『閑暇を活用する術のない者には閑暇は持てず』
英国の詩人の古い格言¹です。
休息の時間の重要性を説いた言葉ですが、誰しも、貴重な余暇は漫然と過ごすのではなく、有意義なリフレッシュタイムとしたいものですね。今回は、休息を十二分に享受する方法の一つとして、『温泉への入浴』をおすすめしたいと思います。
日本人と温泉との付き合いは、古くは縄文時代にさかのぼりますが、古事記・日本書紀など、古い文献にも記述があります。温泉の健康効果についても、出雲国風土記(733)では、「一たび濯(すす)げば形容(かたち)端(きら)正(きら)しく、再び沐(ゆあみ)すれば万(よろず)の病悉(ことごと)くに除(い)ゆ」(一度の入浴で美しくなり、再び入ると万病が治る)と紹介されています。
日本の温泉は10種類あり、最も多い泉質の単純温泉は、老若男女問わず楽しめる「大衆の湯」として広く親しまれています。他に塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉があり、目的に合わせた療養泉のチョイスも、温泉入浴の楽しいところですね。
わが国は27,000を超える数の源泉を誇る温泉大国です ²。この恵まれた環境を存分に生かして、余暇の時間には温泉巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
早坂信哉(2018) 「最高の入浴法」大和書店
松田忠徳 (2006)「温泉教授の新・日本百名湯」日本経済新聞出版
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 https://www.onki.jp/
¹ George Herbert, The poetical works of George Herbert, England, George Bell, 1892
²環境省,令和2年度温泉利用状況 https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-4_p_1.pdf, (参照 令和3年3月末)