うまいちゃんの涙

うまいちゃんの小学校では、毎年１１月に「風の子ランニング記録会」が行われます。
「風の子になって走ろう」と、休み時間などランニングに全校で取り組んできた成果を記録する大会です。

１年生は６００mです。
「お母さん見にきてね。がんばるから」と言って、うまいちゃんははりきって登校しました。

１年女子は６０人が同時にスタートしました。
うまいちゃんは顔を真っ赤にして走りました。
でも、集団のまん中からなかなか抜け出せません。
前へ、前へとあせっているうちに、早くもゴールです。
駆け抜けるうまいちゃんに、６年生のお姉さんが「２５」の順位カードを渡してくれました。
うまいちゃんは、フーッとため息をつきました。
力を出し切れないうちに終わってしまった感じです。
だんだんくやしさがこみあげてきました。そして、教室に引き上げる途中おかあさんを見つけました。
おもわず、うまいちゃんは駆け寄ってお母さんにしがみつきました。涙がこみあげてきました。

「うまいちゃん、がんばったじゃない。元気で走れたわよ」お母さんはそういって、そっと涙をふいてくれました。

教室に入って、先生から記録カードをもらいました。
「うまいちゃん、すごいわ。練習の記録を４秒も縮めたのよ」おいしい（大石）先生はにこにこして記録証を渡してくれました。

そこには６００m走３分２５秒と書かれていました。

うまいちゃんの顔に笑顔が戻りました。