青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

夏の八丈島ツアー三日目① ~八丈島の富士登山~

2007年08月14日 22時50分26秒 | 日常
(画像:軒先のハイビスカス)

八丈島の家の垣根には、ハイビスカスが咲いている。
垣根の前で、日傘を差した老婆が暫く来ないバスを待っている。
八丈島は、スーツの人のいない島。
見ているだけで、のんびりとした風景だねえ。

●三日目
朝方昨日に引き続いてまたも20分のスコール。今日は寝坊して朝日を見に行くのを忘れた。朝飯は冷めた塩ジャケと小さな玉子焼きの寂しいおかずでコメをなるべく多く食う。今日は、登山ですから。

●八丈富士へ登る
今日も天気はピーカン。スコールの後の路面が太陽を浴びてモワモワと水蒸気を上げている。八丈富士は、八丈島の北西にそびえる独立峰で、高さは標高854m。今日の午前中は、この山に登ってみようと思う。

入念に宿で水と氷の準備を済ませ、いざ八丈富士へ。
地図を見ると、八丈富士には山腹に山を一周する鉢巻状の道路があり、そこから山頂へ徒歩でアプローチをするようだ。鉢巻道路の取り付きまでは車で行けるので、比較的楽チン。お手軽登山を楽しもうと言う訳。
まずは空港の裏手から続く登山道を上がってみる。これがなかなかの急勾配で、ハイゼットには辛い坂道だ。ベタ踏みしても上がらねえwまあ、854mとは言え良く考えたらほぼ海抜0mに近い場所から移動しているのだから、結構相対的な高度差はあるんだよな…。で、やはり海抜を上げるにつれて涼しくなって来た。下界はうだるように暑かったから、登山やるにゃあこれくらいでちょうどいいかも。鉢巻道路との合流地点辺りに展望台があって、登龍峠とは逆サイドからの展望が開けている。つか、空港がでけえなあ。ここからだと左が三根、右が大賀郷になります。

鉢巻道路に入ってすぐに登山口到着。頂上付近は青空が出たり雲が掛かったりと目まぐるしい空模様だが、まあ雨は降らなさそうだ。それにしても結構車で登ってきたつもりだったんだが、頂上まではまだまだあるなあ…w説明板によると、「ゆっくり歩いても一時間」らしいし、ここまで来て引き返すのは相当のヘタレだと思うので(笑)喜朗のクーラーから冷たい水を取り出して、タオルをかぶって準備万端。歩き始めるとしましょうか。

登り始めてから暫くは展望も開けず、なんともつまらない低木に囲まれた階段が続く。つか、登り始めて若干5分で既に心の臓がバクバク言ってて情けないんですがw地図を見るまでもなく、単独峰の登りってただただ登るだけだから辛いよな。尾根も鞍部もないし。またこの階段の幅が中途半端だし、岩が苔むしてて滑りやすいので余計に疲れるな。周囲の草木を照り付ける太陽で蒸れた空気の中、ダクダクの汗をかきながら男が肩で息をする。こんな真夏に山に登るのは伊達であり酔狂なのか、人っ子一人見当たらない登山道(笑)。ハイカーどうしたw
20分ほど登って、ようやく周囲の視界が開けて来た。雲の切れ間から見えるのは…おお、あれは昨日爆釣を納めた神湊漁港ではないか。つか、今日もあそこでのんびり釣りでもしとけばよかったよwもう遅いんだけど。登山道は間断ない階段の登りなので、どこで休んだらいいかペースがつかめず、とりあえず20段登ったら一休み、と言うペースを決めて黙々と登り続ける。ピーヒョロと言う鳥のさえずりと、何故かブンブンと飛ぶカナブンの羽音だけが聞こえる山登り。ヘタれてカメラを持つ手も既に水平が取れていないのはご愛嬌だwシャツは前も後ろも全面的に濡れてしまい、色が変わってしまった。水もしたたる何とやら。それでも上を見ると、刻一刻と山の稜線が近付いてくるのが救いだろうか…そんなこんなで登山口から40分。疲れてるんだけど、もう足を前に進ますしかないから。視界を遮るものは少なくなって来た。あと少しで、ようやく頂上。

登り切って、目の前に、八丈富士の火口が現れた。
火口は小さなカルデラ状になっていて、噴火で出来たと思われる中央火口丘を囲むように外輪山が続いている。火口はびっしりと低木に覆われていて、まーったく人の手の掛かってないその光景は不気味ささえ感じさせる。自分以外誰もいないというのもあるんだろうが。
不気味な火口から目を山麓に向けてみると、ただただ青い海が眼下に広がる。頂上付近から北斜面にかけてはガクアジサイと言う花の群落になっており、小さな花弁の向こうに海を行く船の白い航跡が見えた。

