司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

364日定期借家契約

2004-09-17 22:43:10 | 消費者問題
 身内の者が賃貸マンションに居住している関係で、その賃貸借契約の連帯保証人となっているため、「再契約」の際の「連帯保証人引受承諾書」が送られてきた。この賃貸借契約が表題のとおり「364日定期借家契約」なのである。定期借家契約とは、「更新」のない定期の契約であり、いわば貸主保護のために平成11年改正によって導入されたものであるが、1年未満の契約の場合通知が不要となる(借地借家法第38条第4項)貸主側のメリットを享受するために、「364日」としているようだ。したがって、居住を続けるには「再契約」なのである。
 定期借家契約においては、「更新がない」旨を記載した書面を交付して説明しなければならない(同条第2項)のであるが、送付されてきた承諾書には、「本賃貸借契約が更新再契約された際も引き続き連帯保証人となる事を予め承諾致します。」との文面が印字されており、これでは更新を予定しているものとして普通契約と見なされ、「更新がない」旨の定めは無効として扱われる虞があるのだが・・・。364日前の契約の際に消費者契約の視点からさんざんクレームを付け、契約書を「改良」させたのだが、体質は変わっていないようだ。

 なお、保証制度の見直しの対象となっているのは貸金債務等であって、不動産賃貸借契約から生じる賃借人の債務の保証は包括根保証であっても対象となっていない。信用保証と異なり保証債務が予期せぬほど高額になることは少ないのがおそらく理由であろうが、「保証期間を定めなかった場合でも、相当期間経過後に将来に向かって解除することはできない」とするのが判例の立場であり、「見直し」が望まれる。


cf.借地借家法
(定期建物賃貸借)
第三十八条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
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