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明け渡し訴訟、弁護士つけずに勝った

2009年05月08日 | 裁判と調停
 神奈川県相模原市で2階建の借家56平米を借り8年前から住んでいる藤島さんは、借りてから一度も顔も見たこともない家主から突然昨年4月に明渡しの裁判を東京地裁に申立てられた。(2007年7月号の組合ニュースに掲載)

 明渡しの理由は、契約更新時に契約書の内容が借主に不利な条項が多く、借主が訂正を求めたことが信頼関係破壊に当たる、更新料を家賃の半額しか払わないのは債務不履行である、建物が老朽化しているので建替えて家主の長男に住まわせるというもの。あまりにも理不尽な明渡し裁判だが受けて立つしかなく、さらに家主の代理人の弁護士は膨大な訴状や書面を提出し、藤島さんを困らせる目的だけでやっているとしか考えられない裁判だった。

それでも藤島さんは、家族と生活を守るために、組合と相談しながら弁護士をつけずに1年半にわたり全て答弁書や準備書面、証拠資料を自分で作成し裁判を闘った。7月24日に判決が下され、「原告(家主)の請求はいずれも棄却する。」、「訴訟費用は原告の負担とする。」との被告である藤島さんの全面勝訴の判決が下った。

 裁判所の判断は、「更新料は不動産業者が半額でいいと合意したことは領収書でも証明されている事実から半額に減額合意されたもので更新料未払いの債務不履行には当らない」。

 契約書の変更要求に対しては「そもそも、契約の更新時に契約内容を自らに有利に変更するよう求めることは、契約の一方の当事者である被告にとって当然の権利であるし、被告の要求を受入れることが出来ないのであれば、原告は契約内容の合意更新を拒否する自由を有している」として、信頼関係の破壊に当るという家主の主張を退けている。

 また、老朽化についても「通常の使用に耐えないほど老朽化していると認めるに足りる証拠はない」、長男に住まわせたいとの原告の意向についても「被告による本件建物の現在の状況と比較すると、賃貸借の解約申入れの正当事由としては薄弱であることが否めない。その他、被告は滞りなく賃料の支払をしており、上記設定の更新時の交渉以外には、特段、原告との間で問題等を発生させておらず、また、被告が契約更新時に自らの希望にそった契約内容に変更することを求めた点についても、その内容及び態様からして、本件解約の申入れの正当事由になるものと解することはできない。以上によれば、本件解約申入れについて、正当事由を認めることはできない。」と大変明快な判決を下した。久しぶりに借家の正当事由をめぐる裁判で、こころがさわやかになる判決である。(東京多摩借組ニュース462号より)



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