写し絵図を見れば、その者は難を逃れる」と予言した。とか
出雲の田舎では
「『今年から大豊作になるが初秋頃より悪疫が流行る。』と予言し、3日で死んだ」とか
明治時代の五島列島では
「日本はロシアと戦争をする」と予言をして死んだ
などの話があるそうです。
これを見て真っ先に思い出したのが
『よって件(くだん)のごとし』
の言葉です。デジタル大辞泉によると、
前記の通りである。で、証文・手紙・公用文書などの末尾に用いる決まり文句。
だそうです。
私がこの言い回しを覚えたのは上方落語「延陽伯(えんようはく)」でした。ググると桂枝雀師匠のものが出てきますが、私は笑福亭仁鶴師匠ではまりました。その筋は、
大家さんの紹介で妻をもらった八五郎ですが、彼女の言葉づかいがあまりにも丁寧なために起きる騒動話です。この「延陽伯」は江戸落語に移植されて「たらちね」という題でやられてます。この「よって件のごとし」が使われているところです。
嫁、
「あぁ~ら我が君、もはや日も東天に輝きませば、お起きあって、うがい手
水に身を清め、神前仏前に御灯(みあかし)をあげられ、朝餉の膳につき給う
べし。恐惶謹言(きょ~こぉきんげん)」
辰
「ホォ~、飯を食ぅのが恐惶謹言なら、酒を飲むのは酔って件(くだん)の如しか」
という落ちでした。
この落語以外「よって件のごとし」というもの言いには接していませんので、久々に聞いた心地がしました。いや、逆に妖怪「件」が件の予言が外れない様に、嘘偽りがないという意味で「よって件のごとし」の語源かしらと思っちゃいました。
ウイキによると妖怪「件」の記述がみられるのは江戸時代後期。ところが「件の如し」という決まり文句は既に『枕草子』などにも見えるため、妖怪「件」は民間語源の一種と考えられるそうです。
新日本風土記「妖怪」。
再々放送8月31日(土)午前6時です。
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