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花の詩「たんぽぽ」

2020年02月10日 10時11分07秒 | 花の詩

 春ともなるとそこかしこの木々の枝の冬芽が目覚め、野山の花が一斉に咲き始める。東北に住んでいた頃は根雪をスコップで取り除くと、その下から芽吹いた雑草の青々しさが眩く感じ「やったー春ダ」と感嘆したものだった。
古くから伝わる言葉に「踏まれても踏まれても、なお咲く たんぽぽの笑顔かな」というのがあります、たんぽぽの花は日本人に心に寄り添うものがあるようです。
 たんぽぽとは、キク科タンポポ族の多年草の総称で全世界に広く分布している。日本には「エゾタンポポ」や「シロバナタンポポ」、また、帰化植物の「セイヨウタンポポ」など10種類以上あり、江戸時代にはもう存在していて「鼓草」(つづみぐさ)と呼ばれていた。その後、日本伝統の楽器である鼓を叩く音の「タン」と「ポポ」という擬音が語源となりタンポポと呼ばれるようになったというのが通説です。
 英語では「ダンデライオン」といいますが、これは「ライオンの歯」という意味で、葉のギザギザがライオンの歯に似ているところからきたそうです。

【花言葉】
 古くからヨーロッパでは、たんぽぽの綿毛で恋占いをしていたことから、「愛の神託」や「神託」といった花言葉になったとされて、また、綿毛が風に吹かれて飛んでいく際に、ばらばらに離れていくことから「別離」の花言葉もあります。色々あるので並べると「愛の神託」「神託」「真心の愛」「別離」「幸福」「思わせぶり」「実直」「誠実」「神のお告げ」とたくさんあります。

【たんぽぽについて】
 「日本たんぽぽ」(在来種)は、ガクのように見えるところ、総苞片(そうほうへん)が、しっかりしぼんでいて、上を向いていますが、外側に反って下を向いているのが「西洋たんぽぽ」で、横に反っているのは在来種と外来種の雑種の可能性が高いようです。現在では、日本たんぽぽをみつけるのは難しく、ほとんどが西洋たんぽぽです。
 さて、「たんぽぽ茶」というのが昔むかしからありますが調べてみると、健康茶に興味がある人、カフェインが苦手な人などには参考になるかもしれません。妊婦にも良いとされ、また便秘、ダイエット効果もあるようです。
調べるていくと「たんぽぽコーヒー」という名前が多く出てきます。「たんぽぽ茶」は、お茶というよりはコーヒーに近い飲み物ということでしょうね。「たんぽぽ茶」の発祥はアメリカで、1830年代のニューヨークアルビオンに、たんぽぽ茶の作り方の紹介の記事が掲載されたのが、たんぽぽ茶の始まりとされていますが、起源については諸説あり、ポーランドで誕生したという説もあります。ポーランドでは貴族の人しか飲むことができない味を、国民にも味わってもらいたいと、国王の考えによりたんぽぽコーヒーができ、ヨーロッパに広まったと言われています。

 さて、「たんぽぽ」の親しみ深さからか、伊丹十三監督のラーメン屋を描いた「たんぽぽ」や、目立たないが希望を捨てず強く生きていく姿を歌ったシャンソン歌手のくみこさんの歌に「たんぽぽだけの花屋」というのがあります。
 また古くは、古典落語に「鼓ヶ滝」という興味深い噺(はなし)があります。
『若き日の西行が摂津国の『鼓ヶ滝』を訪れ、
「伝え聞く 鼓ヶ滝に来て見れば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」
という和歌を詠んだ。
その夜、西行は近くの民家に、一夜の宿を借りた。
民家には、年老いた夫婦と十五・六の孫娘の三人が住んでいました。
西行は、その三人に請われるままに、昼間詠んだ和歌を披露します。
「伝え聞く 鼓ヶ滝に来て見れば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」
ところが、歌を聞いた三人は、
「鼓なのだから、『伝え聞く』よりも、『音に聞く』にすべきだ」とか
「『来て見れば』も鼓を打つの縁語で『うち見れば』にすべきだ」とか
よってたかって、西行の自信作を直してしまった。
「音に聞く 鼓ヶ滝をうち見れば 川辺に咲きし たんぽぽの花」
口に出してみれば、自分の作より確かに優れていた。
そこで、西行は自慢の鼻をへし折られ、自分の修行の足りなさを実感した。
ところが、夜が明けてみれば、そこに民家はなく、自分が小さな祠の前に眠っていたことに気が付きます。
その祠を見ると、祭られていたのは「和歌三神」と言われる神様で、西行の慢心を戒める為に、老夫婦と孫娘の姿で現れたことを知るのでした。その後、西行はいよいよ歌道に精進をして、優れた歌詠みとなった。』という話・・・。

[俳句]
「山門に うなゐら遊ぶ たんぽぽもち」(山口青邨)
「しあはせに 短かたんぽぽ 晝になる」(細見綾子)
「蒲公英に 春光蒸すが 如きかな」(高浜虚子)
「たんぽゝの 黄が目に残り 障子に黄」(高浜虚子)
「たんぽゝに 城出て遊ぶ 女達」(長谷川かな女)
「乳吐いて 蒲公英の茎 折れにけり」(室生犀星)
「蒲公英に 飛くらしたる 小川哉」(小林一茶)
「犬去つて むつくと起る 蒲公英が」(夏目漱石)
「たんぽぽや 折々さます 蝶の夢」(加賀千代女)

[和歌]
「いとけなき 心葬りの かなしさに 蒲公英を掘る さとの岡べに」(齋藤茂吉)
「仄かにも 吾に親しき 豫言を いはまくすらしき 黄いろ玉はな」(齋藤茂吉)
「廃れたる 園に踏み入り たんぽぽの 白きを踏めば 春たけにける」(北原白秋)
「ふはふはと たんぽぽの飛び あかあかと 夕日の光り 人の歩める」(北原白秋)
「鋸の 齒なす諸葉の 眞中ゆも つら抽きたてる たむぽゝの花」(長塚 節)
「かたすみの 杉の木立の うす赤み 枯草原に たんぽぽの萌ゆ」(若山牧水)

[詩]
『タンポポの呪詛』(江間章子)[「夏の思い出」の作者]

 タンポポは魔女ではない
 けれどタンポポはヴイナスを殺した
 子供たちよ
 酔った女に近寄るものではありません
 やさしい聲がわたしの命を奪ったのだ
 あれはヴイナスではありません

[詩]「たんぽぽ」(川崎洋)[教科書]
 たんぽぽが
 たくさん とんで いく
 ひとつ ひとつ
 みんな 名まえが あるんだ
 おーい たぽんぽ
 おーい ぽぽんた
 おーい ぽんたぽ
 おーい ぽたぽん
 川に おちるな


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