ここから本当の八丈富士の頂上までは、火口の周りを一周する「お鉢巡り」と言うルートを辿ってあと15分らしい。腰を上げて、いざと足を踏み出したのだが…

道は、自然に還っていた(笑)

ダメだこりゃw
戻りましょう。

●汗を流そう
山の下りは早いもので、自分の体重でどんどんスピードが上がってしまう。ペースを乱さないように降りて来たつもりだったのだが、車をデポした場所に戻って来たときには、膝がガクガクと大笑いの状態。山を降りてまずは「樫立向里温泉・ふれあいの湯」でパンツまでビショビショになった体の汗を流す。ここも塩分の強い茶色く濁った熱く塩辛い湯で、少し鉄の匂いもする。泉質はナトリウム塩化物強塩温泉。露天風呂付きのこんないい湯で300円とはお値打ち。里帰りしたらしい家族のじいちゃん&息子とそのガキが、仲良く入浴。島の暮らしを豊かにしているなあ。

●なんて素敵にオーシャンビュー
塩辛い温泉と言うのは、入っている時はいいのだが結局湯上がりに汗をかいてしまうもので、この後はまたも藍ヶ江の港へ行って泳いでしまったw滞在中に島の南部の温泉は全部制覇してしまおうと思っていたので、藍ヶ江の後は末吉地区の「末吉温泉・みはらしの湯」へ。暖まったり冷やされたりのハシゴ湯だ。ここは500円とこの島の中では割と高めの入浴料金のせいか、ほっとんど人がいなかった。受付のババアがヒマそうに入浴券をもぎる。

末吉地区の崖の上にあるこの温泉、「みはらし」と付けられたその名の通り、露天風呂からの眺めは…

なんて素敵なオーシャンビュー。

この島に来て、海ばかり見ている。空ばかり見ている。
ここでは、お湯に浮かぶ青空を初体験。
青にも、色々ある。

一人でぼーっと海を見ていたら、後から入って来た観光客らしいオヤジが一言。
「…明日から仕事なんて、どうでも良くなっちゃうなあ」

「仕事」、それはここではNGワード。

続く。
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夏の八丈島ツアー二日目② ~サビキング誕生~

2007年08月12日 07時21分45秒 | 日常
(画像:昼下がりの中之郷)

昼下がりの中之郷集落。
温泉あり、きれいな海水浴場あり、滝ありの豊かな集落
中之郷は、八丈島南部の集落では一番大きい。

●久々の海水浴
藍ヶ江の港で海水浴。マジで海水浴は久し振りだよなあ。前回は、確かハギーさんと紀伊半島のR425を攻めた日の前日に、現在の三重県志摩市の塩鹿浜と言う海水浴場でやったのが最後だと思う。あれは2003年らしいから4年ぶりか…意外と最近だなw
藍ヶ江の港は、台風の高波から漁船を高台の斜面に避難させられるように急な坂道のスロープ状になっている。この港は八丈島の南側の海に面しているので、台風の時はとんでもない高さの波がやって来るそうだ。つか、波で防波堤が何度もぶっ壊れているらしいし。

これは東京都総務局のHPに載っていた2005年7月の台風7号による高波の画像。
えー、ここの港の防波堤は高さが9mあるらしいんですが…w
目算で高さ40mくらいか?

今日の藍ヶ江は港内も外海も非情に穏やか。シーカヤックでのんびりと海に浮かんでいる人もいる。まあ、こんだけ海がきれいなら、やってみたくはあるな…自分も水中メガネを付けて、早速海へ。さすがに水はヒヤッとして、久々の海水浴に涼を楽しむ。
波打ち際で少し潜るだけで、実に色々な魚が見える。確認しただけでも、小さなカイワリの群れやアジの群れ、ヨウジウオ、ベラ、小さなニザダイ、コガネスズメ、ロクセンスズメ、チョウチョウウオの仲間も何種類か見える。簡単なシュノーケルを持って来るだけで、もっとたくさんの魚を見る事が出来るだろう。
幸いにしてデジカメが生活防水仕様なので、釣り道具の小物入れに使ったプラケースにデジカメを仕込みムリヤリ水中を撮影してみたwちょっとだけコガネスズメとかロクセンスズメみたいな魚が映っているのだが…見えます?

