日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

日本共産党東京都議会議員の池川友一のオフィシャルブログです。地方政治の現場からいろいろと発信していきます。

#この髪どうしてダメですか という子どもたちが発する素朴な疑問に、学校や教育行政はどれだけ向き合えているのか

2019-08-01 | 日々思うこと、考えたこと

 「生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わない」と、東京都教育委員会が発言したことが報道されています。(参考:「毎日」都立高の頭髪黒染め指導、反対署名1.9万人 都教委「中止」明言

 冒頭の言葉は、30日に「#この髪どうしてダメですか・署名プロジェクト」が1万9138人分の署名を提出した際、東京都の課長が述べた言葉です。メディアの取材が入る中で、明言したことは極めて重要な意義があります。

■「地毛証明書」の提出をめぐって

 2017年4月に「朝日」が「『地毛証明書』、都立高の6割で 幼児期の写真を要求も」という記事を報道しました。これを受けて、脳科学者の茂木健一郎さんは「より悪いのは都立高校か、それとも世間なのか、私にはわからない、あえていえば、どちらも悪いだろう」と述べています。

 また、教育評論家の尾木直樹さんは、「現場の苦労はわかる、でも、頭髪は体の一部、黒髪直毛を強制するなんて人権侵害」だと述べています。

 今回の署名提出における報道には「校長が保護者に、生徒の髪が生来のものであることを書面により届け出を求める場合がある。その場合は、事実誤認による指導を行わないようにするための未然のための趣旨であること、届け出の提出は任意であることを生徒、保護者に明確に伝える」(HUFFPOST「学校での、地毛の「黒染め」指導はやめて。約2万人の署名が集まる。」)とあります。

 「事実誤認による指導を行わないようにするため」と言いますが、提出を求めることそのものが、人権侵害だという指摘に向き合うものではありません。

 私も、この「地毛証明書」について、都議会文教委員会で質問したことがあります。「地毛証明書」をどうやって求めているのかということを聞いたのに対して、

 都立高校では、頭髪指導において、生来の頭髪が茶色い生徒などに対して、誤った事実認識による指導を行わないようにするため、いわゆる地毛証明書など書面による届け出の提出を求めている場合がございます。
 生徒、保護者に対して届け出が任意であることを明確に伝え、個別に対応することは当然のことであると考えております。

 と、答えが返ってきました。(2018年3月16日都議会文教委員会

■なぜ、黒髪ストレートでなければならないのか

 校則に「染髪、パーマは禁止」と書いてあるケースは少なくありません。つまり、黒髪ストレートであることが求められるわけです。

 生徒からの「なんで黒髪ストレートじゃないといけないんですか?」という素朴な疑問に、「決まりだから」「校則に書いてあるから」など、学校現場では真正面から答えていないと思うのです。

 この問題も、都議会で質問したことがあります。次のようなやりとりになりました。

(池川) 地毛証明書の手続もおかしいと私は思いますが、黒髪ストレートがスタンダードなのかということが、そもそも違和感があります。
 シンプルに伺いますが、先ほど学校に応じて学校の校則については定めるんだとありましたが、髪の毛の色はなぜ黒でなければだめなのか、そして、生徒から仮に黒髪ストレート以外はなぜだめなのかと問われれば、何と答えるんでしょうか。

(教育長) 地毛証明についていろいろ一時報道がありましたが、黒髪じゃないといけないとか、あるいはストレートじゃないといけないとか、そういうことをいっているんじゃなくて、要は、茶色く染める、あるいはパーマをかける、こういうことはお金もかかりますし、いろいろ、生徒同士で競争状態になったりして、要は、学習をしたりスポーツをしたりということ以外のことで、いろいろ、せっかくの大事な時間とエネルギーを費やしてしまうというようなことがないように、そういうことでいっているわけで、別に黒髪じゃなきゃいけないんだとか、ストレートじゃないといけないんだとか、そういうことではないわけですね。
 そこを、報道においても少し誤解があるようなんですけれども、我々のいっているのは、そういう、華美になると、お金をかけることにばかり気持ちが行ってしまう、そういうことを防止するというためにやっているということであります。

 この答弁は、本当に驚愕でした。

 答弁を要約すると、

  • 黒髪ストレートじゃなきゃいけないとは言っていない
  • 茶髪やパーマはお金もかかる
  • 生徒同士で競争状態になる
  • 要は学習やスポーツ以外のことでせっかくの大事な時間とエネルギーを費やしてしまうという意味
  • 華美になると、お金をかけることにばかり気持ちが行くのでそれを防止するというため

 これで、#この髪どうしてダメですかという疑問に答えているとはとても言えません。

 「赤旗」に掲載された記事でも、「髪を染めちゃいけないと書いてあるのに、私は黒く染めてこなければいけないのですか」と聞いたら「染髪と黒染めは違う」と先生が回答したという事例が紹介されています。

 子どもたちの「なぜ」に向き合うことはとても大事だと思うのです。社会に出れば、理不尽なことがあるわけですが、理不尽なことに「おかしい」ということを言えるようになることが重要であって、理不尽に慣れさせるというのは教育ではありません。

■そもそも校則は法的拘束力があるのか

 教育研究家の妹尾昌俊氏が「毛染め強要あるいは禁止から考える、校則はなんのため?【もっと学校をゆるやかにしよう】」という記事の中で、教育新聞で行った憲法学者の木村草太氏との対談を紹介しています。

 そこでは、

  • 校則の法的な位置付け。校則に従わなければいけない、と定めた法律はない。「学校には校則を定めても、それを強制執行する権限がない」ということが出発点。
  • 校則は、「学校の教育指導権および施設管理権の行使基準を定めたもの」
  • 校則が問題なのではなく、校則に基づいた指導が行き過ぎているかどうか、つまりその指導権限上、適切な範囲内に収まっているかどうかを考える必要がある

 などが、議論をされています。

 そして、誰かに迷惑をかける行為は、他の子の学習権の侵害となる可能性がある一方で、髪の毛の色や制服を着るなど「誰の権利も侵害していないし、法律にも違反しない」ということは、は処分対象にはできないでしょうと述べています。

■こういう状況を考えても、都議会一般質問で答えた内容は画期的だった

 子どもは権利の主体であり、子どもの意見は尊重される必要があるという問題意識で行ったのが今年6月の本会議一般質問でした。(質問全文

 私が子どもは権利の主体として尊重される必要があるという質問すると、小池知事は「あらゆる場面で子どもは権利の主体として尊重される」「意見を尊重するとともに、子どもの最善の利益を実現するということは重要」と答弁しました。

 また、学校が一方的にルールを変更して、それに従わせるようなやり方は問題ではないかという質問に対して、教育長は「生徒一人一人の人権を尊重した上で、生徒に寄り添いながら、生徒の納得が得られる」ことは大切だと答えました。

 さらに、これまでは校則は「校長が決定する」「生徒の実態」を見て決めるとしてきたところから、校則の変更は生徒の意見を聞くことは大切だと飛躍的に前進しました。

 理不尽さに疑問を抱き、改善するために動くことが重要です。社会には理不尽なことがあるけれど、理不尽に「おかしい」と言えるようになることこそ、教育現場で大切にしてほしいと思います。 子どもたちに言うだけでなく、おとなも理不尽さを変えていくために動く姿を見せていきたいです。

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