「澪」 7 月号掲載の句にもう少しお付き合いください。
伊豆沼に闇が居据わる蝦蟇の声 三浦克實
数万羽いた雁が北国に帰って大きな空き家のような伊豆沼。
夏の夜はとっぷりと暮れ、あたりは漆黒の闇です。その闇の中から蝦蟇の鳴き声が、地響きのように聞こえてきたのです。
昼間のことですが、私は手賀沼の遊歩道を横断中の蝦蟇に会ったことがあります。両手からはみだすほどの大きさですが、抱き上げたいとは思いませんでした。悪いから表情には出しませんが、正直なところ少し不気味です。彼は、私を認めても、あわてるふうもなく悠然と沼に入って行きました。
そんな蝦蟇たちが何百、いや何千匹と集まって、天下の伊豆沼で鳴くさま、いやそのコーラスはさぞ聴きごたえ、見ごたえがあることだろうと思います。
でも、絵に描くとすれば、黒一色に塗りつぶすしかありません。
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