東京多摩借地借家人組合

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底地買い業者が借地権の買い取りを打診

2016年04月06日 | ブラック地主・ブラック家主
 区内千住地域で宅地約40坪を賃借する崎山さん(仮名)は昨年7月K社から「ご挨拶」という地主からK社に管理移行した旨の通知書を受取り、 本年2月K社の代理人というM建設の社員が訪ねてきた。社員はK社が地主から底地を買い受けた旨を説明し、できれば借地権買い取りを求め2千万円を提示して帰った。

 崎山さんは三代にわたり百年以上千住に居住し、地主とは土地賃貸借契約書はなく、半年払いの地代を持参していた。

 崎山さんの息子さんは父親に代わって組合に相談に来た。組合ではK社に土地の所有権移転の登記が済んでいるかを確認し、未登記であれば、早急に登記するよう約束させる。約束が実行されないときは新地主とは認めない旨をM建設社員に伝え、交渉は組合事務所で行うことを了解させることを助言した。

 3月の組合事務所での話し合いで崎山さんは「生まれ育ったこの家から出ていきたくない」と主張し、組合では登記簿提示を要求し、話し合いの継続を確認した。(東京借地借家人新聞より)


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住生活基本計画が閣議決定 若者や高齢者の居住の安定確保は家賃補助制度が決め手

2016年04月05日 | 国と東京都の住宅政策
 住生活基本法に基づく2016年から10か年の「住生活基本計画(全国計画)」が3月18日に閣議決定され、計画案に対して、71の個人・団体から219件の意見が寄せられました。

 基本計画では、第1に住生活をめぐる現状と今後の10年の課題と基本的な方針、第2に目標と基本的な施策として8つの目標が掲げられ、居住者からの視点では、目標①「結婚・出産を希望する若年世帯、子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現、目標」②「高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現」③住宅確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保以上3つの目標と施策の基本的な方針が提起されました。

 全借連をはじめ多くの団体から意見が寄せられた若者や高齢者の住居費負担の軽減や家賃補助制度の創設については、基本的な方針の中には明記されず、政府のパブリックコメントの回答では、「家賃補助制度については、対象世帯、民間家賃への影響、財政負担等の課題があり、慎重な検討が必要である」としています。

なお、目標3の住宅確保要配慮者の居住の安定確保の基本的な施策(1)で「高齢化等による被生活保護世帯等の住宅確保要配慮者の増加に対応するため、空き家の活用を促進するとともに、民間賃貸住宅を活用した新たな仕組みの構築を含めた、住宅セーフティネット機能の強化」が新たに付け加えられたことを国交省では強調しています。この「新たな住宅セーフティ機能の強化」に向けて社会資本整備審議会住宅宅地分科会では、小委員会が設置され、今春から始動し、夏に中間とりまとめを策定する予定であると住宅新報では報道しています。同分科会の賃貸住宅経営者の臨時委員は「民間賃貸住宅の空室を回収した上で準公営住宅に位置付け住宅確保要配慮者に家賃補助を導入して入居を促す」試案を提起するなど家賃補助制度について新たな議論を起きています。今こそ家賃補助制度創設に向けた運動の大きな後押しが必要になっています。
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公示地価3年連続上昇  多摩地区は72%で上昇

2016年04月04日 | 最新情報
国土交通省は先月、2016年の地価公示を発表しました。全国平均で0・1%上昇し、リーマンショックが起きた08年以来、8年ぶりに上昇しました。

 東京では3年連続の上昇となり、多摩地区では870地点の内、626地点で地価が上昇し、横ばいが162地点、下落が82地点で、格差が出ています。

 多摩地区の住宅地では、武蔵野市が3・3%(前年3・1%)、三鷹市2・6%(1・7%)、稲城市1・8%(1・6%)、福生市1・7%(1.9%)、小金井市1・4%(1・2%)、西東京市1・4%(1・1%)の順に上昇率が高くなっています。青梅市はマイナス0・6%(マイナス0・3%)と2年連続して下落し、島部を除くと東京の中で唯一マイナスになっています。

