6月議会も終盤です。6月15日は、予算決算委員会のしめくくり質疑がありました。
「指定管理者制度の問題点」「高規格道路ならびに熊本城仮設見学通路の見直し」について質問しました。
指定管理者制度の問題点について報告します。
【指定管理者制度の問題点】
正規職員をきちんと配置すること
・市役所では、非正規職員が増えたとはいっても嘱託・臨時職員は35%です。指定管理者制度の施設では60%が非正規職員です。指定管理料に積算されたランク別人件費単価は正規職員としての単価です。
積算に沿って正規職員が配置されるよう、仕様書に正規職員を一定数配置することを明記するよう求めました。
非公募の施設は「直営」で運営すべき
・国際交流会館、現代美術館が「非公募」で事業者選定が行われることになりました。高度な専門性が必要であること、長期的な視野での人材育成や確保が必要であること、企画や事業の実施に当たって関係団体等とのネットワークが重要であることから継続性が必要であることなどがその理由とされています。それならば、非正規が圧倒的多数を占める指定管理者で、適切な管理・運営を行うことには無理があります。
「非公募」の施設は、「直営」で運営すべきです。
複数事業者の参入が難しくなる一括発注はやめて、分割発注を
・前回7施設の社会体育施設の一括公募を、今回9施設へと増やせば、応募できる事業者はますます限られたものになります。5年間で55億円もの指定管理料を一括して払うような指定管理でなく、複数事業者の応募が可能となるよう、9施設を分けて指定管理する、分離発注の考え方も必要です。
質問は、以下のとおりです。
【質問】
1、 指定管理料に係る債務負担行為に関して伺います。
今回の補正予算には、各種指定管理料に係る債務負担行為が提案されています。今回予算に提案されている施設について、
第1に、地域密着型で非公募の施設を除いた施設における正規職員・非正規職員の人数・割合はどのようになっているでしょうか。
第2に、指定管理料に積算されたランク別人件費単価での人件費が実際に支払われているのでしょうか、その検証はどのように行われていますか。
植松副市長に伺います。
(答弁)
答弁にありましたように、指定管理者の施設では60%が非正規職員です。一方、市役所では60%が正規職員であり、再任用が5%、嘱託・臨時の非正規雇用は35%です。公の施設でありながら、指定管理者制度になると正規職員の割合は逆転して、激減します。また、積算された人件費が実際払われているのか、検証されていないようですが、民間に委ねる業務を行うのに必要な額の人件費を積算しているのですから、それは払われるべきです。
今回、国際交流会館・現代美術館は、単なる貸館でなく「事業の特殊性が重視される施設」として、非公募により指定管理者を選定するものとして提案されています。いずれの施設も、高度な専門性が必要であること、長期的な視野での人材育成や確保が必要であること、企画や事業の実施に当たって関係団体等とのネットワークが重要であることから継続性が必要であることなどがその理由とされています。そうであるならば、継続して雇用される正規職員をきちんと確保していくことが必要です。今回の非公募への移行を機に、正規職員をきちんと確保されるよう仕様書にも明記し、基本的な業務は正規職員によって行われるように正規職員の比率を抜本的に引き上げていくべきではないでしょうか。
また、公募型の施設でも、公的施設がワーキングプアを生み出すことのないように、職員の方々へ適切な給与が支払われることと、正規職員の比率が引き上げられるよう努めていくべきではないでしょうか。
植松副市長に伺います。
(答弁)
非公募でも、公募でも、「仕様書に、適切な人員配置を設定している」と答弁されましたが、指定管理の施設で非正規職員の比率が高いことは、適切な人員配置だとは思えません。非正規職員が多いことは、人件費を引き下げることにもつながります。指定管理者制度のランク別人件費単価表では、大規模施設の長が616万円から750万円、一般職で411万円から557万円となっています。これは正規職員としての人件費ではないでしょか。
植松副市長に伺います。
(答弁)
正規職員としての人件費を積算して指定管理料が決められながら、実際には非正規職員を雇用するというのはおかしいと思います。積算に沿った人員配置をしていただくためにも、一定数の正規職員配置を仕様書に明記すべきではないでしょうか。
植松副市長にお尋ねいたします。
(答弁)
非正規雇用が多い、ワーキングプアを広げるような職場では、スキルの高い人材の確保や育成はできません。高度な専門性や長期的視野での人材育成・確保のための「非公募」ならば、そもそも指定管理者制度には馴染みません。非公募の施設は市の直営にすべきです。その検討を要望しておきます。
続けてお尋ねいたします。
今回の提案では、更新される社会体育施設・7施設と、新規に指定管理となる社会体育施設・2施設を合わせて、9施設を一括して一つの事業者に指定管理、また、老人福祉センター6施設、介護予防施設3カ所も一括の指定管理をするという提案になっています。
第1に、各種施設を一括して指定管理する理由をご説明ください。また、一括して指定管理する3つの事業について、これまでの公募での応募状況をご説明ください。
第2に、指定管理者の選定は原則公募ですが、その理由をご説明ください。また、「公募」の場合は、複数事業者が応募してこそ、その効果が生かされると思いますが、この点についての考えをお聞かせください。
植松副市長にお尋ねいたします。
(答弁)
公平性、公正性、及び競争性担保のために「原則公募」としているとの答弁でしたが、社会体育施設の場合、規模の大きい施設も含め7カ所を一括公募としているために、前回の事業者選定では1カ所しか応募がありませんでした。一括での指定管理は、応募する事業者が限られてきます。
そこで、お尋ねいたします。
第1に、今回の公募では、いくつの事業者の応募を想定していますか。
第2に、前回7施設の社会体育施設の一括公募を、今回9施設へと増やせば、応募できる事業者はますます限られたものになってくるのではないでしょうか。複数事業者の応募が可能となるよう、9施設を分けて指定管理することを検討すべきではないでしょうか。
第3に、9施設になることで、指定管理料は年間11億円、5年間で55億円にもなります。事業費の面でも分離発注という考え方が必要ではないでしょうか。
植松副市長にお尋ねいたします。
(答弁)
指定管理者制度では、先ほど指摘しましたように、非正規雇用を増やし、そこに働く人の処遇悪化を招くとともに、支払った指定管理料が積算通りに使われているのかのチェックできないなど、様々な問題があります。また、一括の指定管理で事業規模が大きくなると応募しにくくなり、「公募」の形はとりながらも、特定の事業者が独占していくということにもつながります。競争性の担保という点での公募の意味がなくなります。外郭団体への指定管理では、事業独占等により、天下り先の確保と思われかねないような状態とならないことも指摘しておきます。