青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

西魚津、右書きの駅の昼下がり。

2022年03月16日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(雪は静かに溶けて@西魚津駅)

右からの書き文字が特徴の西魚津の駅。魚津市街から少し外れた、畑と住宅の中にある静かな駅。一応海へ向かって歩いて行くと、魚津水族館の最寄り駅だったりするのだが、この駅を使ってアクセスする人がどれだけいるのだろうか。ちなみに私は家族で富山に旅行した時に魚津水族館に行った事があるのだけど、さすがにクルマで行ってしまったなあ・・・

いつもこの駅に来ると、同じような撮り方をしてしまって能がない。地鉄ワールドに吞み込まれて、通り一辺倒の表現ばかりになっているような・・・そもそも古いものや、時間の経過によって侘びたものをただ撮ってればいいというものでもないのだが・・・それは分かっているのだけど。

木造駅舎、雪除けの屋根、構内踏切、雷鳥カラー。もうちょっとうまい表現があるか?面白い表現はあるか?自分の引き出しが問われる、西魚津の昼下がりである。

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内山、線路一際に紅差して。

2022年03月14日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(黒部谷に続く道@内山駅)

愛本から黒部の谷に入って行く地鉄本線。標高は160m程度となるが、少し進むだけで雪の量は深くなっていく。何年もの冬を越した古びたトタン葺きの木造駅舎。暖かい昼間の空気に、屋根からの雪がポタポタと雨だれのように落ちている。黒部峡谷の観光拠点である宇奈月の手前、黒部谷の普段の暮らしが息づく内山の集落。土曜日だというのに駅に詰める人影があった。地元の方だろうか。

構内踏切が列車の接近を告げると、坂道のカーブの先から現れたのは14760形をラッピングした「富山もようトレイン」。色のない冬の富山に、鮮烈な赤を身に纏って登場しました。

この冬、地鉄で華々しくラッピングされてデビューした14769Fの「富山もようトレイン」。苦境にあえぐ地方鉄道に光を与えようと、富山の豊かな文化と自然、そして名物を図案化したデザインで成り立っているという事なのですが、ちょっとサイケデリック過ぎて何が描かれているのかはいまいちわかりづらい。それでも、まだ雪深い冬の黒部谷の山々を背に、赤を基調とした編成はひときわ目立ちます。

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越中泉、青山の輝きに祈る。

2022年03月12日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(雪山讃歌@越中泉~寺田)

雪よ岩よ吾らが宿り。空は高曇りながら、立山連峰の雄大な眺めをバックに県都へ急ぐ10030形。線路際の雑草だけが目障りであるけど、そこも地方私鉄らしさと割り切って。特急が宇奈月→立山(富山)のアルペン号の片往復のみの緊縮ダイヤになってから早くも一年が経とうとしていますが、暗中模索の日々は続きそうです。

ああ、世の中の安寧たらん事を、雪の青山に祈る。
早く、あの特急専用の看板を付けて、富山平野を突っ走る姿が見たいですね。

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岩峅寺、満ち足りた時は流れ。

2022年03月10日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(ある冬の日@岩峅寺駅)

岩峅寺、ある冬の日。上滝線のホームから続く、古びてはいても頑丈そうな雪囲いの通路。地鉄の駅舎、好きな人は本当に刺さるけど、三つ挙げろと言われたら岩峅寺、昔の寺田、東三日市、経田、横江、上堀、西魚津、浜加積あたりですか。三つじゃないじゃん。

雪に埋もれるレッドアローと、融雪用の水がさわさわと流れるホーム。水溜まりに映り込む青空。個人的には、被写体としての岩峅寺と寺田は、地鉄の駅の中でも別格のチート感がある。置かれているストラクチャーの全てに味わいがあって、撮る方が上手くなったと勘違いするんだよね(笑)。

岩峅寺点描。静かな駅で、物憂げに折り返しの時間を待っている60形。今年の冬は、雪害対策に忙しかったであろう。ポイントのスプリンクラーと機械式除雪車が、冬季間の線路の安全を守る。

誰かが付けた、雪のあしあと・・・これが溶けたら、富山の街に春が来る。そんな駅で、宛もなくカメラを片手に持ちながら、静謐な時間はゆるやかに流れて行く。訪れる毎に地鉄の匂いと手触りが濃厚に伝わって来るのが岩峅寺の駅の魅力。相変わらずいい時間の過ごせる駅である。

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開発、持続可能な農村社会。

2022年03月08日 17時00分00秒 | 富山地方鉄道

(100年前から持続する@開発駅)

雪晴れの朝、人待ち顔の老駅舎。
SDGs?それがどうした。
100年前から持続している、開発の駅。

冬にしては暖かな陽だまりが、スッと待合室に入って来る。厳しい雪に見舞われたこの年の越中富山、少しだけでも冬を忘れさせてくれるような柔らかな日差しにホッとして、上着を脱いで待合室のベンチに置いた。

上滝線の役割は、アルペンルートや黒部峡谷への観光需要華やかな本線や立山線と比べれば地味なものですが、沿線住民の数はそれなりに多い生活路線でもあります。富山平野の南部を、常願寺川と神通川の作り上げた扇状地をたすき掛けで横断するように進み、岩峅寺で終点となる。電鉄富山から小杉の辺りまでは住宅街だが、ここ開発の駅あたりから、富山平野らしい散居村の風景が広がって来る。

古駅舎の軒先に置かれた除雪道具。スノーダンプに大型スコップ、積もればどけて、積もればどけて。雪国の冬の朝は、家の前の雪かきをして道を作るのが地域で生活するマナーと聞く。朝5時から起きて、ひとしきり雪かきを終え、朝飯を食べて出勤するのが雪国の習わし。太平洋側の住民には無理だなあと感じてしまう。あれは冬の弘南沿線だったか、吹雪にはしゃいでたら、立ち寄った温泉の女将さんに「東京の人はほんに雪ッコが好ぎだねえ!」と半笑いで言われた事を思い出した。雪に対するイメージの違い。きれいなだけではない苦労を、身に染みて思うかどうかの差はある。

開発の駅は、かつては富山平野南部で生産される農産物の積み出し駅でもあり、駅舎の横には木造の立派な貨物上屋があって、今は駐輪場として使われています。「開発」という駅の名前自体が、明るい農業地帯の開発を目指して名付けられたことは想像に難くありません。近郷近在の農家の人々が、籠を担いで野菜や米を出荷していた姿を思い浮かべながら、石積みのホームと待合室にシャッターを切りました。

 

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