2020年11月22日(日)
『山野歩』
<犬鳴山温泉~城ヶ峰~お菊山>
[コースタイム]
[犬鳴山温泉] 8:30 → 10:10 [城ヶ峰] → (鎌尾根) → 11:29 [ササ峠] 11:45 → (殿尾山) → 14:00 [お菊山(お菊松)] 14:15 → 15:07 [蓮信寺] 15:28 [東小学校前・バス停] → (マキ谷) → 16:50 [東小学校前・バス停]
<笹峠でテングチョウに出合う>
昭文社の地図と現地の道標とが、何となく一致しない山行となったように思う。
僕が道標を見落としたのかも知れないのだが、地図にある“滝ノ池分岐”も“昭和池分岐”も、そして“畔ノ谷分岐”も確認していない。
先ずは入山時であった。
犬鳴山バス停から、車道を500㍍ほど歩いた処右手に、“林道・生草線”と記された高さ30cmほどの小さな石柱が立っていて、それより細道が右手山手へと斜上している。
地図に、“生草谷”とあるのだが、これが“城ヶ峰”へと続く道だという確信は無かった。
しかし、もし間違っていたなら、戻って来ればよいとの思考で前進すると、10分くらい歩いたときに、“城ヶ峰→”と書かれた道標が現れホッとする。
ここが地図にある“鎌尾根”みたいやなという尾根筋を歩き、順調に笹峠までやって来たが、その後の道は、地図のどの辺りを歩いているのかが分からなくなる。
それ以降、関西電力による工事現場が三ヶ所に亘り点在していて、其処には借歩道が設けられていた。
この関係で分岐地点や道標が見えなくなっているのかも知れないよなと思いつつ歩き続けると、“← 絶景です 馬の背・殿尾山”と書かれた板が眼に留まった。
その方向へとホンの少し歩みを進めると、大阪南部の街と大阪湾、そして関西空港が一望のもとに見渡せる処に飛び出した。
此処が殿尾山なんだろうかと思ったが、何ら標識が無かった。
それより1時間余り、やっとのことでお菊山に到着したのだが、お菊山が近づいた処で、二組の中年男女二人連れが前方よりやって来た。
彼等は今日歩き始めて初めて出会う人であった。併しだ、彼等4人ともがリュックサックなどのバックの類を何にも携えていなかった。
お菊山には、僕と同年代と思われる堺から来たという、女3人と男1人の4人連れのハイカーがおられ、ホンの少し言葉を交わす。
暫くすると彼等は西方へと進まれた。間も無く僕も西方へと歩き始めたのだが、直ぐに現れた道標に、真っすぐは“堀川ダム”、右手は“新家”と書かれている。
ここが“畔ノ谷分岐”なんだろうかと思ったが分からない。
僕の目的地は東小学校ゆえ、さて、どちらを選択すればよいのだろうかと、地図を眺め躊躇していると、僕と同年代と思われる独りの男性がやって来られた。
其処で男性に、「東小学校という処に行きたいのですが?」と訊ねると、
「東小学校なのかどうかは分かりませんが学校はあります」と言って、“←お菊松―金熊寺→”と書かれた道標まで連れて行ってくださり、
「この道を一度歩いたことがあるのですが、途中にお寺があり、急坂を下って行くと、学校の近くに出ます」と教えて戴く。
地図を見ると、“金熊寺”は東小学校から至近距離ゆえ、安堵して男性が仰る通りに、その道を愉楽の精神で歩いた。
それより40分ばかり進むとお寺が現れ、男性が仰った通りの急坂を下り、暫くで東小学校前バス停到着。
予定よりも半時間ほど早く到着したので、計画通り、マキ谷に沿って、四石山を目差した。
“老人施設せんわ”という建物の裏を通って山中に入って行ったのだが、それからが大変だった。
最初はそうでもなかったのだが、途中より、倒木が現れたり、雑木林に行く手を阻まれたりして、それらを潜ったり跨いだりの連続となったのだ。
前進するのを諦め引き返そうと決断したのは16時が廻ってからであった。
足下に水溜りというか池があるようにも見えるのだが、薄暗くて明確に見えない事態に危険を感じ、この儘前進しても日没前に“四石山”に着かないだろうとの判断があった。
“四石山”に行けなかったことを残念に思いながら、“東小学校前”バス停のベンチに坐り、18時06分のバスがやって来るのを待った。
しかしバスがやって来るまでに1時間以上もあるし、寒気を覚えたので、歩いて“和泉砂川駅” へ行けば身体は温まるだろうと思い、
次のバス停を通り過ぎ暫く歩いたのだが、現れた交差点で、どちらの道を選択すればよいのかが分からない。
とっぷりと日が暮れてしまい、老眼の我が眼では道路標識の文字が読めない。仕方なく、金熊寺のバス停まで戻り、バスがやって来るのを待つことにする。
ところが、ポツリポツリと雨粒が落ち始めたのだ。さて如何したもんかなと道路の向こう側を見ると、駐在所があるではないか。
其処で、バスが来るまで駐在所で雨宿りさせて戴こうと、駐在所に飛び込んだ。
すると、警察官が住いより出て来られ、バスが来るまでの少しばかりの時間ではあったが、警察官より周辺の情報を頂戴することとなった。
「“老人施設せんわ”という処から山に入り、“マキ谷”を詰めたのですが、道が分からないし暗くなってきたので、戻って来ました」と警察官に話すと、
「戻って来られたのは、懸命な判断です」「いつの地図を見ているのですか?」「老人ホームの裏の道はあきません」などと仰った。
その警察官が仰った話題の中に、近くの山で最近起こった二つの遭難事件があった。
一つは、僕よりの年配の男性が、二晩下山できなかったという遭難事件。
もう一つは、小学生を連れた30代の男性が、自宅に戻らないので、捜索した結果、展望台で見つかったという事件であった。
また、どの辺りからだったのだろうか、笹峠の手前くらいから、延々と続いた松茸山、そこには「入山禁止」や「入ったら罰金」などと書かれた張り紙が掲示してあったのだが、
僕が、“畔ノ谷分岐”と思われる処で、どちらの道を選択すればよいのだろうかと躊躇しているときに、“←お菊松―金熊寺→”と書かれた道標まで連れて行ってくださった男性が、
「山主に質の悪いのがいて、ハイキングコースに、わざと松茸を置いといて、
それを取った人に、警察に行くか、それとも罰金を払うか!と脅して、100万円請求するらしい」と仰ったのだ。
「それはほんとうの話ですか?」と返すと、「ほんとうです」と答えた。
今日、僕の眼を捉えたのは二つの生き物だ。その一つは、“笹峠”で一休みするときに、一頭の蝶が翔んできて近くの葉っぱに停まった。
その蝶とはテングチョウで、11月末に生きているなんてと思うと愛らしく思えて仕方がなかった。
もう一つの生き物とは、“蓮信寺” の石垣に咲いていた黄花の“アオヤギバナ”だ。