日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

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「希望には、二人の娘がいる。一人は怒りであり、もう一人は勇気である」──自治体学校に参加して

2015-07-30 | 学んだこと、政策のこと

 7月25日~27日で「第57回自治体学校in金沢」がおこなわれ、日本共産党町田市議団で参加してきました。

 以下、視察レポートを掲載します。

■子どもの育ちを保障する(分科会に参加して)

 第57回自治体学校in金沢(2015年7月25日~27日)のうち、2日目の分科会「子どもの育ちを保障する」について、その内容と感想を記していく。

 この分科会を通じて問題意識を持ったのは、一つは「子供の貧困対策に関する大綱について」と地方自治体の役割について、もう一つは、地域で多面的に活動するNPOなどと地方自治体の関係についてである。

(1)

 助言者として立教大学の浅井春夫教授が基調報告をおこなった。その内容は報告レジュメのとおりであるが、とりわけ印象に残り、市政に反映していきたい点についていくつか記しておきたい。

 浅井教授は、日本における「家族と子どもの貧困」の状況について、「夏休みで10キロ痩せてきた中学生」「むし歯20本で治癒がされていない子ども」などの深刻な実態を告発し、その特徴について次の4つをあげた。

 ①所得再配分政策が、貧困対策としての機能を果たしていない
 ②OECD報告ではひとり親世帯の貧困率は低位のグループの国
 ③「大人が2人以上」の世帯であってもOECD加盟国中22位
 ④若者・青年期への支援の貧弱さ

 さらに、これらの貧困問題が、子どもの人格形成や発達に影響し、虐待の構造的背景となっていることを指摘している。同時に、諸外国におけるとりくみと比較しながら、日本における課題について検討することが重要だと問題提起があった。

 これらの検討を踏まえ、具体的な「子どもの貧困」克服戦略について問題提起がおこなわれた。現在、国によって策定された「子供の貧困対策に関する大綱」において、貧困率の期限を切った削減目標が具体的でないこと、目標設定──教育の機会均等、食生活の確保、健康格差の是正、諸官庁などの明確化、実態調査の実施、自治体のとりくみと国の施策の連携、自治体における条例制定などである。

 実態を入り口にしながら、上記の視点を生かして、政策化・施策化していくことが求められている。

(2)

 次に現場から、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの栗林知絵子事務局長が「地域を変える 子どもが変わる 未来を変える」と題して報告があった。

 「子どもの貧困」問題にとりくむ一つの拠点になっているのが、要町あさやけ子ども食堂である。月に2回一食300円、みんなで夕ご飯を食べることを軸に、つくるところから参加をしてもらっている。子ども一人でも来ることができる食堂だが、親子で参加する人たちも少なくない。調理はボランティアの人たちが担っていますが、農家などの協力も得て、栄養バランスの良い食事をとることを心がけている。

 もう一つの拠点が、無料学習支援である。栗林さんがプレーパークで出会った母子家庭の男の子が中学生となり、「オレ、高校に行けないかもしれない」と聞いたことが、学習支援をおこなうきっかけとなった。現在では、大学生や地域のボランティアを中心に、学習支援とともに子どもとの関係づくりを重視し、相談にものっている。

 これらの活動が「子どもの貧困」をなんとかしたいと思っている人たちの力を引き出している。行政との連携、地域の中での連携は、「子どもの貧困」を解決する上で重要な位置をしめる。 

(3)

 浅井教授は、学力はどのようについていくのかについて、二つの点が重要だと指摘している。一つは感情意欲、もう一つは認識操作である。この二つが絡み合い育っていくというしてきである。

 ユネスコが発表した「学習権宣言」(1985年)には次のような一文がある。

 学習権とは、
 読み書きの権利であり、
 問い続け、深く考える権利であり、
 想像し、創造する権利であり、
 自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる権利であり、
 あらゆる教育の手だてを得る権利であり、
 個人的・集団的力量を発達させる権利である。
 (中略)
 学習権はたんなる経済発展の手段ではない。それは基本的権利の一つとしてとらえられなければならない。学習活動はあらゆる教育活動の中心に位置づけられ、人々を、なりゆきまかせの客体から、自らの歴史をつくる主体にかえていくものである。

 キーワードは行政がどのようにその責任を果たしていくかである。NPO法人や民間団体が創意工夫をおこない、積極的とりくみをおこなうことは重要な形である。しかし、NPO法人や民間団体がやっているからと行政が公的責任を負わないということでは、本末転倒である。「子どもの貧困」の解決は、憲法の中心的要請であり、地方自治法の中心的構成要素である。「子供の貧困対策に関する大綱」なども積極的に活用していく必要がある。このような視点から次の3つの角度からとりくみをすすめていくことがカギとなる。

 ①行政の公的責任の明確化、②実態を明らかにし、ニーズを顕在化させて掘り起こしていく──現金給付と現物給付を組み合わせ、③「選択化」(チョイス)を迫る「新自由主義」政策に対抗する新しい選択肢をつくる。

 最後に、この分科会で象徴的だった2つの言葉を紹介する。

 「政治が信頼を失いかけている。政治の信頼を回復させるのは私たちの運動だ。政治や施策を動かすのは私たちの力量にかかっている。それぐらい、行政は混沌としている。展望があるようには思えない。私たちの側のとりくみに未来はかかっている」

 「希望には、二人の娘がいる。一人は怒りであり、もう一人は勇気である」(アウグスティヌス354~430年)。

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