雨曇子日記

エイティライフの数々です

伊豆沼の蝦蟇

2018-07-07 15:05:04 | 俳句修行

「澪」 7 月号掲載の句にもう少しお付き合いください。

 

伊豆沼に闇が居据わる蝦蟇の声     三浦克實

 

数万羽いた雁が北国に帰って大きな空き家のような伊豆沼。

夏の夜はとっぷりと暮れ、あたりは漆黒の闇です。その闇の中から蝦蟇の鳴き声が、地響きのように聞こえてきたのです。

 

昼間のことですが、私は手賀沼の遊歩道を横断中の蝦蟇に会ったことがあります。両手からはみだすほどの大きさですが、抱き上げたいとは思いませんでした。悪いから表情には出しませんが、正直なところ少し不気味です。彼は、私を認めても、あわてるふうもなく悠然と沼に入って行きました。

そんな蝦蟇たちが何百、いや何千匹と集まって、天下の伊豆沼で鳴くさま、いやそのコーラスはさぞ聴きごたえ、見ごたえがあることだろうと思います。

でも、絵に描くとすれば、黒一色に塗りつぶすしかありません。


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