●水から上がって
小一時間ほど海水浴を楽しんだ後、濡れたまんま港の崖の上にある「中之郷温泉・やすらぎの湯」へ。八丈島南部に存在する温泉の一つで、ナトリウム・塩化物温泉らしく湯は熱く塩辛い。日焼けした肌にビリビリ来るなこれは。浴場からの眺めは見事なオーシャンビューで、遠く青ヶ島も見える。

●裏見ヶ滝
中之郷の集落の中を流れる三原川は、集落の森の中で断崖の上から流れ落ちて滝を作っている。それが裏見ヶ滝(うらみがたき)。中之郷の集落から遊歩道で10分程度。この滝、「恨み敵」とも読めて穏やかではないのだが、何の事はなく滝を裏側から見る事が出来るのがその名の由来。実はこのタイプの滝は珍しいものではなく、日本中にいくつかあります。一番有名なのが栃木県は日光の裏見の滝でしょうか。
遊歩道は密林の中のジャングルを進むがごときで、水気を含んだじめじめした空気の中から見上げると、もはや木漏れ日とは言えないギラギラした太陽が差し込んで来る。

裏見ヶ滝到着。
…本家か、それに匹敵するくらいの規模を期待していたのだが、ちょっと拍子抜けw
なんつーか、水量が少ない。ウチのアパートの雨どいから落ちる雨垂れのほうがよっぽど勢いがある(笑)。
一応裏に回って見てはみたが、やっぱり天気雨くらいのレベルでした(笑)。長い川も高い山もないからしょうがないのかな。雨量によっては滝らしい滝が見れたりするらしいけど。

●リベンジ
さて、車は末吉の集落から登龍峠を越えて三根の市街へ戻って来た。
重い思いをして持って来た釣り道具、昨日はオヤビッチャに苦しめられて完敗。今日は必勝を期して文字通り河岸を変えてみる事にする。西海岸側の八重根漁港から東海岸側の神湊(かみなと)漁港へ。実は、昨日の夕方にこの漁港の前を通った時に、ジモティのオヤジが岸壁でアジを爆釣していたのを見ていたからだ。
湊の前にある釣り具屋で再びアミコマセと氷を買い込み、ついでに店番のアンちゃんにここいらで一番釣れるアジの仕掛けを見繕ってもらう。良く分からないが「下田仕掛け」と言う仕掛けらしい。
岸壁に到着。まだ日が高いせいか釣り人の姿はまばら。まあ、こんな時間から釣りやったら熱射病でぶっ倒れてしまうだろうからなあwその辺りを念頭に入れ、ハイゼットバンの後部ハッチを日除け代わりに上げて、その下でイソイソと釣りの準備を。釣りの釣果は伸びないが、経験を積んでそれなりに準備のスピードは速くなっているw

あとの流れは昨日同様。まずコマセを打って、魚を寄せて、仕掛けを落とす。さて、来ましたオヤビッチャ。西に行こうが東に行こうが結局コイツはエサ取り魚としていつも自分の前に立ちはだかるのな…
無視してコマセを打つ。お前が食い飽きるくらい食わせてやろうじゃねーか!と思いきや、水面の底のほうからヒュヒュヒュ!と明らかに異質のスピードを持った魚の群れが接近して来た。おお!これはひょっとしてアジの群れですか!?
大慌てで仕掛けを落とす。コマセを追加し、竿を上下にしゃくると、程なくギューンと竿先が絞られて、水の中で銀鱗が躍る。掛かった!上げてみると、ゆうに20cmはあろうかと言う背中の黒々としたムロアジが岸壁の熱いコンクリートの上で大暴れ。急いで口からハリを外してクーラーボックスへぶち込む。水の中では明らかにムロアジの群れが群れを呼んで、激しく水中のコマセを食い始めた。
これまた大慌てでコマセを投げ込み、仕掛けを落とす。また食った!今度はマアジ。針を外す→クーラーへ投げ込む→コマセを投げる→仕掛けを落とす→また掛かる…こんなに楽しいルーティンワークがあっただろうか(笑)。いい時は5つ付いているハリに鈴なりにアジが掛かり、大きなムロアジはギューンと引き応えが良く、ちょっと底の方に仕掛けを落とすと小さいながらもワラサまで釣れたりして、小一時間でかなりの漁獲高を上げる事が出来た。サビキと言うのは釣りの世界では極めて入門的な数を釣る釣り方なのだそうだが、高い竿じゃなくても、高価な仕掛けを買わずとも、十二分に楽しめる。

ともあれ釣果
ムロアジ7~8本、アジ10匹程度、ワラサ2匹くらいだったかな。
つか、忙しくて写真なんて撮ってる暇なかったよw

この釣果には、八丈島の海の豊かさに感謝しなければいけないだろう。群れに当たったらたぶん幼稚園児でも釣れると思う(笑)。仕掛けを投げ込めば勝手にハリに掛かってくる状態だったからねえ…大磯港で、隣との間隔1m程度で必死に竿を出してるせせっこましい釣りとは世界が違うような気がした。