JR青梅線の単線区間など交通の利便性の悪さ、土砂災害の危険地域などが評価を下げているようです。

 商業地では立川市4・8%(4・1%)、武蔵野市4・5%(3・4%)、調布市2・9%(2・5%)、三鷹市2・6%(1・6%)の順に上昇率が高くなっています。都内の銀座地域では20%超の上昇になった地点も生まれ、都心区などではバブルが再燃するの懸念も出ています。

 外国人観光客の増加、ホテル需要など商業地の地価を押し上げている要因のようですが、アベノミクスの異次元の金融緩和やマイナス金利政策によって、不動産投資がさらに活発化することが予想され、借地人の住んでいる土地を購入する底地買いビジネスが活発になり、「ブラック地主・ブラック家主問題」は一層警戒が必要です。また、地価の上昇が固定資産税の上昇に影響し、地代の増額請求も多発する恐れも出ています。

実際の固定資産税の上昇は、各市の固定資産税課で固定資産土地課税台帳登録事項証明書を発行してもらい固定資産税・都市計画税の税額を計算しましょう。なお、自治体によっては青梅市など契約書がないと証明書の発行を認めない市もあるので注意してください。
 固定資産税・都市計画税の計算は組合にご相談ください。(東京多摩借組ニュースより)
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建物の耐震性能不足を理由とする借家の更新拒絶が認められなかった事例

2016年04月04日 | 最高裁と判例集
 建物の耐震性能不足を理由とする借家の更新拒絶が認められなかった事例

 今回ご紹介するのは、私が担当した建物の耐震性能不足などを理由とする借家の更新拒絶の正当事由が認められなかった裁判例(東京地方裁判所平成27年2月12日判決(判例秘書登載))です。

1、事案の概要
本件は、建物賃貸人が、近隣の一体の土地建物を購入し、共同住宅を建築すべく、本件建物賃借人(一人暮らし)を立退かせようとしてきたものです。
建物賃貸人は、本件建物購入後まもなく、本件建物の耐震診断を行い、本件建物の耐震性不足・老朽化による建替えの必要性、土地の有効活用等を主張して、裁判をしてきたのです。
なお、本件建物は築60年以上で、原告の提出した耐震診断書(精密診断法)によれば、構造評点(最小値)は0.47で、「倒壊する可能性が高い」とされました。
参考に、建築基準法の想定する大地震動で、構造評点が、1.5以上で「◎倒壊しない」、1.0以上~1.5未満で「一応倒壊しない」、0.7以上~1.0未満で「△倒壊する可能性がある」、0.7未満で「×倒壊する可能性が高い」、とされます。

2、判決要旨
裁判所は、正当事由の有無に関し、①双方の建物の使用を必要とする事情を主たる要素と位置づけ、原告には本件建物又は本件土地を使用する切迫した必要性が認められないことから,②耐震性能等の従たる要素において、それでもなお被告に明渡しを肯定すべき相当程度の事情が認められなければ更新拒絶につき正当事由は容易には認めがたいというべきであるとしました。

そして、②本件建物の耐震性能の問題について、老朽化等によってみるべき構造的欠陥が生じているとは認められないこと,補修によって耐震性能の改善が可能であることなどから、耐震性能を理由にその取り壊しが不可避であるとまで認めることはできない等として、正当事由を否定しました。

3、コメント
 近時、耐震性能不足を理由とし、建物建替えの必要性を主張して、立ち退きを求める例が多く、本新聞でも多くの事例が報告されてい
ますが、双方の使用の必要性を中心に判断した上、補強の内容や費用等も総合的に判断し、建替え相当かどうかが判断されます。
本件のように、建物が倒壊する可能性が高かったとしても、それだけで更新拒絶が認められるものではありません。(弁護士 長谷川正太郎)

(東京借地借家人新聞)

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