四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

擬態の効果について

2005-10-22 16:31:00 | 
本州の鳥たちはカバマダラを知らない。では、本州の鳥たちはツマグロヒョウモンを食べるのでしょうか?
カバマダラは、アフリカおよび東洋の熱帯・亜熱帯に広く分布する種で、台湾、琉球南部(与那国島・西表島・石垣島・宮古島)ではふつうに観られ、沖縄本島から九州本土間の島では良く採取されるそうです。カバマダラは、トウワタを食草とし、トウワタに含まれるアルカロイドを体の中に溜め込んでいるので、鳥たちはカバマダラを食べると、その苦い味に辟易して、カバマダラの姿を見ても二度と食べようとしないわけです。
春にやってくるツバメやカッコウなどの夏鳥は、冬の間南方に渡るわけなので、カバマダラを経験済みでしょう。すると、その後は本州でツマグロヒョウモンを見ても食べようとしないでしょう。しかし、スズメやヒヨドリのような留鳥はカバマダラを知らないので、もしかしたら、ツマグロヒョウモンを美味しく食べているかもしれません。
ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科、カバマダラはマダラチョウ科に属し、遺伝的にはまったく系統が違うのに、なぜ模様が似ているのでしょうか。カバマダラを鳥たちが食べようともしないのを見て、じゃあ、あの模様に似せてやろう!と思ったとしても、自分で色を染めるわけではありません。模様は遺伝で決まっているので自由に変えることはできません。
さらに、メスアカムラサキも独自にカバマダラの模様に似せているのですから、自然界の擬態というからくりは、ほんとうに不思議としかいいようがありません。
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