◆撮影:2013年1月20日、ほしだ園地にて
(クライミングウォール前広場)
2013年2月10日(日)
『山野逍遥』
<ほしだ園地>
[コースタイム]
[私市駅]10:20→[星の里いわふね]→(かわぞいの路)→11:20[ピトンの小屋]12:10→12:45[星のブランコ]13:35→13:55[ピトンの小屋]→(かわぞいの路)→15:45[私市駅]
◆所要時間:5時間25分
<星のブランコ>
初めて見る“星のブランコ”をJ太郎は如何に思うのだろうか、はたして渡ることが出来るのだろうか、それとも闊歩して歩くのだろうかと、彼が如何なる反応を示すのかを見てみたいものだと僕は楽しみにしていた。
その“星のブランコ”をJ太郎は、往路では50mの高さに恐怖を感じることもなく難なく渡ってしまった。しかしそれはもしかしたら、吊り橋上から見る景色や高度感が彼にとって初めての経験であったゆえ、高度とは如何なるものかが理解出来ていなかったからかもしれない。その証拠に、復路では僕の左手をしっかりと握り、吊り橋の端を歩こうとはせず、僕の脚に身体を擦り付けんばかりにぴったりとくっつけ歩き続けたからだ。
また、前回には殆ど興味を示さなかった“クライミング”にも挑戦した。挑戦したと云っても“ピトンの小屋”中に設置されている高さ2メートル足らずの人工壁においてだ。それも小学校3~4年生位の女の子が攀じっていたのを見て触発されて、ホールドに手と足を掛けたのだが一歩も動けない内に終了した。
J太郎は、自身の年齢に近い子供達(小学校低学年位まで)を見つけると一緒に遊びたい、仲間になりたいと考えるようだ。その子供達の親御さんが直ぐ横におられても構わないのだ。僕が“ピトンの小屋”のベランダから下方を見ていたとき、特筆すべき彼の行動があった。それは、“ピトンの小屋”前のこと、楓の木の前くらいでの出来事であった。そこには若い両親の間にJ太郎よりも確実に幼いひとりの男の子が立っていた。もしかすれば、その男の子は何かの拍子に転び立ち上がったばかりであったのかもしれない。男の子の直ぐ横に居たお母さんが世話をやくにもかかわらず、彼はその男の子を恰も知っている友達であるかのように振る舞ったのだ。男の子の傍に駆け寄るや否や男の子の衣類に付いているのであろう砂などを払い落す仕草をし始めたのだ。
帰路、私市駅までほんの少しの処にやって来たときJ太郎は、金属製柵の裏側に廻り、足下にあったプランター中を探り始めた。そして暫くして「ふうせん!」と嬉嬉として彼は声を張り上げた。それよりも先に僕は、そのプランター中に薄茶色のフウセンカズラの小さな袋が数個転がっているのに気づいていたのだが、僕はその存在を彼に敢えて教えなかった。昨年の9月下旬に初めて見た透明感のある黄緑色袋状のものと、この薄茶の袋状のものが同じものだと何ゆえ解ったのだろうかと不思議に思いつつ、さてこの袋を如何するのかと眺めていた。するとJ太郎は、乾燥した袋をバシバシと壊し中にあった黒色のフウセンカズラの種を数個取り出し、僕の顔を見上げて「たね」と言ったのだ。この直径5㎜くらいの球状の物が何で“たね”だと知っているのだろうかとまた不思議に思った。