12月18日、約20日間にわたって開かれてきた2019年度第4回定例会が閉会しました。
質疑を3つと、意見書への討論を1つ、積極的に発言しました。
意見書案への討論は、「農業問題」でした。
公明党から提案された「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」(案)は、近年、発展の著しいICTやロボット技術、AI等の先端技術を用いて、肥料・農薬等の資材費の削減や農業生産の効率化、農産物の高付加価値化などによって、競争力を向上させる、技術の伝承や、地域農業の次世代への継承など、有効であるとされています。しかし、競争力の今以上の強化や企業の参入・大規模化などは、必ずしも多様な家族農業を支援するものではなく、生産率の向上や効率化が図られる一方で、淘汰されていく家族経営もあるという点では、問題のある内容です。
問題点を指摘し、討論を行いました。
【討論内容は以下の通り】
「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」(案)について、賛成できない点について意見を述べ、反対討論を行います。
国は、2018年6月に、「未来投資戦略2018」と「財政運営と改革の基本方針2018」いわゆる「骨太方針2018」を閣議決定し、農業分野で人工知能やロボットなど情報通信技術を活用した変革を打ち出しています。技術革新により労働生産性が向上すれば農業者の所得も向上するという考えに立ち、ロボットやAI(人工知能)など先端技術を活用した「スマート農業」の全国展開を加速するための技術開発・実証の推進のために2019年度政府予算で31億円を措置し、新規事業として「スマート農業加速化実証プロジェクト」に5億円の予算が組まれています。
意見書案に述べられているように、農業従事者の減少、担い手不足は極めて深刻で、農業を中心的に担う基幹的農業従事者が1995年の256万人から2018年には145万人に減少し、そのうち26%・38万人が75歳以上という状況です。戦後の日本農業を支えてきた世代の引退が加速し、近い将来、農業と農村の担い手は急速に減少すると予想されます。農村の担い手がいなくなることで耕作放棄地が広がり、何より国民の必要する食料が供給できなくなる事態が起こってくる深刻な状況です。
日本農業の危機的状況を打開し、農業と農山村の再生、食料自給率の向上に踏み出すことは、国民の生存にかかわる根本問題と言わなければなりません。
一方、この間国は、農産物自由化を際限なく拡大し、日本の農業に壊滅的な打撃を与える政策をすすめてきました。加えて、この輸入自由化を前提に「農業の競争力強化」をかかげ、大規模化や企業参入、市場原理の一層の徹底を図る「農業改革」をすすめてきました。そして、耕作者の権利を最優先する農地制度、資本の支配から農家を共同で守る農協制度、優良種子の農家への安価な供給を保障する種子法など、戦後農政の根幹をなし、日本農業や家族経営を支えてきた基本的な制度が次々と壊されてきました。農業従事者の声に耳を貸さず、農山村の現実を見ないで、規制改革推進会議の財界委員などの意見を一方的に採用した農業戦略が推し進められてきました。国がすすめてきた農業政策は、「企業が一番活躍しやすい国」づくりの農政版であり、競争力のない農業はなくなってもいいという「亡国農政」そのものと言わなければなりません。
国が推進するスマート農業は、近年、発展の著しいICTやロボット技術、AI等の先端技術を用いて、肥料・農薬等の資材費の削減や農業生産の効率化、農産物の高付加価値化など、意欲ある農業者が自らの経営戦略を実現し、競争力を向上の強力なツールになるとともに、熟練農業者の技術の伝承に役立ち、地域農業を次世代に継承していくうえでも有効であるとされています。しかし、競争力の今以上の強化や企業の参入・大規模化などは、必ずしも多様な家族農業を支援するものではなく、生産率の向上や効率化が図られる一方で、淘汰されていく家族経営もあるという点を指摘しなければなりません。
2015年の国連総会では、2030年を目指したSDGsが打ち出され、その第1・第2の目標に据えられたのが、飢餓と貧困の克服でした。その解決のためには、家族農業の役割が欠かせないとして、国連は2014年の「国際家族農業年」に続いて、10年の期間を取って家族農業支援の本格的な取り組みを世界各国に呼びかけました。今年2019年は、国連が呼び掛けた「家族農業の10年」がスタートした年です。国際化がどんなに進んでも、田園が荒れ、国土が荒廃し、1億を超える国民が都市だけで生きていけるはずがありません。これまで国が推進してきた競争力重視の農業を転換し、農産物の輸入自由化をストップし、経済や食料の主権を回復し、価格補償や所得補償を拡充し、大多数の農家が安心して農業に励むことができるような条件を整えること、そして担い手の確保・育成に総力をあげることによって、大小さまざまな家族農業が維持できるような農政のあり方こそ求められていることを指摘致します。
以上のような理由から、「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」(案)には賛同できないことを述べて、討論といたします。
