指定管理者制度が始まって17年です。本市においても、現在420施設が指定管理者制度によって管理運営されています。公募施設が199、非公募施設が221です。
市議会最終日の質疑で、指定管理者制度の問題点を質しました。
ほとんどが1者応募で競争もなく、同一事業者が更新を繰り返す選定です。しかも、多数の協定に同じような企業名が並んでいます。
総務省の通知でも、サービス提供者は幅広く求めることが基本とされています。
市営住宅等の指定管理では、13,000戸を2つの指定管理者が5年間を期間に管理運営しています。指定管理の事業規模が大きいので、どんな事業者でも応募できるというものではありません。「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨に則り、地域を細分化し、事業者の応募機会の拡大を実施すべきです。1者しか応募せず、長期独占的に管理委託する指定管理の在り方は、適切ではありません。
質問内容は、以下の通りです。
【質問内容】
厚生委員長報告に関連して、指定管理者制度についてお尋ねします。
1、 議案になっている「夢もやい館」は、民間企業で構成される「夢もやい館管理運営共同企業体」が指定管理者として提案されています。今回の指定管理にあたって公募への応募事業者数は1事業者となっていますが、現在ある指定管理施設のうち公募による指定管理を行っている施設数、それぞれの応募者数についてご説明ください。
2、 一般の契約の場合、熊本市の契約マニュアルでは、競争性確保のために1者による入札は実施しないことと決められています。
公募施設の大多数が1事業者しか応募しない状況で、漫然と指定管理者を指定し続けてよいのでしょうか。総務省の考え方でも、指定管理者指定にあたっては、サービス提供者を民間から幅広く求めることが望ましいという考え方を取っています。市の見解を求めます。
3、 1回の応募に1事業者しか応募がないことと合わせ、同一業者が更新を繰り返していくということも、競争性を阻害し、同一事業者が業務を独占していくということにつながります。指定管理の場合も、このような状況での指定というのは好ましくないと思われますが、いかがでしょうか。
4、 公募施設のうち、民間企業または企業体が指定管理者となっているところはいくつありますか。
5、 今回の「夢もやい館」の管理者指定は、前回同様の共同企業体が指定を更新するという形になっています。構成企業の(株)パブリックビジネスジャパンは、本市の指定管理者施設の管理運営にいくつも参加しています。公募施設における協定件数の上位3企業とそれぞれの協定件数をお示しください。なお企業体の場合は、構成企業でカウントしてください。
6、 指定管理料の基準価格における人件費については、原則として、施設管理に従事する職員の必要見込数と別表として示している「公募施設のランク別 人件費単価表」の額とすることが決められています。この基準額通りに現場で運用が行われているかのチェックはどのように行われているのでしょうか。そうでなかった場合の是正については、どのようになされているでしょうか。
2点目と3点目は市長に、それ以外は関係局長に伺います。
(答弁)
答弁にありましたように、公募により指定管理者を選定している施設は199施設、そのうち民間企業あるいは企業体が指定管理者となっている施設は184施設ということであります。公募施設のほとんどが営利を目的とする民間企業によって管理運営されている訳です。
また、指定管理者選定の公募に1者しか応募がない171施設、86%であり、ほとんどが全く競争性のない形で指定管理者が選定され、しかも、多くの施設で同じ事業者が更新を繰り返しているという状況があります。
市長は、公募の趣旨について、「競争性を担保し、より適切な候補者を選定すること」と答弁されましたが、ほとんどの公募施設で全く競争性のないこと、同一事業者が更新を繰り返すことは、おっしゃった趣旨に合致するものではありません。仮に1者の応募でも、選定委員会の審査を経て適切な事業者が選定されれば問題はないと言われますが、趣旨で言われた「より適切な」という場合、競争性を担保することが条件となります。競争性がないとき「より」という言葉は使いません。
市長は、本市の「指定管理者制度に関する指針・運用に関する方針」でも、「複数の申請者から事業計画書を提出させることになっている」と書かれていることを承知されていますか。
また、財政局長は、積算された人件費単価が支払われているかについて、「確認をしている」と答弁されましたが、具体的にどのような方法で確認されているのか、ご説明をお願いいたします。
市長ならびに財政局長にお尋ねします。
(答弁)
複数の事業者から申請書を「提出させることが望ましい」でなく、「提出させることになっている」と書かれてあります。複数から申請書が出されなければならない訳です。
