住宅セーフティネット法の改正法が昨年6月5日に公布されました。公布から1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される予定です。
改正法は、「大家が賃貸住宅を提供しやすく」するという観点から、居住支援法人等が安否確認等のサービスへのつなぎを行う住宅(居住サポート住宅)の制度を新たに創設し、居住サポート住宅の賃貸借については、認定を受けた家賃債務保証業者が家賃債務保証を引き受けることとするなどを定めています。
家賃債務保証業者の認定要件は、①居住サポート住宅の賃貸借契約を締結しようとする住宅確保要配慮者から保証の申込みがあった場合には、正当な理由なく、これを拒まないこと、②保証の申込みがあった要配慮者に対し、保証契約締結の条件として、親族等の連絡先情報の提供を求めないこと、③業務の実施方法が要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居に資するものとして国交省令で定める基準に適合すること、です(改正法72条1項)。しかし、保証業者は「追い出し屋」と称されるような不当な求償権の行使により賃借人の居住の安定を脅かしてきたのであり、住宅セーフティネットにおいて利用すべきはなく、公的な保証制度の充実により対応を図るのが本筋です。
また、③の国交省令において、どれくらい厳しく規制されるのかは不明ですが、現行登録制度(大臣告示)の程度であれば、2022年12月12日の最高裁判決で無効とされたような不当な契約条項が禁止されるわけでもなく、実効性に欠けます。衆院国交委の附帯決議では、「入居後の過度な取立て等が行われることのないよう、適切なものとするとともに、国土交通大臣による認定家賃債務保証業者に対する認定やその取消しを含む監督が厳正かつ適正に実施されるよう努めること」が盛り込まれました。
全借連には、賃借人の権利が保障される真の住宅セーフティネットの実現に向けた活動に共同で取り組むことを期待します。
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