(魚の数/釣り人)×潮回り×釣り人の技術×その日の運=釣果

釣りには、こんな式が当てはまるのではないか。

●宿に戻って
意気揚々と宿に戻り、クーラーボックスの中身を料理係のオバちゃんに渡す。
「ムロだね。夕飯に出しましょう」
お願いしますだ。

●今日の夕日
釣り道具を洗って、遅い夕飯の時間の前に八重根港の桟橋で夕日を眺める。ここでも、夕マズメの時を狙って、釣り人が竿を並べている。カマスなんかが釣れていたね。

金色の海に落ちる釣り人の影
海原と、空に浮かぶ雲の流れ
橙に輝く八丈小島

この島の夕日は、見ていて見飽きることがない。

夕飯には、ワラサが刺身となり、ムロアジは酢味噌和えになって出て来ました。
自分が釣ったと思うとその味もひとしおで、焼酎が進むのでありました。
これはカメノテの味噌汁。見た目は相当にグロいが、味はカニの味噌汁みたいで、ダシが出て美味いんですよ。

続く。
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夏の八丈島ツアー二日目① ~気分爽海~

2007年08月11日 08時35分27秒 | 日常
(画像:お墓で七夕)

底土港の路地裏の光景。墓地にひるがえる七夕飾り。
こちらの七夕は旧暦なんでしょうかね。
八丈島では、七夕はお盆を迎えるお墓の飾りのようです。

●夕日もいいけど、朝日もね
前日は島焼酎で酔っ払い、旅の疲れもあってか何だか良く分からない時間に野垂れ死に的な寝方をしてしまった。起きたら朝4時。あ~あ、良く寝た。
洗面所に行って顔を洗い部屋の窓を開けると、ほの明るい空に大きな星はまだ輝いている。日の出の時間を携帯で調べ、ハイゼットのエンジンをこっそり掛けてそろーっと宿を出る。日の出を見るには東海岸側だから、底土の港へ朝日を見に行こう。
港に隣接する底土園地に到着。空はまさに夜明け前と言った頃合で、水平線から湧く雲は黄金色に輝き、高い雲は茜色に染まっている。色んな所で日の出を見るけれど、快晴よりも多少雲が浮かんでたほうがいいと思う。光を映す雲の造形と言うのが空にアクセントを加えてくれるから。

時計を見ると朝5時を5分程回ったところ。
水平線がキラッと輝いて、海と雲の向こうからのっそりと朝日が昇って来た
今日も暑くなりそうだ。

●今日はどこ行こ
宿に戻ってモソモソと朝メシを食い、部屋に戻って一眠り。釣り道具を車に積み込み、二日目の島巡りに出発。今日は、どこ行こ。
昨日は島の南側を回ったから、今日は北側に行ってみっか。

●南原千畳岩海岸
まずは宿の前の道を八重根港で右折。島の北側を一周する道路に出て、まずは「南原千畳岩海岸」へ。ここは、八丈富士の噴火により流れ出た溶岩が海に落ちてそのまま台地状に固まった荒々しい海岸である。黒い台地の上から左には八丈小島、右には八丈富士を眺める景勝の地。おっと、カメラを覗きながら歩いてると足元つまづいてすっ転びそうになるなw

●永郷道路
島の西海岸側をさらに北上。大賀郷から島を北回りにグルッと回るこの道路を永郷(えいごう)道路と言う。沿道には集落らしい集落もない静かな道で、常に車窓左手に形の良い八丈小島を見ながらのドライブだ。島の北端がこの大越鼻灯台。青い海に埋もれそうなかわいらしい灯台です。
釣りやダイビングの有名スポットがこの西海岸側には多い。人の手の入っていない自然のまま磯や岩礁に、ナズマド、クニノミチ、アカサリ、ヨノモウ、イデサリ、オオカタと呪文のような地名が付けられている。漁師の隠語のようなものなのだろうか。

千畳岩から島の北部を回って三根まで一時間程度。北部は南部よりも見所に欠ける印象を受けました。磯釣りやダイバーにはいい場所なんだろうけどね。

●海でも行ってみっか
午前10時を回り、いよいよ日は高く太陽は燦燦と輝く。宿を出る際に、宿の冷凍庫で作っておいた凍らせたペットボトルを喜朗のドデカクーラーボックスに入れ、助手席の下に仕込んでおいたのに救われる。それにしてもハイゼットの車内は結構限界に近い暑さなので、海でも入ってみっかなあ。
そうと決まれば行ってみたかったトコがあるのだ。三根から大賀郷を通過し、大坂道路方面へ。途中で大賀郷の大里と言う集落でペットボトル補充。この地区には玉石垣で囲まれた家屋が目立つ。なんとも南国らしい風景だ。コロコロとした玉石は、台風によって角が削られた石をこの集落の前にある横間(よこま)海岸で採取されたものらしい。きっちりとした六角形の積み方だね。

