青少年なやみ相談室

相談室だより

徳を積む

2024年02月01日 09時00分00秒 | vol.181~190

 能登半島地震からの幕開けとなった2024年。このようなニュースを目にすると不安にばかり目が行き、さらに不安が大きくなるという悪循環におちいる方がいるかもしれません。このような時、私たちはどのような心がけで過ごせばいいのでしょう。 

 「徳を積む」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「徳を積む」とは、見返りを求めずに善い行いを重ねることです。「徳を積む」ことは他者との良い関係を築いたり自分自身の内面的な成長や満足感にも繋がったりすると言われています。では「徳を積む」とはどのような行いでしょうか?具体的には以下のような行為や態度があげられます。できそうなことを選び継続してみてはいかがでしょうか。

 

・優しいまなざしを他者に向けること。

・丁寧な言葉を使うこと。

・優しい顔でいること。

・気配り、心配りをすること。

・感謝の気持ちを表すこと。

 

 他にも人知れず行う善行も「徳を積む」ことに繋がります。ドジャースの大谷翔平選手が、フィールドやベンチ付近でゴミを拾う様子をテレビなどで観たことがある方もいると思います。大谷選手は「僕は人が落とした運を拾っているだけ」と言っていますが、人の嫌がるような行為を人知れず行う善行を仏教において「陰徳(いんとく)」と呼ばれ「徳」の一つとされています。大谷選手の「徳を積む」行いで心に余裕が生まれ、結果として最高のプレーに繋がっているのかもしれませんね。

 このような利他的な行いは自分にも返ってくると言われています。このような時だからこそ「徳を積む」行いに目を向けて日々を過ごしてみませんか?誰かの笑顔のために。

 

参考

雑誌『PRESIDENT』2024年1月12日号,プレジデント社


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時の流れの不思議

2024年01月01日 09時00分00秒 | vol.181~190

 明けましておめでとうございます。

  新年を迎える準備のために慌ただしく過ごした12月が過ぎ、新たな一年が始まりましたね。年齢を重ねるごとに、時間の流れが早く感じると思ったことはありませんか?

 「時間の進み方は一定のはずなのに、なぜ年々、時間の流れが早くなったように感じるのか」これは、長年に渡り心理学者や哲学者が研究や議論を重ねてきたテーマでもあります。
 代表的なもののひとつに「ジャネーの法則」があります。これは19世紀にフランスの哲学者のポール・ジャネーが考案し、後に甥[おい]で心理学者のピエール・ジャネーが自身の著書で紹介したことで世に知られるようになりました。「ジャネーの法則」は、心で感じる時間の長さ(心理的時間)は、年齢に反比例するという法則です。つまり、年齢が3倍になると、時間の長さは3分の1になり、年齢が6倍になると時間の長さは6分の1になります。この法則に当てはめると、10歳のときの1年間は、30歳の人にとっては4か月間、60歳の人には2か月間に感じられることになります。
 また、時間の感じ方について研究している千葉大学の一川誠[いちかわ まこと]先生は、著書『すごい!「仕事の時間」術』の中で、大人になると、子どもの頃よりも新鮮な経験が少なくなるため、時間が早く進むように感じると述べています。これは、子どもの頃は初めて体験することがたくさんあるため、その一つ一つが印象深い出来事として感じられますが、大人になると、起床、出勤、仕事、帰宅、就寝といったように日々の生活がルーティン化されることも多くなり、子どもの頃のようにゆったりとした時間の感覚が失われるため、時間の流れが早く感じられるという考えです。 
 この他にも多くの研究者が、年齢を重ねると時間の感じ方が早くなるのはなぜか研究していますが、まだまだはっきりとわかっていないこともあります。それでも、一年、また一年と年齢を重ねるごとに、時間の流れが早く感じることに変わりはありません。今年よりも来年はもっと時間の流れが早く感じるかもしれない…そう考えると、一日一日を大切に過ごしていきたいものですね。


参考文献
村上勝典(2016)「時間評価に関する心理学的研究 —青年期における男女差の検討—」 2015年度 博士学位論文 吉備国際大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻
一川誠(2011) 『すごい!「仕事の時間」術』 三笠書房
弁護士法人 栄光 栄光綜合法律事務所 「老いと時間」
https://www.eiko.gr.jp/essay_a/%E8%80%81%E3%81%84%E3%81%A8%E6%99%82%E9%96%93/ (アクセス日時 2023/12/21 14:30頃)
心理カウンセラーならTERADA医療福祉カレッジ 「時間の心理学」
https://www.terada-medical.com/column/psychology_of_time/ (アクセス日時 2023/12/21 14:30頃)

 

 


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和顔

2023年12月01日 09時00分00秒 | vol.181~190

 今年も残すところあとわずかとなり、なぜかせわしさを感じる今日頃ごろです。そんな日々を過ごしているところに一通の手紙が届きました。内容は、お世話になった和尚さんに礼状を送ったことに対しての、返礼の手紙でした。その手紙には※御朱印(ごしゅいん)が同封されていて、そこには「和顔」と書かれていました。

 「和顔」の読み方は「わがん」または「わげん」、そして「和顔愛語(わがんあいご・わげんあいご)」のように四字熟語で使われることが多いようです。「和顔愛語」は仏教用語で、「和顔」はなごやかで柔らかい表情、「愛語」は親愛のこもった言葉のことを意味していて、「和顔愛語」は笑顔で愛情のこもった言葉で話すことのようです。この「和顔愛語」を心がけることは、心を乱さず平常心を保つコツでもあるそうです。

