青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

菜の花が教えてくれたこと

2015年03月23日 21時35分20秒 | 小田急電鉄

(足柄平野一文字@栢山~富水間)

まさに陽気は春めいた暖かな日曜日。そろそろ菜の花の時期だから房総方面でも行って小湊鉄道(orいすみ鉄道)でもやろうかなあなどと妄想を膨らませておったのですが、小湊&いすみと言う条件提示にイマイチ子供のノリがよろしくない(笑)。先週飛び石で破損したクルマのフロントガラスの修理にカネもかかっちゃったしなあ、と言う事で近場で菜の花と鉄道が見れる場所に変更。最近、小田原の栢山あたりで線路際の田んぼをこの時期菜の花畑にしている場所があるそうなので、行ってみる事にしました。


ここいらへんの小田急線は足柄平野を真っ直ぐ小田原に向けて南下するルートを取っており、メジャーな撮影地でもそこここにあるんですが、栢山から富水にかけてのストレートの西側に見事な菜の花畑が広がっておりなかなか見事。へえ。こんなの昔からあったっけかな?と。ちなみに今月のロマンスカーカレンダーでこの場所を知った情弱なんすけどねw

 

菜の花の香りむせるような花畑。田んぼの畦に腰を降ろせば、春の風と蜜の香りに誘われたミツバチとモンシロチョウ。抜け抜けの青空とはいかんかったけど、霞っぽい感じも春らしさか。何だか絵本のような世界の中を走って行くロマンスカーたち。


菜の花の線路の上を滑って行く8000系。伝統のアイボリー&ブルーの帯締めが菜の花のビビッドな黄色に負けていない。小田急の通勤車の中で、1つで2個分の長手のクーラーキセを屋根の上にのっけたのはこの8000系が最初なのだが、当初はそれがすごく新鮮に見えたものだ。


ちょいと場所を移動して8000系の10連急行にかぶりつく。ひと昔前の10連急行と言えば5000+5200系が多数を占めていたと思うのだが、5000の田窓と5200の一段下降窓と言う明確な違いがあって編成美と言う意味では8000の10連に軍配が上がります。まあもっと言うと9000の10連ってのが今思うと最強ではあったのだが、あれは千代直準急のイメージが強いので。


遠くを見ていた子供が「あー、さんぜんはっせんだよ!」と叫んで3000+8000の異種混結の10連急行。編成美とは真逆になってしまうけど、これも小田急らしさか。3000とか4000に固定10連が多くなってきたので、最近はそんなに混結急行を見る事もなくなってきたように感じる。ちなみに子供はこの混結急行が好き。プラレールでも色んな車両をくっつけてグチャグチャな編成を作って遊んでいるからなあ。


天気も良く暖かく、昼食は子供と2人でコンビニおにぎり。光線の回りも徐々に良くなって来たところでLSEのはこね23号を。午前中LSEが運用に入ってなかったんでここまで待っちゃったんだけど、待った甲斐があったなあ。ロマンスカーはやっぱりこの色。次世代の展望車が投入される話がないのでまだまだ現役なのだが、内装はそろそろリニューアルして欲しいかなと。

 

そして先週から就役10周年記念ステッカーを貼っているVSE。ちょっと控えめ過ぎてそのステッカーと言うのがどんなもんなのかイマイチ分からんので、酒匂川を渡っている際の接近画像を添えておきます(笑)。超鳴り物入りでロールアウトしたVSEも、早くも10周年かと言う事に感慨を覚えるのでありますが。


LとV、2本のロマが来る時間帯だけはやや同業者も集まっていましたが、基本的にはあまり知られてないのか地元民が散歩する程度。春の小川はさらさら流れ、ゆるやかにSカーブした農道が踏切に続いている。春の菜の花畑にはのんびりした時間が流れ、思わず昼寝でもしたくなってしまう雰囲気が。


この菜の花畑がある小田原市の栢山は、二宮尊徳(金次郎)の生誕の地。農業を通じて勤労と道徳の精神を説いた尊徳の教えは、「報徳思想」として現世に伝わっております。栢山の農家の家に生まれた尊徳は、若いうちに両親を亡くすなど不遇の身をかこちながらも、勉学に励み家業の農家を復興させ、小田原藩へ奉公し名を残しました。

大事を成さんと欲する者は、まず小事を務むべし。
大事を成さんと欲して小事を怠り、その成り難きを憂いて、成り易きを務めざる者は、小人の常なり。
それ小を積めば、大となる。

勉学のために夜の灯を欲していた尊徳さん。灯用の油が勿体ないと親に叱られ一念発起、荒れ地を開墾し菜種を播いて大きな菜の花畑に育て上げ、十分な量の菜種油を収穫したそうな。「大事を成すために小事を務む」と言う考え方が表れているエピソードなんだけど、その菜種を播いたのがどうやらこの辺りなんだって。なるほどこの菜の花畑は、郷土の偉人の教えを今に伝えるものでもあるらしい。
コメント
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