昼の大坂道路を越えて、坂上地区へ向かう。
逢坂橋の上から今日の一枚。

☆大坂道路・逢坂橋からの展望

●藍ヶ江(あいがえ)港
車は樫立の集落を抜けて中之郷へ。中之郷の集落は、高台にある島の環状道路から三原川沿いに下流へ、段々畑のように海に向かって続いている。中之郷の出張所の交差点を右折し、集落をどんどん海に向かって降りて行く。この三原川沿いに裏見ヶ滝(うらみがたき)や裏見ヶ滝温泉、中之郷温泉などの立ち寄り温泉がある。後で行ってみる事にしよう。
この道を降り切った場所にあるのが中之郷漁港、通称藍ヶ江(あいがえ)漁港である。海の色が藍を流したように深い青色をしていることから付けられた名前だそうだが、作家の椎名誠がよく氏のエッセイ(「怪しい探検隊」シリーズですね)でこの「藍ヶ江の海の美しさ」を語っていた事を何となく覚えていたのだ。

崖の途中から、藍ヶ江の港が見えて来た。
防波堤に囲まれた漁港から、大海原に続くその色は水平線まではるかの群青。
確かに、藍ヶ江だ!

う~ん、なんつーか、海の色が空に映って、空の色が海に映っているようだ。空と海が混じった色が、藍ヶ江の港の色。遠くにうっすら青ヶ島が見える。防波堤に囲まれ掘り抜かれているので、漁港は波も穏やかな海水浴場になっており、今日はここでウン年ぶりかの海水浴をする事にしよう。このためにダイソーで100円の水中メガネも買ってきたしなw

漁港の片隅に車を止めて、レッツスイム。

続く。
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夏の八丈島ツアー初日② ~南の島の青空~

2007年08月10日 14時18分12秒 | 日常
(画像:地図で見る八丈島)

マピオンさんゴメンなさい。

●八丈島の概要
まず島巡りの前に、八丈島の概要の話。
八丈島は、東京から南に297kmの太平洋上に浮かぶひょうたんのような形をしている周囲約60km弱の島で、本島と東海上にある八丈小島の二つの島で形成されております。ちなみに伊豆七島の中には入ってないんですね。勘違いしてたけど。
本島は八丈富士(西山)と三原山(東山)の噴火によって連結された火山島で、二つの山の間に東西に渡って平地が広がっており、ここに八丈島空港を挟んで東に三根(みつね)西に大賀郷(おおかごう)の二つの大きな集落がある。
三根には東京からの船が接岸する商業港・底土(そこど)港があり、お土産屋や飲食店がちらほら。繁華街と言う言葉とはかなり縁遠いですが、一応ちょっとした市街地を形成しています。
今回泊まった宿のある大賀郷は、八丈支庁八丈町役場・観光協会等のある八丈の行政の中心地で、ちゃんと法務局や簡易裁判所なども揃っている。島でも登記はするし、裁判もやるんだね。当たり前と言えばその通りだが、裁判官は大変だと思うw
ちゃんと都市銀行もある。のだが、良く見たら浜松町支店の出張所扱いだった(笑)。みずほは東京都の指定金融機関であり、東京都の島嶼を管轄する事務組合が港区の芝浦にあるからその関係かもな。つか、社内で不倫した香具師とか、ここに飛ばされるんジャマイカ?w

島の南部には、三根から時計回りに末吉(すえよし)・中之郷(なかのごう)・樫立(かしだて)と言う漁村集落があり、この3つの集落には三根からも大賀郷からも三原山の険しい鞍部を越えていかねばならず、三根と大賀郷を「坂下」と呼ぶのに対し「坂上」と呼ばれている。
島の西北、八丈富士の裾野には東海岸沿いに永郷(えいごう)と言う集落がある以外にさしたる集落はなく、人口はほぼ島の南部に集中している感じ。人口は平成17年調査で8,867人で、ジワジワ過疎が進んでいるみたいです。
ちなみに、東京都島嶼(とうしょ)に属する自治体には、「郡」が付かない。住所で言えば「東京都八丈町大賀郷」となる。行政的には「八丈支庁」が管轄しており、都道府県知事の権限に属する事務を執り行っている。

