10/11(月)塾の調整休日を利用して、家内と二人でN響のコンサートに行ってきました。
新型コロナが流行りだしてからずっと行けなかったので、本当に久々です。
マスクをかけ、消毒をして完全防備(笑)で席に着くとまもなく本日の指揮者の川瀬賢太郎氏のプレトークが始まりました。自己紹介から始まり、本日のチェロ独奏者佐藤晴真氏の紹介、曲目の紹介がありました。詳細はプログラムにあるので川瀬氏のユ-モア溢れる解説が楽しくためになりました。
こんなにイイ話をしてくれているのに隣の見知らぬ年配婦人二人は雑談に夢中。これから演奏する指揮者が聴衆に向かって熱心に話しているにそれを全然聞かないという残念な態度。指揮者のプレトークを何だと思っているんでしょうか。未だにこういうとんでもない人がいるんですね。プレト-クの後ちょっと時間を挟んでいよいよ演奏開始。この年配婦人二人、さすがに演奏中は雑談しませんでした。ホッとしました。
川瀬氏のパワフルな指揮の素晴らしさもさることながら、佐藤晴真氏の独奏、「素晴らしい」の一言。
今回初めて佐藤氏の演奏を聞きましたが、チェロの超絶技巧はもちろん情感のこもった音色に感動し、涙が出そうでした。まだ23歳と聞き、「早熟の天才チェロ奏者」と世間は思うかもしれません。しかし、その曲が完全に自分のものとなるまで、きっと毎日毎日長時間練習しているのだと思います。オーケストラとの共演でも、すべての曲を諳譜で弾いていましたから。
「類い希な才能を持った人」がそれにおごらず、日々一生懸命に努力する。-こういう人が、どの世界でも最強ですね。
演目のベートーヴェンのエグモント序曲はCD(レコード)で何十回、何百回と聞いたので、オーケストラを自らが指揮をしているかのように勝手に手が動きそうでした。さすがN響です、1曲目からいい音出しています。
次のチャイコフスキーのロココ風の主題による変奏曲イ長調作品33(原典版)は恥ずかしながら本演奏会で初めて聞きました。こちらも佐藤氏の情感こもったチェロ独奏とそれを引き立て、N響自身の素晴らしさをも発揮しているN響、素晴らしいです。ふと気づいたのですが、23歳の佐藤氏に対して、何十年も音楽で生計を立てているN響メンバーがプロとしてリスペクトし、尊重しているのが素晴らしい。「プロはプロを知る。」
チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番より「アンダンテ、カンタービレ」を弦楽四重奏としてではなく「独奏チェロ+弦楽合奏」として演奏していました。N響をよんでおいて、弦楽四重奏だけというのは、あり得ないですからね。これもチェロ独奏と弦楽合奏がマッチしていて大変良かったです。
休憩後にベートーヴェンの交響曲7番イ長調作品92。
のだめカンタービレ(映画)でつかわれて以来、クラシック音楽愛好家以外の一般人にも身近になった7番です。ベート-ヴェンの交響曲と言えば、年の瀬に演奏される9番「合唱」、ダ・ダ・ダ・ダーンの5番「運命」、6番「田園」、3番「英雄」でしたが、映画のおかげ?でメジャー入りを果たしました。
こちらは川瀬氏の独特のまさに情熱溢れる力強い指揮がN響から情熱溢れる力強い演奏を引き出した?という感じがしました。ベートーヴェンらしい繊細かつ力強い演奏であったと思います。
音楽世界の門外漢が「わかったようなことを、何を偉そうに・・・」と思われた方もいらっしゃるとは思います。
しかし、プロレベルの「音楽評論家」だけでなく、私のような実は演奏の善し悪しもよくわからないような「6割の普通の人」も演奏に満足して、はじめて演奏会は成功だったと言えると思います。事実、今回の演奏会をご縁として、佐藤氏のCDを購入しようと思いましたし、川瀬氏の指揮する他の演奏会にも行ってみようと思いました。