 イライラした時や嫌なことがあった時、つらい時など人は心の内が表情に出やすいものです。私も考え事をしてついつい暗い表情になったり、カッカして眉間にしわがより語気が強くなることもあります。そんな負の感情や行動は周りに伝染するもので、一人のイライラのせいで、それまで良かった雰囲気が一機に悪くなることもあります。そんな時こそ「和顔愛語」が実践できるといいですね。

 年の瀬を言い訳に、忙しさに心を奪われそうになっていた時に届いた御朱印「和顔」。常に笑顔で愛情のこもった言葉で話すことは、とても難しいことですが、残り少ない今年を「和顔愛語」で過ごし、穏やかな気持ちで新年を迎えたいと思います。

 皆様も、どうぞよいお年をお迎えください。

 

※御朱印…神社やお寺を参拝した「参拝証明」として押印される印章印影のこと。神仏とのご縁の記録。

 

 

<参考>

四字熟語辞典オンライン

ニッポン放送NEWS ONLINE 

   (いずれも参照は2023‐11—24)

辻本敬順(2008)『くらしの仏教語豆事典』本願寺出版社


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世界遺産を訪ねる~歴史と文化に想いをはせて~

2023年11月01日 09時00分00秒 | vol.181~190

 みなさんは世界遺産を訪れたことがありますか。家族旅行や修学旅行、遠足などで訪れたことがあるかもしませんね。世界遺産はユネスコが「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき登録をしていて、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3つに分かれています。最初の世界遺産は、1978年に登録されたガラパゴス諸島(エクアドル:自然遺産)、アーヘン大聖堂(ドイツ/ヨーロッパ:文化遺産)などを含む12件でした。2023年10月現在、文化遺産933件、自然遺産227件、複合遺産39件、合計1,199件もの世界遺産が登録されています。

 日本では、1993年に登録された法隆寺地域の仏教建造物(奈良県:文化遺産)、姫路城(兵庫県:文化遺産)、屋久島(鹿児島県:自然遺産)、白神山地(秋田県・青森県:自然遺産)の4件の世界遺産を始まりとし、2021年までに文化遺産20件、自然遺産5件、合計25件の世界遺産が登録されています。

 さて、岩手県にはいくつ世界遺産があるかご存知ですか。実は3件の世界遺産があり、これは奈良県、鹿児島県と並び国内最多の保有数となっています。3件とも文化遺産で、具体的に紹介すると、次のようになります。   

平泉「平泉―仏国土[ぶっこくど](浄土[じょうど])を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」(平泉町:2011年登録)

橋野鉄鉱山[はしのてっこうざん]「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼[せいてつ・せいこう]、造船、石炭産業」(釜石市:2015年登録)

御所野遺跡[ごしょのいせき]「北海道・北東北の縄文遺跡群」(一戸町:2021年登録)

 縄文時代の御所野遺跡、平安時代の平泉、幕末~明治時代の橋野鉄鉱山。岩手県には先史、中世、近代、それぞれの時代に生まれ花開いた世界に誇る「文化」があります。そして、今も残るその姿は、私たちの想像をかきたててくれます。先人たちが築いてきた「遺産」に出会う旅へ、出かけてみませんか。

 

 

 

<参考>

文化庁世界遺産 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/sekai_isan/

世界遺産オンラインガイド https://worldheritagesite.xyz/tag/first/

岩手の3つの世界遺産 https://www.pref.iwate.jp/kyouikubunka/1059148/index.html

(いずれも参照は2023‐10‐19)


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行動力を上げる書き出しワーク

2023年10月01日 09時00分00秒 | vol.171~180

 今年も残り3か月。2024年のカレンダーや手帳も見かけるようになり焦っている人もいるのではないでしょうか。

 早い人だと2024年の目標を立て始めている人もいるかもしれませんが、来年の目標なんてまだまだ!と言う人のほうが多いかもしれませんね。そこでお勧めなのが2024年の「やりたいことリスト」と「やめたいことリスト」の書き出しワークを今から少しずつ始めることです。

 まずは「やりたいことリスト」あなたの夢や望みを自分の中のリミットを外して思いのまま書き出してみることです。実現するかどうかは気にせず自由にワクワクしながら自分の望みを書き出してみましょう。一気に書き出す必要はなく思いつくたびに書き足しても大丈夫。可能であればいつまでにやりたいのかゴールの日付を書くといいでしょう。なぜなら人は、ゴールや締切りを設定することで行動に移しやすくなるからです。

 次は「やめたいことリスト」実は多くの人はやりたくないことを惰性(だせい)で続けていることが多いのです。だらだらと見続けるSNS、終わらないLINEのおしゃべり…。来年こそは、やめたい無駄な習慣と決別しませんか?そして「やめたいことリスト」を書き出すときは、なぜやめたいのか?やめるメリットとやめずに続けるデメリットを考えてみましょう。

例:やめたいことリスト   → だらだらと見続けるSNS

  やめたときのメリット  → 自分の時間ができる 学び時間が増える

  続けたときのデメリット → 時間の無駄 寝るのが遅くなる

 書くという作業は、漠然と思っていたことが文字になり可視化されることで記憶に残りやすくなります。さらにはあなたの行動力を上げ可能性を広げることにも役立ちますので2024年に向けて書き出しワークを始めてみませんか?

 

参考文献

ワタナベ薫(2022)『願いを叶える未来手帳2023』扶桑社


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