質疑を3つと、意見書への討論を1つ、積極的に発言しました。
意見書案への討論は、「農業問題」でした。
公明党から提案された「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」(案)は、近年、発展の著しいICTやロボット技術、AI等の先端技術を用いて、肥料・農薬等の資材費の削減や農業生産の効率化、農産物の高付加価値化などによって、競争力を向上させる、技術の伝承や、地域農業の次世代への継承など、有効であるとされています。しかし、競争力の今以上の強化や企業の参入・大規模化などは、必ずしも多様な家族農業を支援するものではなく、生産率の向上や効率化が図られる一方で、淘汰されていく家族経営もあるという点では、問題のある内容です。
問題点を指摘し、討論を行いました。
【討論内容は以下の通り】
「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」(案)について、賛成できない点について意見を述べ、反対討論を行います。
国は、2018年6月に、「未来投資戦略2018」と「財政運営と改革の基本方針2018」いわゆる「骨太方針2018」を閣議決定し、農業分野で人工知能やロボットなど情報通信技術を活用した変革を打ち出しています。技術革新により労働生産性が向上すれば農業者の所得も向上するという考えに立ち、ロボットやAI(人工知能)など先端技術を活用した「スマート農業」の全国展開を加速するための技術開発・実証の推進のために2019年度政府予算で31億円を措置し、新規事業として「スマート農業加速化実証プロジェクト」に5億円の予算が組まれています。
意見書案に述べられているように、農業従事者の減少、担い手不足は極めて深刻で、農業を中心的に担う基幹的農業従事者が1995年の256万人から2018年には145万人に減少し、そのうち26%・38万人が75歳以上という状況です。戦後の日本農業を支えてきた世代の引退が加速し、近い将来、農業と農村の担い手は急速に減少すると予想されます。農村の担い手がいなくなることで耕作放棄地が広がり、何より国民の必要する食料が供給できなくなる事態が起こってくる深刻な状況です。
日本農業の危機的状況を打開し、農業と農山村の再生、食料自給率の向上に踏み出すことは、国民の生存にかかわる根本問題と言わなければなりません。
一方、この間国は、農産物自由化を際限なく拡大し、日本の農業に壊滅的な打撃を与える政策をすすめてきました。加えて、この輸入自由化を前提に「農業の競争力強化」をかかげ、大規模化や企業参入、市場原理の一層の徹底を図る「農業改革」をすすめてきました。そして、耕作者の権利を最優先する農地制度、資本の支配から農家を共同で守る農協制度、優良種子の農家への安価な供給を保障する種子法など、戦後農政の根幹をなし、日本農業や家族経営を支えてきた基本的な制度が次々と壊されてきました。農業従事者の声に耳を貸さず、農山村の現実を見ないで、規制改革推進会議の財界委員などの意見を一方的に採用した農業戦略が推し進められてきました。国がすすめてきた農業政策は、「企業が一番活躍しやすい国」づくりの農政版であり、競争力のない農業はなくなってもいいという「亡国農政」そのものと言わなければなりません。
国が推進するスマート農業は、近年、発展の著しいICTやロボット技術、AI等の先端技術を用いて、肥料・農薬等の資材費の削減や農業生産の効率化、農産物の高付加価値化など、意欲ある農業者が自らの経営戦略を実現し、競争力を向上の強力なツールになるとともに、熟練農業者の技術の伝承に役立ち、地域農業を次世代に継承していくうえでも有効であるとされています。しかし、競争力の今以上の強化や企業の参入・大規模化などは、必ずしも多様な家族農業を支援するものではなく、生産率の向上や効率化が図られる一方で、淘汰されていく家族経営もあるという点を指摘しなければなりません。
2015年の国連総会では、2030年を目指したSDGsが打ち出され、その第1・第2の目標に据えられたのが、飢餓と貧困の克服でした。その解決のためには、家族農業の役割が欠かせないとして、国連は2014年の「国際家族農業年」に続いて、10年の期間を取って家族農業支援の本格的な取り組みを世界各国に呼びかけました。今年2019年は、国連が呼び掛けた「家族農業の10年」がスタートした年です。国際化がどんなに進んでも、田園が荒れ、国土が荒廃し、1億を超える国民が都市だけで生きていけるはずがありません。これまで国が推進してきた競争力重視の農業を転換し、農産物の輸入自由化をストップし、経済や食料の主権を回復し、価格補償や所得補償を拡充し、大多数の農家が安心して農業に励むことができるような条件を整えること、そして担い手の確保・育成に総力をあげることによって、大小さまざまな家族農業が維持できるような農政のあり方こそ求められていることを指摘致します。
以上のような理由から、「スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書」(案)には賛同できないことを述べて、討論といたします。