こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

沈 黙 の 果 ②

2018-06-03 07:55:43 | Weblog
交流送電という

今となっては世界規模のインフラ

として遍く普及している

その形式は

変圧装置を介在させることができなければ

本質的に成り立たない

システム


交流電流による長距離高圧送電

という方法が京都議定書を

第一約束期間で終結させ

代わりに

パリ協定という新しい枠組みの策定

を急がせた


現状の電力供給システムは

電力需要地の至る所で

電信柱の上に乗っている

樽や筒のようなカタチをした

トランスと呼ばれている

アレ

が円滑に機能することで

供給電力の安定化

を維持している


トランスと呼ばれている電気工作物

の内部には二系統の接触関係にない

別々のコイル

が独立状態で配置されており

互いに磁場を共有する関係

を相互間で共有している


電流は導体上を流れるだけのことで

磁場変化を引き起こし

それ自体が電磁石としての機能を

有する


その事実は

アンペールの法則として

夙に実証されていることである


トランス内部に収納されている一次側コイルに

電流を流すと

二次側の別のコイルに

電流を誘導するための条件

が整う


電気製品のスイッチをオン

にするとそこに負荷が発生し

必要な電流だけを

正確に

二次側コイルへと誘導できる


回路に発生した負荷

が求める必要な電流だけが

このようにしてそこに誘導される

という仕組み

余分な電流を誘導するようなことは

従っておきない


誘導電流を派生させるための条件は

負荷の発生

または電位差の設定による

電位差という条件

が果たしている機能は

天気予報でいう気圧差と

その意味は等しい

高い等圧線から低い等圧線

へと向かって

時に強風を吹かせることがある

この気圧差が大きくなればなるほど

暴風となって破壊力を増す

台風はその極致


電流もまた気圧と同様に

高い電圧の電位から

低い電圧の電位へと向かって

一方的に流れ下る

という性質条件に支配されている


電位差を最大にすれば

移動する電荷の密度は

当然最大化したものとなる

つまりより多くの電流を

供給することができるということ


最も低い電位とは

ゼロボルト

それは大地を意味する

交流送電で接地点を必要とするのは

電流値を最大化する

という目的があったから

に他ならない


発電機に供給が可能な電流を

常に最大にしておくことで

誘導電流を派生させる能力を拡大し

電力の安定供給に

世界中の電力業界が

怠りなくこれ努めている


一次側を流れる励磁するための電流は

接地点へと向かって

最大の電流量でひたすら只落ちてゆく

二次側に派生することになる誘導電流は

励磁電流の範囲内で

誘導能力を潜在的に保っている

励磁電流が減少すれば

誘導可能な消費電流は

当然ながら制限される


節電という行為は

二次側に誘導された消費電流を

単に減らすだけのことであることから

一次側の励磁電流を減らす能力

を本来もたない

これが省エネ節電が

温暖化を防止できずにいる背景のヌシ


起電力を生み出すための磁場変化は

励磁電流がゼロボルトへと向かって

流れ落ちることによって

与えられている

励磁電流がそこに不在なら

誘導能力は即ち

ゼロ

消費電流が回路に誘導されることは

アリエナイ


これが節電に務めていながら

二酸化炭素が増加し続けている

たった一つのその理由

火力発電所の燃焼炉の稼働率を

減らさない限り

温室効果ガスの大気圏内への放出は

絶対に止まらない


この所与の条件は

再生可能エネルギーを量的に拡大しても

変わらない

蒸気発電は一定の蒸気圧に対して

一定の回転数が保持される

という仕組み

回転数を減らせば

化石燃料の消費量は減るが

周波数は安定性を失って

乱れはじめる


火力発電所が運転を停止したとしても

燃焼炉で蒸気圧を維持するための化石燃料が

燃やされ続けている以上

二酸化炭素濃度は増えることしか

できない


この交流送電に備わる限界と効用

に関する基礎的な認識を

文明は未だ

よく理解することができずにいる


問題の所在がまったくみえていない

指導体制のトップにある

国連の環境部会にとって

有効な手段とは何か

という課題の意味を

突き止められないよう

こぞって韜晦する事態を生んだ

のは世界中の電力会社が共通に持つ

秘密主義を前提とする

決して表に出ることのない

鉄則


パリ協定では目標達成期限

を設けることを意識的に避け

猶予期間を引き伸ばしたその代わりに

CO2排出量を最低のゼロ%にする

という見てくれ重視の対策に終始した


問題の相貌が見えていないと

このように愚かな顛末が

歴史へとしっかりと残されることとなる

これが学力重視の教育が

現時点で得た

その結果

どんなに明晰な頭脳を持っていたにせよ

その使い方に問題がある以上

所期の成果はまず手に入らない

単にそれだけのこと


文明は教育の失敗に気付くことなく

問題の本質に近づくことが

長い間できなくなってしまったのだった

こうしてすべての環境投資が失敗していながら

同様の対策を推し連ねることしか

できなくなった

二酸化炭素の濃度上昇は

その当然の帰結に過ぎない


毎年環境対策に投じられてきた資本

の総てが

無駄となって潰え去るようになってから

既に久しい

有効需要の創出に失敗すれば

損失の山を築いて

経済活性を失う

という酬いを受ける

世界規模のデフレ経済化

という現状こそ

環境投資の積が生んだ失敗の

不毛なる負の成果


高度化した教育によって

文明が失ったのは

莫大な資本のみならず

安定した気候と

生命の多様性

及び既存の価値の

持続可能性を含む

その総体


驚異的な自然災害は

社会資本を強制的に剥ぎ取り

貴重な資本を

賽の河原に

際限なく石を積む行為

へと貶めた


問題認識能力が不在なら

観察力や決断力が

どれほど優れていたとしても

成果を失うだけのこと

誤った判断と決断は

減っているべき二酸化炭素濃度を

410ppmにまで

却って高めた


目下の急務は

地下資源を不要とする

出力変動がなく

また送電も必要としない

独立分散型の小型電源の

地域展開以外には

ない


再生可能エネルギーでは

蓄電デバイスを外せない

これがコストアップ要因となって作用し

低廉な商用電源のバックアップを

合理化する結果を生んだ

コストダウン効果を引き出せなければ

気候変動要因を排除することは

できない


エネルギーコストが下がらなければ

経済効果を引き出すことは

要するに不可能

化石燃料と核燃料を

地上から放逐するには

合理的且つ効率的な新電源の登場



絶対的に必要なのだ


そのための方法は

複数ある

問題の本質に文明が気付いたとき

世界中が一斉に探索を開始するだろう


交流の長距離高圧送電を温存すれば

状況は短期間で

急速に悪化する

文明存続の可否は

最早時間の問題だと

いってよい


業界が通有する秘密主義

という意図的な沈黙は

文明を死

へと一方的に追いやる
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