ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「タンゴ」

2010-12-09 17:13:18 | 芝居
11月23日シアター・コクーンで、「タンゴ」を観た(演出:長塚圭史)。

ポーランド人のムロジェックという人が書いた戯曲で、1965年初演の作品。
共産主義時代に書かれた寓話劇だというが、シェイクスピアも顔負けの膨大なセリフに驚かされる。
既成の芸術・道徳・慣習に反抗する青春時代を過ごしてきた両親。母エレオノーラ(秋山菜津子)は使用人エーデック(橋本さとし)を愛人とし、父ストーミル(吉田鋼太郎)はそれを見て見ぬふり。部屋は散らかり放題。祖母エウゲーニャ(片桐はいり)と叔父エウゲーニュシュ(辻萬長)は賭け事ばかり。アルトゥル(森山未来)はそんな彼らに我慢できず、美しい従妹アラ(奥村佳恵)と「伝統的な仕方で結婚」することによって、この家に秩序をもたらそうと、彼女にプロポーズしようとするが・・・。

吉田鋼太郎が舞台奥で「全裸で」劇中劇を一人で演じるという珍しい見ものも。

祖母が主人公とその婚約者とに「祝福を与える」シーンで、祖母が二人にお辞儀をするのは変だ。普通しないだろう。

役者はみな達者な演技。膨大なセリフと格闘する森山未来は好感が持てる。

演出家がしょっちゅう舞台端に出てきて、立っていたり座っていたりするのが邪魔。

しかし「喜劇としてやる」という彼のもくろみは一応成功したと言える。

後半は突然暗くおぞましくなってゆき、ポーランドの歴史を知らないことにはなかなか理解しにくい。
従妹アラの心情だけはよく分かる。
ここで思い出したのは、シャーロット・ブロンテの「ジェイン・エア」で、St.John (発音はスィンジョン)がジェインに求婚した時のことだ。
彼はジェインを異性として愛するからではなく、彼女が丈夫な体を持っていて宣教師の妻に向いているからという理由で彼女に求婚し、承諾するのが義務だと迫る。
彼が稀に見る美貌であることもあってジェインは危うく承知しそうになるが、その時遥か彼方から愛するロチェスターの魂の叫びが聞こえてきたのだった・・・。
という訳で、スィンジョンは振られ、単身インドに宣教に赴くが、志半ばにして病に倒れる。
作者は愛を冒涜した彼を罰したのだった。
愛を求める女の場合、男が自分のもくろみに夢中になるあまり、そこに思い至らぬと、後でひどい目に合うのだ。

・・・今回は思いっきり脱線してしまった・・。

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