買い物なんかは三根と大賀郷にスーパーが2~3軒ある以外は、やってるんだかどうか分からないようなこんな雰囲気の個人商店が集落の中にあるかないか、と言う感じ。お土産物なんかは、何気に一番空港が物が揃っているような感じを受けましたw意外だったのが市街地はおろかどこでも携帯がだいたい通じる事。腐っても(腐ってないが)東京都、と言う事なんだろうか。

●ぶらり島巡り
そんなこんなで、昼下がりのシャルムハウスを出て、ぶらり島巡り。
灼熱の日差しに利かないエアコンを無視し、車の窓と言う窓を全開にしてタオルをかぶりハンドルを握る。まずは大賀郷の市街~三根の市街へ出て街を観察。この島の特産物であるロベレニーの木が立ち並ぶ並木道は、八丈島空港に向かう島内のメインルート。

●天に登る昇龍
まずは手元の地図を眺めて、「登龍峠(のぼりょうとうげ)」と言う所に行ってみようと思う。八丈富士が見渡せる景勝地だとの案内で、新東京百景にも選ばれているらしい。底土の港を抜けて三原山の東の鞍部をくねくねと上って行く。このハイゼット、ハンドルが意外に大きくて、こんな山岳路ではバスの運ちゃん気分でなかなか楽しい。ハンドルをカーブに合わせて送り込み巻き戻す感じが「ワッパ回し」と言う感じだ。
底土の港から登龍峠を経て末吉に至るこの道は、「登龍道路」と言われている。山の斜面をくねくねと登るその姿が、あたかも天に昇る龍に似ている事から名付けられたのだとか。峠までの道の周囲は、シダと低木の南国の密林。20分ほどゆっくり登って、登龍園地に到着。駐車場と東屋があり、展望台があるのだが、その展望台から見た風景に、思わず「おおっ!スゲー!!」と口を付いて出た言葉。素晴らしいの一言だ。

☆登龍峠からの展望

正面に裾野を広げ聳え立つ八丈富士。
南国の陽光に輝く青々とした海。左手に見晴るかす八丈小島。
底土の港を出る船の白い航跡。
そして、遠くはるかな水平線に絶海の孤島を思う。

まあ、毎日島を一周していたので、写真は最終日に撮ったものなんだけどもw

●とりあえずぐるっと回ってみる
30分程登龍峠の景観を楽しんだ後、時計回りに集落を走ってみる。島の南側には温泉が多く、ひとっプロの誘惑もあったのだがまずは30Km/h程度でのんびりと島の南部を一周。末吉、中之郷、樫立と集落を走ると、各集落に必ず郵便局駐在所と消防署がちゃんとある事に気付いた。しかも、どれもこれも建物が小奇麗で、割とインフラはしっかり整備されているなと言う印象。正直本州でももっと整備の行き届いていない地区はいくらでもあるような希ガス。何度も忘れてしまうのだが、改めて「都下」である事の認識を新たにするのであった。

●大坂道路
島の南側をぐるりと一回りして、樫立から大賀郷へ向かう。東海岸側は登龍道路だったが、西海岸側はここに「大坂道路」と言われる長い高架橋があり、やはりここも八丈島屈指の景観を誇るナイスな道である。道は樫立の集落から三原山から伸びる小岩戸ヶ鼻と言う岬の付け根を短いトンネルでくぐり、大海原へダイブするかのように山腹に沿った長い長いスロープを大賀郷へ降りて行く。この道の途中の展望台から眺める夕暮れの海は、「大坂夕照(おおさかせきしょう)」として八丈八景に選ばれている。ここは西海岸沿いだけに、夕暮れに来たい。

●I have never seen
とりあえず一回りしてガスの目盛りも動いたので、スタンドでガソリンを入れてみる事にする。つか、ウロウロしてみたが八丈島ではリッター単位の価格を表示しているスタンドは一軒もないwこれは公正取引に違反していると思う(笑)。
見つけたのが、大賀郷にある日石のスタンド。たぶん島唯一のセルフ。セルフだからナンボかマシだろう。離島だけに、ガソリンが高いのはある程度覚悟はしているさ。
覚悟はしていた。
していた、が…

なんじゃこりゃあああああ

高けぇw高過ぎるww
ドライブ人生長けれど、さすがに見たこともない数字wここまで高価なガソリンを入れて走った事はないわ…バッケンレコードを大幅に更新。つか、この島まだ島民が戦時中だと思ってて、国家総動員法の下の物資統制でも掛かってるんじゃないのか?w硫黄島とかテニアン島からB29が飛んで来ると思ってるだろ絶対(笑)。

衝撃の給油を終え、八丈の空は夕焼け。
さっき通った大坂道路の展望台に戻り、八丈の夕暮れを見つめる。

☆八丈小島に沈む夕日

初日の終わりを見届けて、宿に帰るとしましょう。

●宿にて
夕日を見ていたので、宿に帰るのが遅くなってしまった。
もういい加減メシの時間だろうと思い食堂へ駆け込むと、お膳の上には既に何もない。ヤベッ!

