パッキャオ、有終の美=最後の試合制し引退―ボクシング
今日ラスベガスのMGMグランドガーデンで行われたWBOインター
ナショナルウエルター級タイトルマッチで6階級制覇王者のマニー・
パッキャオは、元王者で過去1勝1敗だったティモシー・ブラッドリー
相手に2度のダウンを奪いジャッジ3者とも116-110の大差判定で自身
のラストマッチを飾った。
昨年5月にフロイド・メイウェザーとの世紀の一戦で判定負けした
だけでなく、右肩を痛めるなど満身創痍状態になっていたパッキャ
オは37歳という年齢もあり今日の一戦をラストファイトにすると
宣言。
対戦相手に選んだのは過去1勝1敗のティモシー・ブラッドリー
だったため‘もう少し強い相手と'という声があったものの、ラスト
マッチをラバーマッチにして決着をつけて・・・というのも悪くない。
試合は1Rからパッキャオがプレッシャーをかけるのに対し‘砂漠
の嵐’といわれる連打が持ち味のブラッドリーは意外にもパッキャオ
の左にカウンターを合わせる戦法を取るのだが、手数が出ずに押し込
まれる展開となり6Rにようやく前に出て行くものの7R終了間際に
左を合わされてバランスを崩してダウンを喫する。
ただしダメージはないため8Rにブラッドリーが攻勢に出るのだが
9Rにパッキャオの左が炸裂し2度目のダウン。
10R以降はパッキャオがブラッドリーの反撃を上手く捌く形で進み、
12R終了のゴングを聞いた。
全盛時のパッキャオならダウンを奪った9R以降に倒すために全力を
傾けるのだろうが、年齢的なスタミナの問題やケガ明けのブランクに
ブラッドリーのカウンターを警戒する形でファンが望んだ09年のミゲ
ール・コット戦以来のKO勝ちはならなかったものの言い換えれば円熟
したボクシングを見せてくれたという事だろう。
2度のダウンを奪うなどファンの期待に応えようとする姿勢は大いに
評価できるし、少なくとも昨年9月にメイウェザーが最後まで観客のブ
ーイングを受けてもびくともせず自らのボクシングを完遂する姿勢に比
べればパッキャオの戦いは最後までファンの方向を向いていたと思う。
ボクシング界もフロイド・メイウェザーに続いてマニー・パッキャオ
というスーパースター達が立て続けに引退する事になり、新たな時代に
なるのだろうが少なくともフライ級からSウエルター級までの6階級を
制覇するボクサーは2度と見る事はできないだろう。