マンションの玄関のひさしに可愛いツバメの夫婦が小さな巣を作りました。
人間の手は届きませんが、棒など持てば届きそうな所です。
もっと高い所に巣作りをしたほうが安心できるのに・・・・
そう思っていました。
私たち夫婦は毎朝ツバメに「おはよう!今日も一日元気でね!」と心の中で挨拶をしていました。夜遅く帰ってきたとき巣を見ると、巣の中に頭をつっこみ、しっぽ(尾羽)だけ外に出して2羽で仲良く眠っています。まさに頭隠して尻隠さずです。ツバメのそんな姿がまた可愛いくて、「ツバメ、可愛いね。」と夫婦の話題にのぼります。「遠くの国から渡ってきたツバメも頑張って生きているなぁ~。私も日々の仕事をしっかりやらないと・・・・」そんな風にも思いました。
そういう日々が続きました。しばらくすると一羽があまり動かなくなり、もう一羽だけがえさを巣まで運んでくるようになりました。ほんの一瞬だけ「もしかして病気?」と思いましたが、すぐに合点がいきました。
そうなんです。ツバメの夫婦に待望の卵です。卵をじっと温めているのです。温めている間、もう一羽が甲斐甲斐しくえさを運んでいるのです。なんとほほえましい光景でしょう!守ってやりたいけど、人間が介入するときっとツバメ夫婦は怯えてしまうのでそっとしておいてあげよう。とも思っていました。
そして、つい3日ほど前の朝、巣の中からピィーピィーとかすかな鳴き声が・・・
ずっと卵を温めてきて、ついに誕生です。無事生まれたんだね。それも3羽も。お誕生、おめでとう!三つ子なんだ。ツバメの若いお父さん、育てるのが大変そう。でも可愛いから一生懸命育てるだろうな~。育てあげて、子供たちも自分で飛べるようになり、家族で遠い国に帰っていくんだろうな~。そう思って見守っていました。
つい先日の夜帰ってきて、いつものように巣を見たら、・・・・・・、
なんとあの可愛いツバメ一家の巣がないのです。撤去されているのです。床にはツバメの羽が散乱していました。
なんで今撤去?巣を作ってすぐに撤去したらあのツバメ夫婦は別のところに巣を作りなおすのに・・・。ヒナは生まれたばかりで飛べないし、ツバメ夫婦もヒナを運べない。最悪の時期に巣を撤去。なんで、こんな酷いことを・・・誰が?その後、管理人さんに聞いたら皆さん楽しみにされていたので自分は撤去していないし、誰がしたのかもわからない。もしかしたらカラスに襲われたのかも・・・とのことでした。
カラスがヒナを狙って襲い、必死に守ろうとしたツバメ一家を皆殺しにして・・・・。または、このマンションにサイコパスが住んでいて・・・・。
いろいろ想像できますが、真相はわかりません。もし、人がやったなら、なんて理不尽なことを・・・・。だとしたら、一見治安がよくみえる日本も嫌な世の中になってきました。
ツバメ一家を不憫に思っていたら、朝、その巣があったそばの植え込みに空き瓶に入った素敵なお花が・・・・。私たち夫婦と同じようにツバメ一家を可哀想に思う人が供養としてお花をそなえたのでしょうか。私たちも思わず心で合掌。
ツバメは自然の中の渡り鳥で、ペットではないのでそんな風に思わなくても・・・・とも思いますが、自然の厳しさと現実の理不尽さに言葉を失いました。
とあるマンションで、こんなことを思いました。