愛猫・西子と飼い主・たっちーの日常

亡き西子とキジロウ、ひとりっ子を満喫していたわおんのもとに登場した白猫ちくわ、その飼い主・たっちーの日常…です。

モンとポポ2

2006年06月03日 | ネコの寓話
 翌日から、ポポは早速他の猫たちと一緒に元気に遊び始めました。
 それまでは、モンが心配してなかなか他の猫と遊ばせてくれなかったので、ポポは大喜びです。
 一方、モンはポポの世話をしなくてもよくなったら、あれもやろう、これもやろうって思っていたはずなのに、何もする気になりません。結局、遊んでいるポポが見える位置でごろんと横になっています。
「兄さん、僕は元気なんだから、自分のやりたいことをやればいいじゃないか」
 こんなふうに促されてもモンはどこか落ち着きません。
 結局、モンが所在なさ気のまま1週間が過ぎようとしたとき、ひょっこりとタビが姿を現しました。
「2人とも、この1週間は楽しく過ごせたかい?」
「タビ、ありがとう。楽しかったよ」とポポ。
「なんだか落ち着かなくて…。何もする気にならなかったんだ」とモン。
 そんなモンを見て、タビが聞きました。
「ねえ、君はこれまで何のためにポポの世話をしてきたのかな?」
 タビの言葉を聞くと、モンはすっかり考え込んでしまいました。
 すると、タビがいたずらっぽくいいました。
「実は、僕、不思議な力は使っていなかったんだ。ポポは、病弱かもしれないけど、今までもこれからもそんなに心配するほどのことはないんだよ」
 タビは、びっくりして顔を見合わせる2匹にウインクすると、ぴょんと跳ねるように、どこかに消えてしまいました。
 翌日、他の猫たちと一緒に元気に遊ぶポポがいました。でも、もう側にモンの姿はありません。自分のお気に入りの場所を見つけ、のーんびりお昼寝を楽しんでいます。
 そんな2匹を見渡せる高いビルのてっぺんで、タビがにっこりと微笑んでいました。
(おわり)

作者たっちーから:お世話をすることはとってもいいことなので、つい自分を犠牲にしてやりすぎてしまいがち。ケアしている自分に酔って、存在意義にさえなってしまうことも。そうなると、ケアされるほうは自立できません。気をつけたいですね。
コメント (4)
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