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困窮者家賃補助、申請1077件 道内4、5月 昨年の100倍 相談は5千件超

2020年06月16日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430530

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、困窮世帯の家賃を期限付きで補助する「住居確保給付金」の全道の申請件数が4、5月で計
1077件と、昨年同期の100倍近くに急増したことが北海道新聞の取材で分かった。ただ、申請は相談件数の約2割にとどまって
おり、要件の厳しさなどから断念するケースも少なくないとみられる。
 住居確保給付金は、従来ある厚生労働省の生活困窮者自立支援制度の一つで、原則3カ月(最長9カ月)の家賃を補助する。対象は
失業や離職、廃業で減収となった世帯に限定されてきたが、政府は4月下旬、新型ウイルスの影響に伴う休業などで減収した世帯にも
拡大。フリーランスも対象となった。
 道などによると、全道の申請件数は感染が拡大した4月に228件(昨年同月3件)と急増し、対象拡大後の5月は849件(同8
件)に達した。申請者は居酒屋などの飲食業やサービス業を営む人が多く、道央の自治体の窓口担当者は「20~50代が中心で、ひ
とり親家庭も目立つ」と話す。
 一方、住居確保給付金に関する全道の4、5月の相談件数は計5277件と申請件数の5倍に上った。
 給付金の支給には、収入が基準額以下でなければならないといった要件がある。基準額は自治体ごとに異なり、札幌市が単身世帯で
月収8万4千円、3人世帯で同17万2千円、旭川市が単身世帯で同8万1千円、3人世帯で同15万9千円など。「基準額は生活保
護費とほぼ同水準。要件は厳しく、収入が半減しても申請できない事例がある」(旭川市の担当者)といい、相談が必ずしも申請に結
びついていない実態が浮かぶ。

コロナ、住まい奪った 国の家賃補助制度、実態に追いつかず 民間が受け皿に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430537

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、生活の基盤である「住まい」を失うほど窮地に追い込まれた人々がいる。家がなければ、国
が家賃を補助する住居確保給付金などの支援制度につながることすらできない。札幌市のホームレス支援団体では相談が昨年の倍に急
増し、一時的な住まい「シェルター」の提供数を増やして対応。関係者は「景気悪化の影響が深刻さを増す中、住まい確保の対策を徹
底すべきだ」と訴える。

■業績悪化で失業

 政府が緊急事態宣言を全国に発令した4月中旬、男性(53)は札幌市中央区の大通公園にいた。道央のホテルに調理師として勤務
していたが、業績悪化で職を失い、社員寮にも住めなくなった。かばんには所持金2万6千円のほかは、手書きのレシピノート10冊
が入っているだけだった。
 2日に1度、100円のおにぎり1個を食べ、パーカにジーパン姿で植え込みで寝る毎日。仕事を探して飲食業など計80社に電話
したものの断られ、5月中旬、所持金は800円に。スマートフォンで「仕事ない 家ない」と検索し、札幌市ホームレス相談支援セ
ンター「ジョイン」のホームページにたどり着いた。
 ジョインのシェルターで半月ほど暮らし、今月から生活保護を受けてアパートを借りた。「当時は職探しで頭がいっぱい。行政に助
けを求める考えを持てなかった」と男性は言う。
 ジョインによると、新型コロナ感染拡大の影響を受けた人からの相談は4月が43件、5月が46件。それぞれ前年同月の相談件数
の倍以上だ。相談者の年齢は18~58歳と幅広く、13人は失業と同時に住居を失い、うち9人はジョインのシェルターを利用し
た。

■住宅提供拡充へ

 国の生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金は、あくまで家賃の補助で、住まいを失えば受け取れない。ジョインのシェルターの
定員は計約40人と限られており、5月から8人分増設したものの、ほぼ満室の状態が続く。ジョインの小川遼・相談支援員は「住居
確保給付金を受けられたとしても、支給期間(最長9カ月)を過ぎたころに住まいを失う人がさらに増えるかもしれない」と危機感を
強める。


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