ホテルにチェックインのあと奈良公園を散策しました。
今年の紅葉はあまり色がよくなく諦めていましたが、やはり奈良公園のモミジは
綺麗でした。
この紅葉をデジブックにしてみました。
デジブック 『奈良公園の紅葉』
山路を歩きながらこう考えた
智に働けば角がたつ 情に棹させば流される 意地を通せば窮屈だ
とかくこの世は住みにくい・・・・・
こんな冒頭で始まる夏目漱石の「草枕」
その草枕の舞台である熊本・河内~天水町を11/3歩きました。
ここは「草枕の道」とも言われています。
スタートは鳥越の峠の茶屋です。
上熊本駅からバスでここに移動します。
漱石は、明治29年熊本第五高等学校の英語教師として熊本に赴任します。
その年の大晦日に奥さんが作ったおせち料理をお客さんが来る前に
書生達が食べてしまったので怒り、翌年30年の大晦日に友人と小天温泉に
(小説では那古井)数日間逗留したことを小説にしました。
お~いと声をかけたが返事がない。軒下から奥を覗くと
煤けた障子が立て切ってある・・・・・
これは草枕の第二章の始まりです。
草枕の道には2箇所の御茶屋さんがあります。
ここ鳥越の峠の茶屋と野出の峠の茶屋です。
漱石は二つの茶屋を一つとして書きました。ここは鳥越の峠の茶屋です。
こちらが復元されています。
峠の茶屋を過ぎると急な坂になってきます。
私も何か考えながら歩こうと思いましたが、この峠急過ぎます。
今朝、ブログ仲間が出した「謎かけ」でも考えようかなと思いましたが
とてもきつくて考える余裕さえありません。
石畳の道を通りやっと峠の頂上に着きました。
峠からは熊本の三角半島、雲仙の普賢岳が見れます。
晴れていたらきっと見晴らしがいいのではと思いましたが今日は
生憎の曇り空、時々小雨も降っています。
この河内~天水はミカンの産地です。
山の斜面にはたくさんのミカンが植えられています。
歩いているとミカン農家の方からミカンの差し入れがありました。
このミカン南側の斜面に植えられ日当たりもよくとっても甘いミカンです。
しばらく歩くと那古井の宿(前田家別邸)に着きました。
宿に着いたのは夜の八時ごろ・・何だか回廊の様な所をしきりに引き回されて
仕舞いに六畳ほどの小さな座敷に入れられた・・・・・
漱石が逗留した那古井の宿は、前田家の別邸になっていて小説には回廊に
なっていると書いてありますが、現在漱石が泊まった離れだけが残っています。
広い風呂場を照らすものは小さき釣り洋灯のみである・・・・
何とも知れぬものの一段動いたとき、余は女と2人この風呂場の中に在ることを
覚った・・・・離れには風呂場があり漱石が入浴していると、もう誰も入っていないと思った次女那美が
男湯に入ってきました。実は女風呂もあったのですが、こちらは追い炊きがなく
ぬるいお風呂でしたので那美は熱い男風呂に入ってきたのです。
この那美は、志保田のヒゲの隠居前田案山子の次女「卓(つな)」でした。
銀行員の人と結婚しましたが銀行が倒産し実家に帰ってきたのでした。
この「卓」の妹が宮崎滔天(しょうてん)の妻であり中国革命の孫文と
深交のありました。
前田案山子は、衆議院議員も務めた人です。
こうやって草枕の舞台を訪ねると何か自分が漱石になった気がしてきます。
もっともこの小説で漱石は「洋画家」となっていますが私は絵の才能が
全くありません。
草枕の道のゴールは草枕温泉「てんすい」です。
私も漱石と同じ温泉で汗を流しました。
デジブック 『漱石「草枕の道」』
http://www.digibook.net/d/4404c51f9098acd427e1cd84daa81a0c/?viewerMode=fullWindow