ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「OPUS/作品」

2013-10-10 18:58:19 | 芝居
9月13日新国立劇場小劇場で、マイケル・ホリンガー作「OPUS /作品」をみた(演出:小川絵梨子)。

2006年にアメリカで初演された作品の由。今回が日本初演。

弦楽四重奏団ラザーラ・カルテット(笑)はホワイトハウスでの演奏会が決まっているというのにメンバーの一人ドリアン(加藤虎ノ介)
を解雇し、急遽オーディションを行う。グレイス(伊勢佳世)という若い女性が選ばれ、女の子大好きなアラン(相島一之)は大喜び。
彼らは難曲ベートーヴェンの作品131を弾くことにし、限られた時間の中でできる限りの練習をしようとするが、リーダーである
エリオット(段田安則)はミスばかり。しかも決して自分のミスを認めようとしない。本番まで時間がない。リハーサルは緊迫していく。
カール(近藤芳正)の抱える秘密も発覚し、不穏な空気が漂う中、どうにか無事に演奏会を終え楽屋に戻った4人の前に、突如ドリアンが
現れて・・・。

チラシでは分からなかったが、リーダーというのはファーストヴァイオリンのことで、それがエリオット。アランがセカンドヴァイオリン、
ドリアンとグレイスがヴィオラ、カールがチェロという構成。
ラスト、メンバー交代のすったもんだの挙句、ヴィオラの名器を巡って仲間同士が激しく争い出すと、カールはそのヴィオラのことを
「こんなもの・・」と言ってとんでもない暴挙に出るが、楽器に罪はないだろう。元々自分のものでもないのにそれを手放そうとしない
エリオットが問題なだけだ。

弦楽器を愛する者にとって、こういう終わり方はあまり愉快でないし、戯曲の構成という点から見ても安直で、ここまでが
面白かっただけに残念だ。

しかし弦楽四重奏の世界を芝居でこういう風に表現できるということを教えられた点はよかった。芝居の可能性が広がった感じ。
だって5人の出演者は誰も担当の楽器を弾けないのに、演奏シーンがたっぷりあるんだから!
役者たちは練習が大変だったと思うが、よくやっていた。少なくとも右手は音楽にほぼ合っていた。たぶんみんな楽譜が読める
に違いない。

後日、人づてに聞いたところによると、劇場内に貼り紙があり「楽器を壊すシーンがありますが、本物の楽器ではありません」と
書いてあった由。そうだろうとは思った。だって上演のたびに1台ずつ壊すはずがない・・。
だがそれでもやっぱりこのラストはいただけない。
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