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脱 貧 困 化

2009-12-19 11:57:10 | Weblog
日本の貧困化プロセスを取り急ぎ中断するためには

国富を漏出させているメカニズムに関与し

傷口をふさぎ

症状がこれ以上悪化するのを防がなければならない


人体のもつ生命のメカニズムにたとえるなら

出血している個所を放置したままでいると

動くことさえできなくなり

ほどなくして

生命活動は停止する


経済ダイナミックスの分野でも

同じことがおきている

外資を呼び込むのは有効な方法だったのだが

利潤の還流を放置したままでいると

国内で回るべき流動性の血液が薄くなり

企業からは活性が消え失せて貧血状態へと陥る


最善の方法は

外資の流入を促して

それが日本からすぐに出ていかない仕組みをつくるということ

国内で一定期間資本を循環させてから

利潤の一部を制御可能な範囲で

ゆるやかに還流させてやるのが 

最もよい結果を生む


ドル資本と呼ばれる一群が跳梁し

跋扈するがまま

それを放任してきたということが

日本から資産を大量に漏出させる結果を生み出している

国民の困窮はその結果であった


発行し過ぎてダブついているドルを回収しなければ

アメリカはドルの発行権を新たに行使することができない

強大な軍隊を

世界中に展開させておくためには

莫大な資本が必要になる

米国民がその負担に応じているという訳では決してない

医療保険制度を導入すると一人当たりの税負担が増えるので

これ一つを増税の原因になるとして

多くの米国民がオバマに対して批判的になったのだった

それほど増税には過敏な反応をする米国民が

軍事力を強化するためとはいえ

すすんで増税に応じられるはずもない


アメリカを世界の保安官として自任させているのは

ドルの発行権を濫用して

基軸通貨であるドルを

大量に発行することができていたからだったのだ


イラクで戦争状態が続いていた間

原油相場は大きく高騰するような展開をとっていた

原油代金の精算は特別の場合を除き

ドルで決済することになっている

ドルの需要が急速に膨らめば

ドルの発行権を行使するという合理的な理由がその場で成り立つ


短期戦と思われていたイラク戦争から

アメリカは足を抜けなくなってしまっていた

長期化で増加した戦費を調達するために

WTIを高値へと誘導する戦略をとっていたのだが

その主な理由とされていたのが

原油の供給がタイトになったというメッセージの公表であった

ハリケーン・カトリーナで製油所が機能しなくなったとか

復興の遅れで原油の流通が制約されているとか

他愛のない理由を

エネルギー省長官が繰り返し公式発表するだけで

原油価格は跳ね上がるようになっていた


同じ経過が何度も繰り返されていたのだったが

羹にこりた経験を活かして

流通インフラを改善させるための整備を急いだ事実はなく

相場は相も変わらず

表向きの理由に即座に反応し

それで利益を得ようとする者たちが

原油価格を高値へと押し上げるという慣行が

既に定着するようになっていた


原油価格が急落したのは

ブッシュ政権の継続が拒否され

イラクからの撤兵を実行することが確定した直後のことである

相場はアメリカのおかれていた事情とその背景とをよく知っていた

ということになるだろう


つまり演出された原油の高騰が

大量のドルを発行する必要性を米政権へと与え

その結果として

市場が吸収できないほどのドル余り現象を生み出した

ということなのだ

ドルの通貨供給量に関するデータは

イラク戦争が始まって以来

一度も公表されていない

それほど大量のドルが発行されていた

ということだったのである


2008年秋に突発した金融危機は

ダブついているドルの回収に当たっていたグループが

その勢いに乗じて

株式市場だけではなく

住宅市場にも資本投下を積極的に行っていたために

サブプライム・ローンの市場で

貸付競争を引き起こしたことに起因する

融資の回収が困難となり

大量の焦げ付きを発生させたことを起源として

金融業界では

信用収縮という現象を生み出してしまったのだった

その結果として

ドル建ての資本の移動がまったくできなくなってしまったのである


疑心に暗鬼を生じる展開が繰り返され

ドルを供給しようとするものが誰も居なくなってしまったのだった

資本の移動が止まってしまったということが

国際経済に大打撃を与えたのである

アメリカの低金利政策はこのようにして生まれてきたものであり

その危険性を指摘する者が経済界に欠落していたために

いまではその低金利という状態を

ドル安政策を実行するための絶好の餌とみるようにさえなったほど

都合のよい理由づけが闊歩する時代となった


ドル資本の一群は

転んでもただでは起きない人種で構成されている

アメリカ以外の国民が貧困に陥っても

そんなことにはまったく頓着しない

投下した資本を安全に運用し

得た収益を着実に

早く回収する

というのがドル資本に与えられている役割なのだ

ドル資本がやってきた国の市場が枯れるのは

当然の帰結


経済成長が調達金利と為替差益を超えている市場では

資本の急速な回収はおきない

代わりに再投資が繰り返されるようになっていく

このケースでは貧困化は起きない

日本でもこの状態が小泉政権まで続いていた

ホリエモンが話題になったあの時代のことである

リーマンの利益分配が巨額なものであったということを

思い出せる人は今でも多いことだろう

経済成長を期待することができなくなった国からは

ドル資本は速やかに出ていく

その結果カネの回らない市場が生まれ

国民は働いても豊かな暮らしを取り戻すことができなくなっていく

小泉政権では率先してダブついているドルを日本市場へと呼びこんだ

世に言う外資導入政策である

これが日本の富の流出を加速させるきっかけとなったもの


その日本で理由のない円高がおきているというのは

余ったドルを日本へ押し付けなければ

アメリカは新規にドルを発行することができないからだ

既発のドルで円を大量に調達すれば

円高を嫌う産業構造の日本では

為替市場へ日銀が非公式に介入し

高められた円を元の水準へと戻すために

率先して新規発行されたドルを買い求めるようになっていく

このドルとそれで購入したドル資産を総称して

外貨準備高と呼ぶのである

この日本が買わされてきたドル資産のすべては

円が高くなっている間

日本へと還流させることができない

その行為はドル安政策を推進し

回避したはずの円高を自らの手で推し進める結果を生む


日本政府と日銀は 

このように愚かな行為をプラザ合意の後から

延々と続けてきた

いまでは日本の在外資産は一兆ドルに達するほどの規模にまで伸びている


貧困化プロセスとは

ドル安政策の実施によって

対象とされた国とその国民を同時に追い詰めていくというモデル

この仕組みの持つ不公正で邪悪な仕組みに

早く気づかないと

この国は

アメリカを寄生させるための国民の棲む場所となり

その高い成長性に裏付けられた潜在的な経済力は

アメリカのための愛国者が

額に汗して滅私奉公するための

植民地市場として機能するようなものとなる

現在の相から観測されるものは最終段階の始まりであり

このまま何もしなければ

国民の不幸はもっとひどい状態にまで達するだろう

このような最悪の状態を未然に回避する方法として

民族資本を集約することにより

ファンダメンタルズの結果として

円安を制御下で誘導できるようにしてやる道が残されている


対等ならざる歪んだ日米関係を終息させるためにも

健全なエネルギーを

逸早く提供することができる環境を

可及的速やかに構築していかなければならない

その収益を活用すれば

通貨交換の力学を健全化する対抗因子とすることができる

この状況変化を導くことによって

ひとり日本のみならず

国際経済全体を

公平で平等なものへと進化させていくことができるようになる 
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