四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

ヒメアカタテハの渡りについて

2020-02-04 15:38:00 | 
 昨年(2019年)は、相模原市や町田市辺りではヒメアカタテハがとても多く見られました。


2019年初見のヒメアカタテハ 2019年3月13日 町田市

こんなに多いのには何かわけがありそうだ。ヒメアカタテハが多い南方からの渡りも関与しているのでは?と渡りの謎に関心を持ち始めていたところ、ヒメアカタテハの渡りについての報告が舞い込みました。

昨日届いた日本鱗翅学会発行の「やどりが」(資料1)に掲載された、ヒメアカタテハが真夏(2019年8月5日)の未明に船の甲板に群がってやってきたという報文です。

海外では、ヒメアカタテハが春に北アフリカからヨーロッパに向けて海を渡り、世代交代しながらイギリス辺りまで北上し、秋には南下して戻ってくることが知られています。北米でも同様な渡りが行われているようです。

日本ではアサギマダラの渡りがよく知られ、マーキング調査によってその渡りのルートも大分わかってきましたが、ヒメアカタテハの日本辺りでの渡りについては報告が今まで見当たりませんでした。 今回の報告は、新潟県村上市粟島沖10㎞の遊漁船での観察例で、月もない深夜未明に船の灯りに集まってきたという報告でした。真夜中に渡りをしているとは驚きの内容です。

 そこでヒメアカタテハの渡りについて何か手がかりがないものか、ネットで調べたところ、粟島にはヒメアカタテハが、畑があればどこにでもいた(2017年10月7日)という記事がありました(資料2)。沖合の小島にいた多数のヒメアカタテハは、渡りをしてやってきた可能性が大きいのではと思います。

 渡り鳥の観察ポイントになっている飛島(山形県酒田港から北西に39km)でも、アサギマダラのほかにヒメアカタテハがどっさり入っており、との表現で、渡りをする蝶として取り上げていました(資料3)。

 日本近辺ではヒメアカタテハがどこからどこに渡りをしているのか?これからの新知見の報告が楽しみです。

参考資料
1)大類雄一(2019) ヒメアカタテハの渡りを確認. やどりが. (263):33-34.
2)http://www.ybird.jp/nakano/index.cgi?mode=res_srh&no=463_201710
3)http://birder-yamame.air-nifty.com/bird/2008/10/20081017-19-e08.html


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2 コメント

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この時期、モンキチョウよりも少し早くヒメアカタテハが見られるのが例年の傾向です。 (ダンダラ)
2020-02-09 16:06:25
モンキチョウは発生すると、それ以降は天気さえ良ければ同じ場所で撮影できるのですが、ヒメアカタテハは翌日には見られなくなってしまいます。
どこかに移動するのかなと思っていましたが、やはりそういう性質があるんですね。
その場所でも発生をしていますから、アサギマダラのようにかなりの割合で移動するというものでもないでしょうが、定住するもの、移動するもの色々あるんでしょうか。
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ダンダラさん (twoguitar)
2020-02-09 17:00:21
コメントありがとうございます。
ヒメアカタテハがモンキチョウよりも早く発生するとは河原の暖かさの故でしょうか。
ヒメアカタテハは移動する習性があるので、移動の可能性ももちろんありますね。ヒメアカタテハの移動については移動するのではないかとの推測や移動の調査が必要だという提言が見られるものの、実態が不明で今のところ謎のままの状況と思います。
一方で、ヒメアカタテハ成虫はキタテハ成虫のようには耐寒性がないとも報告されているので、真冬に出現しても、寒さのために★になってしまった可能性もあるのかもしれません。
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