2010年12月28日に出された総務省通知では、「指定管理者の指定の申請にあたっては、住民サービスを効果的、効率的に 提供するため、サービスの提供者を民間事業者等から幅広く求めることに意 義があり、複数の申請者に事業計画書を提出させることが望ましい。」と述べられており、これをもとに本市の「指定管理者制度に関する指針・運用に関する方針」でも、「複数の申請者から事業計画書を提出させることになっている」と書かれている訳です。一方、 総務省も、同一事業者が再び指定されることも想定していますが、総務省通知に「利用者や住民からの評価等を踏まえ同一事業者を再び指定している例もあり」と述べられているように、1事業者しか応募がなく、ただ漫然と同一事業者が更新するのでなく、その場合は、あくまでも利用者や住民からの評価等を踏まえることを前提としています。本市の場合は、そのような手続きも踏まれず、本当に漫然と1事業者の応募、同一事業者の更新が行われていることは、国の示す指定管理者制度の方針に沿うものでもなく、利用者である、市民へのサービス向上にもつながりません。
公募による指定管理の民間企業の参加で、指摘しましたように、同一企業に固定して契約されていることもあり、結果的に企業の顔ぶれが固定している面があります。協定件数で第1位のパブリックビジネスジャパン、2位の九州総合サービス株式会社、多数の協定、施設管理に同じ顔触れ、特定の企業名が並んでいることは、好ましいものとは思われません。さまざまな企業に参加していただく、そのことでより良いサービスが提供されていくことこそ、本来の指定管理の目指していたところではないでしょうか。
また、ランク別人件費単価表についても、「公募する際の積算基準額」との答弁でしたが、積算した額で指定管理料を支払っている訳ですから、それ相当の人件費が支払われるべきです。基準額は、相当の人件費が支払われることによって適切な管理運営ができるという基準です。市職員の給与の考え方もそうでしょう。しかし、その確認が実際上はきちんとなされていないという現状があります。
現在のように、「公募」と言いながら、実際上は決まった事業者が同じ施設の管理を長期・独占的に管理運営していくような状況にあっては、もともとの指定管理者制度導入の目的であった民間事業者のノウハウの活用によって市民サービスの向上が図られていくということの条件がないままに、公の施設管理に従事する職員の処遇だけが、公務員と違って不安定で劣悪なものとなる可能性があります。
本市における指定管理者制度は、民間の宿命である「利潤の追求」の下、市民サービスの向上の点でも、職員の処遇確保の点でも、もともとの目的からも外れて、いびつな状態で、今も、そして将来も、民間事業者が固定的に独占して管理運営していく状況となっていくことが予想されます。さまざまな矛盾が解決され、公の施設は、名実ともに公の責任によって管理運営されて行くことを願って、質疑を終わります。
都市建設委員会に付託された市営住宅等の2件の指定管理者指定は、2020年度から2024年度までの5年間を期間に、約13000戸の市営住宅等を2事業者が管理するというものです。この件で伺います。
1、 それぞれ公募に係る応募事業者数は1事業者となっており、これまでの5年間の指定管理を競争することなく、10年間継続するものです。公の契約は、地方自治法で一般競争入札を原則と定められているように、競争性の担保によって機会均等や経済性が確保されています。1事業者しか応募せず、長期独占的に管理委託を受けるような指定管理の在り方は、適切でないと思われますが、いかがでしょうか。
2、 市営住宅の指定管理は、2事業体がそれぞれ、単年度でも2億7300万円と3億2500万円、5年間で13億8200万円、16億4600万円の指定管理料を得るという契約です。指定管理の事業規模が大きいだけに、どんな事業者でも応募できるというものではありません。先に紹介した「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨に則るならば、地域をもう少し細分化して、事業者の応募機会の拡大を実施すべきではないでしょうか。
3、 この規模と指定方法では、10年にとどまらず、今後20年・30年と同一事業者が継続して指定管理を継続することになり、新しい事業者は育成されないままになるのではないでしょうか。
以上3点、市長にお尋ねいたします。
(答弁)
ただいま、それまで1事業者であった指定管理を、2015年度から2事業者にしたことで、機動力の向上やリスクの軽減などを図ることができたと言われました。しかし、1企業に対する高額な指定管理料の分散については、5年間で14億から16億数千万円を2つの事業者に支払っている現状を見るならば、分散という表現には違和感があります。しかも、1事業者しか手を上げないということは、2つの事業者が多額の指定管理料を、長期にわたり独占的に受け取っていくということにもなり、新しい事業者育成の上からも、問題があります。13000戸という膨大な戸数を管理するわけですから、事業は区ごと、あるいはもう少し小さく分けて、数多くの事業者が参入できる条件をつくるべきです。
