大きな町の小さな公園に、ユウという耳と足先だけが黒いパンダ柄のネコが住んでいました。
ユウは、すでに済んでしまったことを後悔ばかりしています。
「あんなこと、言わなければよかった」
「あのとき、はっきり言えばよかった」
などなど、いつも後悔ばかりしています。
この日は、特別に後悔が多かったようで、さっきから今日一日を振り返って息ばかりついています。
公園の芝生にごろんとしながら、何度目かのため息をついていると、どこからともなくネコが現れて、ユウの顔を除きこみました。真っ白い身体に4本の足下としっぽの先だけが、まるで足袋を履いているようにグレーの毛が生えているネコ。タビです。タビは不思議な力をもったネコです。
「さっきから、ため息ばかりついているね」
「そうなんだよ。今日は後悔することばかりで嫌になっちゃう」
「何があったんだい?」
「まず、縄張りの点検中にボスネコのフーにあったんだ。君も知ってるだろ? 身体の大きいトラネコだよ。僕の縄張りは、4丁目のサクラ並木の6本目までのはずなのに、アイツときたら『今日からお前の縄張りは5本目までだ』って勝手に決めちゃって。でも、僕は何も言えなくて…」
「そう、それは災難だったね」
「その後に、レイにあったんだ。君も知ってるだろ? あの長い毛のとっても素敵なネコだよ。彼女、とっても落ち込んでいるようだったから、何か話しかけようと思ったんだけど、そのまま通り過ぎちゃって。何でもいいから話しかければよかったんだよなぁ…」
「そう、それは残念だったね」
「あー、僕って本当にダメなネコだなぁ」
ユウはそういうと、あきらめたように芝生にごろんと横になりました。
そんなユウを見て、タビが言いました。
「じゃあ、今日をもう一度、経験させてあげようか?」
「えー、そんなことできるの?」
「うん、でも今日一日だけ。それ以上は無理だからね。それでもいい?」
「うん、OK! よかったぁー。今日は、特別に後悔していたから、うれしいよ」
「じゃあ、今日はもうおやすみして。明日、朝起きたらもう一度、今日が経験できるからがんばってね」
「うん、今日はもう寝るよ。ありがとう。タビ」
ユウは、そういうと眠りにつきました。タビは、ユウが眠りについたことを確認すると、「あおーん」と一声鳴き声をあげて、どこかに消えてしまいました。
(つづく。今回のお話しは全3回です)
ユウは、すでに済んでしまったことを後悔ばかりしています。
「あんなこと、言わなければよかった」
「あのとき、はっきり言えばよかった」
などなど、いつも後悔ばかりしています。
この日は、特別に後悔が多かったようで、さっきから今日一日を振り返って息ばかりついています。
公園の芝生にごろんとしながら、何度目かのため息をついていると、どこからともなくネコが現れて、ユウの顔を除きこみました。真っ白い身体に4本の足下としっぽの先だけが、まるで足袋を履いているようにグレーの毛が生えているネコ。タビです。タビは不思議な力をもったネコです。
「さっきから、ため息ばかりついているね」
「そうなんだよ。今日は後悔することばかりで嫌になっちゃう」
「何があったんだい?」
「まず、縄張りの点検中にボスネコのフーにあったんだ。君も知ってるだろ? 身体の大きいトラネコだよ。僕の縄張りは、4丁目のサクラ並木の6本目までのはずなのに、アイツときたら『今日からお前の縄張りは5本目までだ』って勝手に決めちゃって。でも、僕は何も言えなくて…」
「そう、それは災難だったね」
「その後に、レイにあったんだ。君も知ってるだろ? あの長い毛のとっても素敵なネコだよ。彼女、とっても落ち込んでいるようだったから、何か話しかけようと思ったんだけど、そのまま通り過ぎちゃって。何でもいいから話しかければよかったんだよなぁ…」
「そう、それは残念だったね」
「あー、僕って本当にダメなネコだなぁ」
ユウはそういうと、あきらめたように芝生にごろんと横になりました。
そんなユウを見て、タビが言いました。
「じゃあ、今日をもう一度、経験させてあげようか?」
「えー、そんなことできるの?」
「うん、でも今日一日だけ。それ以上は無理だからね。それでもいい?」
「うん、OK! よかったぁー。今日は、特別に後悔していたから、うれしいよ」
「じゃあ、今日はもうおやすみして。明日、朝起きたらもう一度、今日が経験できるからがんばってね」
「うん、今日はもう寝るよ。ありがとう。タビ」
ユウは、そういうと眠りにつきました。タビは、ユウが眠りについたことを確認すると、「あおーん」と一声鳴き声をあげて、どこかに消えてしまいました。
(つづく。今回のお話しは全3回です)