こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

一 蓮 托 生

2008-11-25 05:58:47 | Weblog
ドルを基軸通貨とする国際経済を成り立たせている現在の枠組みは

その結果として

急速な経済格差を生みだし

アメリカの対極に位置していた当時のソ連と呼ばれていた共産主義諸国を

20年の歳月をかけて自己崩壊へと追いやった


金本位制からアメリカが一方的に離脱したのは

1971年夏のことだった

ソ連が消滅したのは 1991年の冬のことである


この間におきていた決定的な変化は

市場規模の拡大に成功したアメリカのいや優る繁栄と

計画経済にこだわったソ連の対照的な低落ぶりであった

圧倒的な経済格差というものが発生し

情報統制されていたにも関わらず

ソ連全土へと短期間で広がってしまった


経済分野における決定的な差がついた 

ということが

共産主義体制という理念でつくられたシステムを 

内部から崩壊させることになったのだった


金の絶対量という制約から離れることができた自由主義市場は

デリバティブと呼ばれるさまざまな取引手法を開発し

資金供給に制限のない経済システムを生み出すにいたった


世界の市場で通用する通貨となったドルの価値を裏付けていたものは

金から石油へとその間に変更されている

この枠組みのことを 石油・ドル本位制と呼ぶ

あたらしい金融システムを側面から支援していたのが

IMFを中心とする

ドルを基軸通貨として補強するための支援体制であった


戦後からドル・ショックの頃まで

ブレトンウッズ体制と称されていたものだったのだが

世界銀行と国際決済銀行をIMFの傘下に加えたことによって

ドルの発行権を最大化させる効果を生み出し

IMF体制と称される現在の枠組みを構築していったのだった


この措置をとったことによって 

米政府は

ドルを制限なく発行することが

自在にできるようになったのだ


ドルの発行権を駆使して大量の基軸通貨を世界へと供給し続けたことが

世界中でドル余り現象を生み出すこととなった

過剰発行されたドルが

めぐり巡って

信用経済を成り立たせていたものを

自らぶち壊してしまったのが今回の信用収縮を起源とする金融危機だった

元はと言えば

アメリカが播いた種が発芽し 実をつけたもの


その責任を自らすすんでとろうとしているのが 

ドル資産を大量に抱え込んだ国々


ドル資産という名のつっかい棒で

かろうじてドル経済圏の倒壊を抑えている

という構図が見えてくるのではないだろうか



われわれは このような拙い社会構造の上に乗せられたまま

どうすることもできず

行方も分からない川の流れにのって漂う一枚の枯れ葉にひとしい

流れに身を任せるしか 打つ手がなくなっているからだ


経済を知っていると自称していた者たちが招いたこの粗末な結果を

そうでないその他大勢が引き受けなければならなくなった

というのがことの顛末である


判断能力のない指導者をもったことの不幸は

一蓮托生という状況を強いられるという結果を導いた

誰も望まない破滅への道を選択した過去の過ちを

これ以上繰り返してはならない


ただしい認識を多くの人がもつようになったとき 

有効な解を 

そこから引き出すことができるようになるだろう
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