「試験当日の集合時間が朝早いので受験校の近隣に前泊したほうが良い。」<o:p></o:p>
よく世間で言われることです。確かに朝早いと、子供も眠くてぐずったりするので試験会場の近くに宿泊したほうが親子ともども良さそうです。(海外旅行にご家族で行かれるなら、それも良いでしょう。)<o:p></o:p>
しかし、本当にそうでしょうか?始発で家を出ても集合時間に間に合わないほど遠方にお住まいの方は前泊するのはやむを得ないですが、始発で十分間に合うなら自宅から試験会場に行くべきです。<o:p></o:p>
その理由は? 他塾の卒業生のことですが、こんな話を聞きました。
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試験当日朝早いし、11/1からほぼ毎日のように試験が続くので家族で試験会場に近い都内のホテルに泊まりこみました。母親は家事にとらわれずホテルでゆったり過ごせるので快適ですし、父親もホテルから都内に出勤するので大賛成でした。子供も試験会場まで歩いても行ける距離ですので睡眠時間を多くとるためにギリギリまで寝かせておけます。早起きさせずにすむのできっと機嫌良く試験当日を迎えるでしょう。そして試験前夜ですのでホテルのレストランで子供が大好きお料理をたくさん食べさせて、明日から始まるハードな入学試験日程を乗り切るエネルギーを蓄えました。だから、「子供は持てる力を発揮して全受験校合格!」のはずでした。<o:p></o:p>
試験前夜ですので、いつもより早めに寝かせました。ところがその夜異変が起きました。<o:p></o:p>
いつもは童話を読み聞かせをするとすぐに寝付く子供が「枕が柔らかすぎて眠れない。」と言って、なかなか寝付きません。そうこうするうちに、「こんどはお腹が痛い。」と言い出しました。前夜食べ過ぎたようなので胃薬を飲ませましたがなかなか寝付きません。明日は入学試験なのに深夜12時を過ぎても寝付きません。親は焦るばかりです。結局、午前4時過ぎにやっと寝付きました。試験場に近いホテルに宿泊したと言っても集合時間に遅刻するわけにはいきません。明け方やっと寝付いた子供をギリギリまで寝かせてやり起こしたところ、眠いらしくてぐずっています。そして、悪いことに食べ過ぎが原因なのかお腹を壊して下痢気味です。<o:p></o:p>
そうは言っても入学試験を休んだら絶対に不合格ですので、ぐずる子供を無理矢理着替えさせました。歩いて行ける距離でしたが、子供の体調が悪いのでホテルからタクシーで試験会場まで行きました。<o:p></o:p>
試験会場に着くなり、「おトイレ、行きたい。」「さっき行ったばかりでしょう?」「我慢できないだもん・・・」「もう・・・・」<o:p></o:p>
そんな様子で長い1日が終わりました。
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結果は・・・やはり不合格でした。
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最初の私立小学校が不合格になったため、子供は自信がなくなり、次の入試では自信なさそうに行動したため「運動」や「集団行動」で「覇気がない。」「やる気がない」と誤解され、不合格になりました。最後は「総崩れ」となり、結局全滅で、今は公立小学校に通っています。
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このご家族とお子様は「運が悪かった」のですか?それとも「ご縁」がなかったのですか?
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もうおわかりですよね。悪いのは運ではなく、親のほうです。
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では、どうすれば良かったのでしょうか?<o:p></o:p>
①試験前だからこそ、いつも通りの生活をするべきなのです。6歳の子供は「習慣の生き物」です。子供は大人と違います。いつもと違うことをすると戸惑い、うまく対応できないこともあります。<o:p></o:p>
だから、前泊するなど論外です。人生経験の浅い6歳の子供は非日常の生活に喜び、興奮してしまい、眠れなくなります。枕が変わったことが真の原因ではありません。その証拠にご自宅からお子様が普段使っている枕を持って行っても、やはり寝付きが悪かったと思います。<o:p></o:p>
「自宅からだと朝早くて大変、寝起きが悪い子供はなおさら大変。」―よくわかります。<o:p></o:p>
しかし、前泊などせずに、1週間前から入学試験日のスケジュールにあわせて同じ早い時間に毎日起こします。そして、起きて身支度と朝食を済ませたら勉強させるのです。試験は通常朝から始まるのですからこの1週間で「生活のリズムを朝型」にするのです。そうしておけば、入学試験当日朝早くても全然心配いりません。<o:p></o:p>
それに大脳生理学の先生もおっしゃっていましたが、「人は起床してから3時間ぐらい経過しないと脳の働きが最高にならない。」そうです。頭もウオーミングアップが必要なのです。
ですから「ご自宅が遠くて試験当日は始発でいかなければ間に合わない。」そういうご家庭は実は脳の働きの観点からは最高の環境なのです。発想の転換をしましょう。<o:p></o:p>
②「前夜に好きな物をたくさん食べさせる」-論外です。<o:p></o:p>
6歳の子供の胃腸は大人と違い「食べ過ぎ」に弱いからです。試験前夜だからこそ、消化がよく、栄養バランスの良いものを食べさせるべきです。また、普段はそれぐらいの量ではお腹を壊さないお子様も試験前夜で緊張していると胃腸の働きが弱くなり、簡単に下痢をします。メニューも例えばハンバーグやとんかつ等は油分が多いので絶対にダメです。それらは合格した後に食べさせてあげて下さい。<o:p></o:p>
③もし入試当日に下痢をしたら、たいていアウトです。<o:p></o:p>
試験中にもおトイレに行きたくなり、トイレに行って帰ってきたらもう試験は終わっているからです。それにお腹に力が入らずフラフラでしょうから行動観察や運動でも×でしょう。<o:p></o:p>
④ホテルではなく、お母様のご実家等の親戚の家に前泊するのはどうでしょう?<o:p></o:p>
お母様はご自分のご実家ですから気兼ねなく過ごせるかもしれませんが、お子様にとっては最悪です。お子様本人も親戚の人達からいろいろと言われてプレッシャーをかけられます。まして、いとこがいたりしたら、いっしょに遊びたがり、結局時間をとられ、試験前日に最後の見なおしが出来なくなるからです。<o:p></o:p>
まとめ<o:p></o:p>
① 試験直前だからこそいつもと同じ生活をする。前泊は最悪。<o:p></o:p>
② 試験当日にあわせて1週間前から毎日早く起こして、慣れさせる。<o:p></o:p>
③ 試験直前には消化がよく栄養バランスの良いものを与える。
入学試験では、親にとって楽にするのではなく、子供が実力を発揮するのに一番良い状態にすることが肝要なのです。<o:p></o:p>