「あの、もう食事の時間終わっちゃってますか!?」
「ああ、ウチの今日の食事はたぶん7時半くらいかな」

遅えよ!

ワガママなアタシ。
つか、終始この民宿の食事は時間が遅かった。
ま、いいんだけど。

この民宿の特典その2。
食堂の棚に置いてある島焼酎が飲み放題。水と氷とおつまみ付き。
夕食のキンメの刺身を食いながら、冷たい水割りの島焼酎で一杯。
あんまり水割りの焼酎は好きではないけど、これはさらっとしてて飲みやすい。

あ~あ、酔っ払った。
初日終了。寝る。

続く。
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夏の八丈島ツアー初日① ~敵はオヤビッチャ~

2007年08月10日 08時57分56秒 | 日常
(画像:羽田空港第2ターミナル)

と言う訳で八丈島旅行記。
夏休みの羽田空港第2ターミナルは、ごらんのような有様。
一言で言うと、ガキがウザイw

●旅立ちの朝
今回の旅は、3泊4日と言う割には荷物が多い。普段の荷物にクーラーボックス、釣竿、バケツやら仕掛けやらが追加されているので、バッグの中身はパンパンである。肩に食い込む荷物の重みが痛いほどだ。
早朝5時半に自宅を出発。荷物が重いので、今回は新横浜から空港リムジンバスで羽田へ。バスなら出発ターミナルにジカ付け出来るからな。普段は預けない荷物を預け搭乗口へ(お約束のように手荷物検査でポケットからライターを没収されたが、この制度は何とかならんのかw)。

八丈島へはANA821便で。検査場から搭乗口まで異常に遠いと言うのがローカル路線らしい。個人的に離島へはもっとちっこい飛行機が飛んでいるのかと思っていたのだが、エアバスA320と言う166人乗りの立派な飛行機であった。機内はやっぱりガキを中心に満席の様子。このガキどもが非常にやかましいので、さっさとイヤホンを耳に突っ込んでスポニチに集中。
飛行機はこれまたお約束の朝の離陸渋滞に巻き込まれ、定刻を余裕で遅れて羽田を離陸。上昇を終えたと思いきやもう下降を始めると言う感じの短いフライト。ドリンクサービスはなく、水平飛行はアテンダントが機内にアメを配っているうちに終わってしまったwなんか羽田の中をウロウロしてた時間のほうが長かったんじゃねーか。

●ダークサイド森喜朗
飛行場の中での手荷物の回収に時間を要したが、ともあれ八丈島到着。アロエとヤシの木が分かり易く南の島っぽいイメージをアピールしているな。早速宿に電話して迎えに来て貰う事にする。空港の前で待つ事10分、迎えがやって来た。
迎えに来た民宿のオヤジは、総白髪+パンチの森喜朗を邪悪にした感じのいかつい雰囲気で度肝を抜かれる(笑)。まず似ているのが「森喜朗」と言う時点で邪悪だと思うのだが、それは置いといて車に乗り込む。

「お客さン、釣りしに来たの?」
「はぁ、シロートなんで何でも釣れればいいんですけどね」
「いまァ港の堤防でアジッコが釣れてるべ、見に行ってみっサ」
味っ子?陽一くんですか?釣れますか?と言う突っ込みは無粋。

話の流れで車は民宿には向かわずまずは港へ向かう事に。港の堤防をグルッと回り、車の中から知り合いらしき釣り人に「アジッコ釣れてっかァ~!」と声をかける喜朗。しかしながらどうも知り合いの反応は渋い様子。釣果はイマイチなのかな。
「昨日は釣れてったンけどなあ」
予想外の反応に、喜朗ちょっとロンリネス(笑)。

●今回のお宿と魅力的なオプション
さらに港周辺の釣り具屋などもご案内頂き、宿に到着。
今回お世話になるのは「八丈島旅荘・シャルムハウス」。HPはなかなか凝った作りだ。名前のオシャレさとはうらはらにオーナーは森喜朗だし、見た目はどうみても普通の民宿なのはご愛嬌だ(笑)。車庫の上の2階に8つの部屋があり、ここが宿泊スペースになっている。部屋はクーラーとテレビだけで他には何もないが、一人で使うには充分な広さがあり満足の行くものであった。

