これは昭和63年に、何人かの先生と毎週交代で書いた記事でした。
その時代はバブル時代と言われ、企業での研修が大変盛んで、私は
一流企業の研修講師をしていました。「テクノストレス」「企業戦士」
などの言葉が流行っていて,北海道、沖縄など全国レベルで講演依頼が
多かったです。最終回に書いた「幸せ感じるクセを」は、大変好評で
「素晴らしい考え方」などと、お褒めのお手紙を何通か頂きました。
後から知ったのですが、沖縄のある大学の講座でも使われたそうです。
この記事は私自身の生き方ですが、それらは、認知症の夫の介護法に
加えていたことに、今更ながら気づきました。一度も怒らせなかった
こと以外にも、毎日の夫との会話に「幸せの要素」を感じさせる言葉を
意識的に取り入れたことです。例えば何か美味しいものを食べたら
「こんなに美味しいもの食べられて幸せね」とか、地震があった時
などは、「家は鉄筋5階建て地下はあるし、さらに地盤がよく岩盤
の上に建っている、またま四角で高くないから絶対に安全だし、何の
心配もないから有難いことだわね」などなど・・・
夫は自分の年齢も、季節感も、現在起きていることなども、あまり
理解できないようですが、昔の事はハッキリと覚えています。
また、今目の前で起きている事や、感じている事はその時点では認識
できても全く記憶ができません。私は「幸せを感じる心のクセ」を
長年かけて、夫の心にインプットしたのかも知れません。
何故なら夫は毎日のように「美味しく食べられて幸せ」と言って
くれるからです。小さな安心感や幸福感を絶えず「心の中で反芻する」
ことで、もしかしたら夫は、もう少し長生きできるかも知れないと感じ
ています。同じ毎日なら、視点をプラス方向に向けて生きた方が、人生
は明るく、穏やかで、幸せに過ごせるはずと、私はいつも思っています。