市議会最終日の質疑で、指定管理者制度の問題点を質しました。
ほとんどが1者応募で競争もなく、同一事業者が更新を繰り返す選定です。しかも、多数の協定に同じような企業名が並んでいます。
総務省の通知でも、サービス提供者は幅広く求めることが基本とされています。
市営住宅等の指定管理では、13,000戸を2つの指定管理者が5年間を期間に管理運営しています。指定管理の事業規模が大きいので、どんな事業者でも応募できるというものではありません。「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨に則り、地域を細分化し、事業者の応募機会の拡大を実施すべきです。1者しか応募せず、長期独占的に管理委託する指定管理の在り方は、適切ではありません。
質問内容は、以下の通りです。
【質問内容】
厚生委員長報告に関連して、指定管理者制度についてお尋ねします。
1、 議案になっている「夢もやい館」は、民間企業で構成される「夢もやい館管理運営共同企業体」が指定管理者として提案されています。今回の指定管理にあたって公募への応募事業者数は1事業者となっていますが、現在ある指定管理施設のうち公募による指定管理を行っている施設数、それぞれの応募者数についてご説明ください。
2、 一般の契約の場合、熊本市の契約マニュアルでは、競争性確保のために1者による入札は実施しないことと決められています。
公募施設の大多数が1事業者しか応募しない状況で、漫然と指定管理者を指定し続けてよいのでしょうか。総務省の考え方でも、指定管理者指定にあたっては、サービス提供者を民間から幅広く求めることが望ましいという考え方を取っています。市の見解を求めます。
3、 1回の応募に1事業者しか応募がないことと合わせ、同一業者が更新を繰り返していくということも、競争性を阻害し、同一事業者が業務を独占していくということにつながります。指定管理の場合も、このような状況での指定というのは好ましくないと思われますが、いかがでしょうか。
4、 公募施設のうち、民間企業または企業体が指定管理者となっているところはいくつありますか。
5、 今回の「夢もやい館」の管理者指定は、前回同様の共同企業体が指定を更新するという形になっています。構成企業の(株)パブリックビジネスジャパンは、本市の指定管理者施設の管理運営にいくつも参加しています。公募施設における協定件数の上位3企業とそれぞれの協定件数をお示しください。なお企業体の場合は、構成企業でカウントしてください。
6、 指定管理料の基準価格における人件費については、原則として、施設管理に従事する職員の必要見込数と別表として示している「公募施設のランク別 人件費単価表」の額とすることが決められています。この基準額通りに現場で運用が行われているかのチェックはどのように行われているのでしょうか。そうでなかった場合の是正については、どのようになされているでしょうか。
2点目と3点目は市長に、それ以外は関係局長に伺います。
(答弁)
答弁にありましたように、公募により指定管理者を選定している施設は199施設、そのうち民間企業あるいは企業体が指定管理者となっている施設は184施設ということであります。公募施設のほとんどが営利を目的とする民間企業によって管理運営されている訳です。
また、指定管理者選定の公募に1者しか応募がない171施設、86%であり、ほとんどが全く競争性のない形で指定管理者が選定され、しかも、多くの施設で同じ事業者が更新を繰り返しているという状況があります。
市長は、公募の趣旨について、「競争性を担保し、より適切な候補者を選定すること」と答弁されましたが、ほとんどの公募施設で全く競争性のないこと、同一事業者が更新を繰り返すことは、おっしゃった趣旨に合致するものではありません。仮に1者の応募でも、選定委員会の審査を経て適切な事業者が選定されれば問題はないと言われますが、趣旨で言われた「より適切な」という場合、競争性を担保することが条件となります。競争性がないとき「より」という言葉は使いません。
市長は、本市の「指定管理者制度に関する指針・運用に関する方針」でも、「複数の申請者から事業計画書を提出させることになっている」と書かれていることを承知されていますか。
また、財政局長は、積算された人件費単価が支払われているかについて、「確認をしている」と答弁されましたが、具体的にどのような方法で確認されているのか、ご説明をお願いいたします。
市長ならびに財政局長にお尋ねします。
(答弁)
複数の事業者から申請書を「提出させることが望ましい」でなく、「提出させることになっている」と書かれてあります。複数から申請書が出されなければならない訳です。
