こ と の 端

散文でロジックを
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荒 地 の 旅

2018-04-08 08:10:31 | Weblog
教育の高度化

という方向付けを

世界中で

共通の目標として

疑うことなく

一意専心

目指す時代を経て

ついにここまでたどり着き

止まらない温暖化という見えない壁

の前で佇立することしかできない現実

に畏怖することなく

無謀な投資で臨み続ける以外

の選択肢を失っていることに

気付かずにいる






当代の文明は

このようにして

知識の量的拡大に特化した

ことによって

ものごとの本質

を考えるための時間を失い

獲得して得た知識の意味

を斟酌するために使うべきその時間を

別の知識を吸収するための時間

へと振り替えることを

善と勝手にそう心得た


間口を横ざまに広げてはみたものの

掘り下げる努力を避け

新しい分野を開拓したその代償として

思考力とそれが導く批判精神

とを同時に失う結果を手に入れた


物事の本質を

考えるための時間を惜しみ

知識に付随する

上っ面の機能を追い求め

考慮する愉悦を躊躇なく放棄し

知識の質敵深化より

量的膨張の方

を寧ろ重んじる偏った教育を

独善的な判断で

専ら受け容れる習慣を

身に着けてきた

思考力の欠如は

この段階で既に始まっている


こうして思慮を失う代わりとして

獲得してきた新分野の知識を

深く掘り下げる努力を捨て去り

単に他者との競争

に勝利するためという名目で

寸暇を惜しんで

新知識の修得に務めることが

共通の善となる風潮を整える行為に

率先して無批判のまま加わった

その結果学歴フィルター

と呼ばれる夾雑物が

至る所に残された


学習で得た知識の読み出し速度

を競うことで優劣の差を効率的に判定し

他者を排除するためだけのために

遊ぶための時間を強制的に献上させられ

健全な発達が必要とするプロセス

の価値を顧みることなく

思考力をひたすら鈍麻させるだけの

行為に過ぎない

重畳的な徒労に終わる日々



疑うことなく

無思慮に送り続けることを

義務として自覚した


知に本来備わっているその価値を

垂直に掘り下げることによって

ではなく

水平方向への闇雲な拡大

をひたすら目指して

質を犠牲とすることにより

量で実体のない優越性を

手にいれることで

安心と慢心とを一挙に手にした


他者を差別化するために

積み上げてきた該博な知識は

脳内で意味の合成を引き起こす機会を失い

進学競争が終了した段階で

知識のデッドストック

となって滞留する事態を生み

代わりに失ってしまった

本質を見抜く力が

犠牲とされることには

一向に気付かぬまま

ノー天気に過ごす余勢を楽しんでいる


このようにして営々と積み重ねてきた

教育投資の総合的結果として

手に入れた大量の知識を

薀蓄を傾けるための解発機会

としてクイズ番組

を代償とすることによって

満ち足りた気分となった


思考力の涵養に結びついていない

膨大な知識をもちながら

知識を解発する機会を与えられることなく

教育投資に使われた資本と貴重な時間と

を同時に失いながらも

思考力を試す意欲さえ失った

ことに相かわらず

気付かない


批判精神を退行させることにしかならない

現状の教育システム

に組み込まれている安心感



鬱屈した状態にある事実

に気付く事態の到来を今も尚

遠ざけている


世界規模で同時進行するようになった

この教育投資の失敗を意味する結果

が確定させた知の劣化

という共通の現象

が示唆するバイアスの関与

というものは

民主主義という社会体制に

いま

強く重大な負圧をかけている


国民がもつべき健全な判断能力は

誤った教育制度を導入したことによって

指導体制の脆弱化を導き

適切な判断能力を失った現実

から目を反らしていること

を意識野から一斉に放擲した


選良に投票する側

に置かれた立場の国民に

一定水準の思考力が備わっていなければ

投票能力の正当性は担保されない


要するに民主主義の成否は

教育で決まるのだ


トランプに投票したマジョリティとしての米国民に

正当な判断能力が保持されていた

とする根拠は未だに不明

ロシアによる誘導が実施されていた

とする疑いさえ

払拭されずに残っている


健全な判断能力が備わっているのなら

偏った思い込みを

それと自覚した上で

自ら率先して排除する

努力を惜しむことはあるまい


無批判に数の論理で投票した

一塊

の思慮をもたない群れ

がマジョリティとなっている国家では

投票行動に判断の根拠

を明示することができない


不健全な教育制度を導入している国

の選挙が国民全体の意志

を反映しているということには

どうみたところでならないのだ


日本の事例にあるように

野党の不明が与党の蘇生に

かつて大きく寄与した

というケースさえ残されているほどである


国民の大多数が健全であったとしても

選良の側に不健全性が沈殿したままであるのなら

結果として

国の劣化は避け難い

公文書の改変を装った改竄

こそ

そのなによりの証拠


環境投資の失敗は

二酸化炭素濃度の一方的増加に終わり

京都議定書をパリ協定へと

シフトさせる

という結果を生むに至らしめた

有効解がそこにある

ということでは決してなかったのだ

ということが

達成期限の明確な設定を避けさせ

猶予期間を今世紀末まで

という曖昧で遠大な猶予期間

を設定したことで

最終的に0%とする

とした意味不明の

なにやら良さ気にみえるだけの

奇妙かつ巧妙な対策で

お茶を濁したその代わり

削減比率を一律100%

へと高めることで

排出量をゼロにする

とした実現不可能なほどにまで

最大化した目標を設定し

すっかり気候変動に歯止めをかける

免罪符を与えた積もり

で充ち足りているその姿こそ

あはれなること限りない

却って不気味なことである


これが教育を高度化して得た

その不毛な結果

気候変動はこれから先も

文明に祟り続けて止まらない


問題の本質にさえ

一向に未だ気づかない

何と愚かなことだろう

文明が到達した

当座の偽りのない

ありのままの姿

というのがこのレベル


投資の総てはこうして無効に終わることとなり

すべての当事国に損失を負わせておきながら

止まる筈のない温暖化に

無駄な投資を嵩ね

事実関係の確認

を相変わらず怠っている

この自覚なき蒙昧さ


人材の育成にも

多大なる損失を負わせたのみならず

混迷の度合いを

より一層深いものに

現在も尚し続けている


問題認識能力の不在

という共通集合を構成する

不具合の根源となっている部分は

紛れもなく

教育の失敗が生み落したもの


大学を含む教育機関の淘汰

は数年前から

既に始まっている


考える力を涵養する教育でなければ

問題認識能力は育たない

また問題の所在を突き止められなければ

モンダイ解決能力を引きだせない

自覚なき蒙昧は

錯誤の上の自覚なき覚醒

と一対となり

果てしのない循環構造

を組み上げる

これが止まらない温暖化のその正体


気候変動を生み落したのみならず

経済認識能力の不在という粗末な現実が

日本にバブル崩壊の深い爪痕を刻み付け

失われた十年を

倍の二十年へと押し広げただけでなく

そこにアベノミクスを起源

とする失敗の連綿たる継続が

不毛なる三十年を

日本経済へと与えている

この事実が

高い教育を受けたことによって

盲いたる知識階級

の量産と再生産とを

より一層力強く進めさせている


このようにみてくると

不具合を齎した共通の原因は

教育の失敗以外に

アリエナイ

ということになる


問題の本質を知れば

有効解はそのすぐ先

に待ち構えているものなのだ
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