「車は使ったらカギ差しっ放しにしといて下さい。邪魔な時は動かしますンで」

八丈島での宿泊先選定にあたり、色々調べた結果この宿に決めたのは何と言っても「宿泊者に車無料レンタル」と言う特典にある。島内の交通手段が限られている中で、必須となるのは足の確保。最低でもレンタカーは一日3,000円が相場と言う事を考えると、ガス代だけで初日から最終日まで使い放題なのは何物にも代え難い魅力的なオプションであると言う事が出来よう。
今回4日間お世話になる相棒は、天下の品川ナンバーを燦然と輝かせた15年落ちのダイハツ・ハイゼットバン。これが車内はサカナくせーわ重ステだわハンドパワーウインドウだわ、おまけにエアコンも全く効かねーわの素晴らしい車(笑)。しかもサスペンションがヤレてて、乗ってるとケツが痛くてしょうがなかったのだが、タダなのでノー文句。動いてくれるだけで充分。バンタイプなので、荷物をぶっ込んでおけるのがいい。

●レッツ・サビキング
部屋で少しクーラーを入れて涼んだ後、早速釣り道具を用意して出掛けてみる。
喜朗センセにご紹介頂いた港近くの「エース釣具店」にてアミコマセと氷を買い、宿から車で3分ほどの八重根漁港へサビキ釣りに。既に何人かのサビキストたちがサオを振っているが、先週の大磯港では2m間隔に釣り人達が並んでいた事を考えれば、かなりのマターリムードだ。港に停泊している船は「還住(かんじゅう)丸」と言って、この島の南70kmにある青ヶ島と八丈島を結ぶ船であります。行ったら帰れなさそうだから行かないけど。
海の青さと澄んだ水を見ながら釣りの支度。周囲ではパラパラと小アジも掛かり始めた。あ、真ん中のデカいクーラーボックスは車に載っていたのを椅子代わりに使わせて貰いました。たぶん喜朗のですwあざーす。

●オヤの敵が子に報い
仕掛けを結び、まずはアミコマセを水面に打って魚を待つ。ゆらゆらと海面にエサを取りにオヤビッチャの群れが集まって来た。クロスズメダイの群れも、岸壁の下から集まって来る。アミコマセが水中にバラけたところで仕掛けを落としてサオをしゃくる。アジ、掛かるかな。
空は青く、視界には八丈富士の優美な姿が雲間に見えたり隠れたり。それにしても背中からジリジリと差す南の島の閃光は、シャツの上からも容赦なく肌を刺す。あちい。岸壁からの照り返しもあって、汗が滝のように流れ落ちる。
大磯港の時とは異なり、魚は掛かる。グウーッとサオ先が絞られて、慌てて合わせるのだが、掛かるのはオヤビッチャばかり。コマセを投げてもこんな状態で、どうにもアジが寄る前にコマセをオヤビーの編隊が食ってしまうのだ。最初のうちは食ってくれれば何でも楽しかったが、釣れたら釣れたでハリから魚を外さんといけないし、外して逃がしてやろうと思っても暴れて俺の手に仕掛けのハリがぶっ刺さったりwはっきり言ってオヤビーの相手をするのは面倒だw
コマセを遠くに投げてオヤビーを追っ払いつつ手元にコマセを打つと言うテクでアジを寄せようと企むも、結局オヤビー編隊その2が「あ~りが~とさ~ん」とばかりに寄って来て水面近くでヒラヒラと舞い踊る。そのヒラヒラした姿が何だか坂田師匠のタコ踊りのように見えて来て、だんだんムカついて来た。オヤビッチャと言う人をバカにした名前にもムカついて来た(笑)。昔セガから一人でバッティング練習出来るおもちゃが出てたなんてことも思い出したりして…(それはロボピッチャ)。
ちなみに最後までこの魚とはライバル関係だった事を記しておきます(笑)。

結局八丈島でのサビキ釣りその1はこんな釣果で、昼を迎えて納竿。最初はオヤビーもリリースしなかったんだけど、港に散歩に来た麦藁帽子をかぶったジジイに「そんな魚取ってどうすっだ?」と捨てゼリフを吐かれたので以後リリース(笑)。誰も食わないし、食ってもうまくないらしいんでね。一本だけイシモチみたいな魚が釣れたが、近所のガキにやってしまった。

フツーならまず島巡りから始めるところだが、いきなり炎天下の釣りに突入してしまい体力を消耗(笑)。この辺りに我ながら今回の旅の釣りに対する並々ならぬ意欲が伺えるのだが…w道具を片付け、部屋に戻ってクーラーでひと涼みした後、ハンドルを握ってぶらり島巡りと参りましょうか。

続く。
コメント
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