2010年12月28日に出された総務省通知では、「指定管理者の指定の申請にあたっては、住民サービスを効果的、効率的に 提供するため、サービスの提供者を民間事業者等から幅広く求めることに意 義があり、複数の申請者に事業計画書を提出させることが望ましい。」と述べられており、これをもとに本市の「指定管理者制度に関する指針・運用に関する方針」でも、「複数の申請者から事業計画書を提出させることになっている」と書かれている訳です。一方、 総務省も、同一事業者が再び指定されることも想定していますが、総務省通知に「利用者や住民からの評価等を踏まえ同一事業者を再び指定している例もあり」と述べられているように、1事業者しか応募がなく、ただ漫然と同一事業者が更新するのでなく、その場合は、あくまでも利用者や住民からの評価等を踏まえることを前提としています。本市の場合は、そのような手続きも踏まれず、本当に漫然と1事業者の応募、同一事業者の更新が行われていることは、国の示す指定管理者制度の方針に沿うものでもなく、利用者である、市民へのサービス向上にもつながりません。
公募による指定管理の民間企業の参加で、指摘しましたように、同一企業に固定して契約されていることもあり、結果的に企業の顔ぶれが固定している面があります。協定件数で第1位のパブリックビジネスジャパン、2位の九州総合サービス株式会社、多数の協定、施設管理に同じ顔触れ、特定の企業名が並んでいることは、好ましいものとは思われません。さまざまな企業に参加していただく、そのことでより良いサービスが提供されていくことこそ、本来の指定管理の目指していたところではないでしょうか。
また、ランク別人件費単価表についても、「公募する際の積算基準額」との答弁でしたが、積算した額で指定管理料を支払っている訳ですから、それ相当の人件費が支払われるべきです。基準額は、相当の人件費が支払われることによって適切な管理運営ができるという基準です。市職員の給与の考え方もそうでしょう。しかし、その確認が実際上はきちんとなされていないという現状があります。
現在のように、「公募」と言いながら、実際上は決まった事業者が同じ施設の管理を長期・独占的に管理運営していくような状況にあっては、もともとの指定管理者制度導入の目的であった民間事業者のノウハウの活用によって市民サービスの向上が図られていくということの条件がないままに、公の施設管理に従事する職員の処遇だけが、公務員と違って不安定で劣悪なものとなる可能性があります。
本市における指定管理者制度は、民間の宿命である「利潤の追求」の下、市民サービスの向上の点でも、職員の処遇確保の点でも、もともとの目的からも外れて、いびつな状態で、今も、そして将来も、民間事業者が固定的に独占して管理運営していく状況となっていくことが予想されます。さまざまな矛盾が解決され、公の施設は、名実ともに公の責任によって管理運営されて行くことを願って、質疑を終わります。
都市建設委員会に付託された市営住宅等の2件の指定管理者指定は、2020年度から2024年度までの5年間を期間に、約13000戸の市営住宅等を2事業者が管理するというものです。この件で伺います。
1、 それぞれ公募に係る応募事業者数は1事業者となっており、これまでの5年間の指定管理を競争することなく、10年間継続するものです。公の契約は、地方自治法で一般競争入札を原則と定められているように、競争性の担保によって機会均等や経済性が確保されています。1事業者しか応募せず、長期独占的に管理委託を受けるような指定管理の在り方は、適切でないと思われますが、いかがでしょうか。
2、 市営住宅の指定管理は、2事業体がそれぞれ、単年度でも2億7300万円と3億2500万円、5年間で13億8200万円、16億4600万円の指定管理料を得るという契約です。指定管理の事業規模が大きいだけに、どんな事業者でも応募できるというものではありません。先に紹介した「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨に則るならば、地域をもう少し細分化して、事業者の応募機会の拡大を実施すべきではないでしょうか。
3、 この規模と指定方法では、10年にとどまらず、今後20年・30年と同一事業者が継続して指定管理を継続することになり、新しい事業者は育成されないままになるのではないでしょうか。
以上3点、市長にお尋ねいたします。
(答弁)
ただいま、それまで1事業者であった指定管理を、2015年度から2事業者にしたことで、機動力の向上やリスクの軽減などを図ることができたと言われました。しかし、1企業に対する高額な指定管理料の分散については、5年間で14億から16億数千万円を2つの事業者に支払っている現状を見るならば、分散という表現には違和感があります。しかも、1事業者しか手を上げないということは、2つの事業者が多額の指定管理料を、長期にわたり独占的に受け取っていくということにもなり、新しい事業者育成の上からも、問題があります。13000戸という膨大な戸数を管理するわけですから、事業は区ごと、あるいはもう少し小さく分けて、数多くの事業者が参入できる条件をつくるべきです。