ウィリアムのいたずらの、まちあるき、たべあるき

ウィリアムのいたずらが、街歩き、食べ物、音楽等の個人的見解を主に書くブログです(たま~にコンピューター関係も)

革新的な大規模システムは、受託では作れない

2013-12-25 12:45:44 | Weblog
さ、やっと本題が書ける。表題の説明をする。

今まで、「ソフト受託ビジネスには、2つのビジネスモデルがある」ことを書いた。

1つは、単価を上げる戦略。
もう一つは、人数を増やす戦略
結果として(それを意図してるわけではないのだが)
 ・前者は、設計に力を入れ、あらかじめリスクを回避する方法

 ・後者は、とにかくやってみるので、開発後期にリスクが出る方法

となる。




 ここで、最近の最新技術?を導入した、革新的な大規模システムを開発することを考えよう。この場合、最新技術なので、全てを見通せない。そこで、後者の「とにかくやってみる戦略」を取ることになる。この結果、うまくいけば、開発できるが、まずい事が起こると、上記の「とにかくやってみる戦略」のように、テスト以降で問題が発覚、炎上することになる。

 これを回避するために、よく、「アジャイルで」ということになるが、

 アジャイルは

    ・革新的な小規模開発か
    ・漸進的な大規模開発

 に向いている手法である。




 アジャイルも、「とにかくやってみる戦略」なので、リスクはある。そのリスクを軽度に押さえるため、開発期間を短くし、細かく区切って確認しながらやっていく。そして、その結果を見て、取るべき手段を変えていく(アジャイルの文脈だとリーンのセットベース開発、経営の文脈だとリアルオプション)。

 リスクを制御するので、革新的なことはできるが、細かく区切って、(具体的には、1スプリントのレベルに)開発していくので、小規模開発ということになる。

 また、個々には革新的なことを行っても、それを長いスパンで継続的に行っていくので、全体的には、漸進的に見える。したがって、大規模開発に導入した場合、全体的に見ると、「漸進的な大規模開発」となる。




大規模開発を行う場合、リスクを押さえて行う必要がある。
ハイリスクの場合、ハイリターンにならずに、会社が潰れてしまう危険性が大きい。
リスクを押さえるためには、設計部分でリスクに対処しておく必要がある。
つまり、「設計に力を入れる戦略」となる。

しかし、この戦略は、リスクがある程度見えていないと使えない。
枯れた技術を使う場合は、リスクは見えるので、問題はない。
しかし、革新的な技術だと、リスクは見えない。なので、このパターンにはならない。

つまり、「設計に力を入れる戦略」は、 

    ・枯れた技術による大規模開発

には向いているのだが、革新的な大規模開発は、できない。
この開発方法は実はウォーターフォールに近い。
つまり、

   「ウォーターフォールでは、革新的な大規模開発はできない」

例えば、
 仕様がころころ変わってしまうような、クラウドのAPIや
 結局リリース時、できない仕様やバグがいっぱいあるOS
とかを使って、ウォーターフォールでは開発できない。
急にインターフェースが変わったりするから・・・




ということで、大規模開発は「受託で行う場合」

   ・最新技術を漸進的に取り入れて行うか
   ・枯れた技術を使って行うか

になる。前者はコアビジネスを行う場合、後者は、そうでないビジネスに対して(バックオフィス的な)有効な手法となる。

では、革新的な、大規模開発はできないか・・・

とは、書いていない。この場合、「とにかくやってみる戦略」でのテスト以降のリスクをすべて発注者が受け取ればよい。つまり、受託ではなく、発注者が情報システム部を使って行うか、請負受託ではなく、準委任契約をすれば、実現可能になる・・・理論上は・・・(ただし、そんなことをする会社はないが。。)


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受託ビジネスは1人月いくらにすると儲かるか(3)戦略2:人を増やす

2013-12-25 09:43:32 | Weblog
ソフト受託ビジネスには、2つのビジネスモデルがある話。
前回は、単価を上げる戦略
今回は、人数を増やす戦略。




<<単価を上げる>>

人数を増やしても、もちろん、儲かる。
たとえば、1人月単価60万でも、技術者数を20人人にしたら・・・
1人月単価60万だとしたら、1年で720万。
変動費が400万だったので、
限界利益は720-400=320万
(1人あたり、320万、会社に入れられる)

固定費を3000万と見ていたので、同じ7人でも、
320*20-3000=ざっくり3400万くらい儲かる・・・

この場合、それで固定費大丈夫か?(部屋は足りるか?とか)
はあるけど、その分を増やしたとしても、まあ、前のモデルより結構儲かる。




ということで、この「低料金で、大規模化」というのは、
大手でよく取られる戦略になる。

この戦略のポイントは、固定費と人件費を抑えること。
そこで、
・固定費を抑えるため、実践教育中心。
 ネットで調べろ、実践で学ぶのが一番→体系的には教わらない

・人件費を抑えるため、出来ない人は切り捨てる
 そして、若い人をどんどん入れると、平均給与は下がる。
 離職率は上がるけど・・・

さらに、若い人をどんどん入れるため

・見栄えはよく
  →そうすると、建物の固定費はあがるが、これは、たいしたことない。

こうすると、営業活動さえうまく行けば、会社はどんどん大きくできる。




じゃあ、これは、いいことづくめなのか?

実は、リスクが膨大になる!

教育を切って、実践中心になると、

・ネットで聞いた話で企画し、
・正常系を確認して設計し
  →そもそも、聞いた話レベルなので、異常系がどうなるか、わからない
・そのまま実装にツッコミ・・・聞いてないよ状態になり
  →ネットに書いてあることが、そのまま出来るとは限らない
・ITで異常系に耐えられず、設計をしなおし・・・
・STでパフォーマンスが出ず、さらにつくりなおし・・・

などということにもなりかねない。

たとえば、
・クラウドを使ってシステム作りたい
   →さいきんOpenStackって、きいた
   →監視はZabbixなの?
・正常系で設計し・・・
   →ネットがどうなるかなんて、知ったこっちゃない。
    CAP定理をこよなく愛すので、トランザクションなんて考えない。
    可用性のじゃま
・そのまま、実装にツッコミ
   え、zabbixで、OpenStackをどう監視する・・・
   ってか、そもそも、監視項目は何?
・ITで異常系に耐えられず・・・
   あ、やっぱり、トランザクションは必要でしたか・・・
   ・・・そうですよね・・・
・STでパフォーマンスが出ず
   クラウド遅い(>_<!)
なんてことにも、なりかねない。

こうなると、IT,STで炎上する。人は、こんな感じで必要。

この場合、大赤字。
しかし、こうならないでうまく行くプロジェクトも多い(多いと思いたい)。
なので、うまく行かなければ大赤字、うまく行けば利益。

というまさに、ギャンブル状態なのだ。




ギャンブルといってしまうと、対策ないのだが、
これを、リスクを保有する金融商品としてみれば、結構分かりやすい

つまり、短期化して、予測を立てやすくし、
自分が分からないものはやらないで
大量に、多種多様に保有する。

この点からも、短期勝負で、比較的開発規模の小さいアジャイルは、
有利なのだ。

なお、金融商品の場合、情報がオープンにならないと、判断を誤る
この開発の場合も、IT,ST段階で、情報がオープンにならず、
修正しやすいところから、修正していき、問題が後々まで残ると、
最終段階でとんでもないことになり、判断を見誤る

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