司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

本人確認証明書と職務上請求用紙の使用の可否

2015-07-27 10:38:03 | 会社法(改正商法等)
 公的な見解が示されているわけではないが,私見は,次のとおりである。

Q.会社の代表者から,同人以外の者の取締役の就任の登記に関して,本人確認証明書の取得を依頼された場合,職務上請求用紙を使用して取得してもよいか?

A.商業登記規則第61条第5項の本人確認証明書が要求される趣旨としては,被選任者の実在性の証明及び就任承諾の真意の確認の二つの意味を有する。したがって,会社の代表者からの依頼で,同人以外の者の住民票の写し等の本人確認証明書を職務上請求用紙を使用して取得することは,不適切である。仮に手続を代行するとすれば,取締役に就任する者から別途委任状の交付を受けて,手続を行うべきである。

cf. 平成22年11月3日付け「取締役の就任承諾と株主総会議事録の記載の援用」

平成27年4月16日付け「商業登記規則第61条第5項書面に関するQ&A」
コメント

商業登記における旧姓併記

2015-07-27 10:03:06 | 会社法(改正商法等)
 平成27年2月27日施行の改正商業登記規則により認められるようになった,いわゆる婚姻前の氏の記録の制度であるが,いろいろなパターンが想定され得る。

 例えば,

1.A山花子は,婚姻によって氏を改め,B山花子となった。
2.B山花子は,その後離婚したが,民法第767条第2項の届出によって,B山花子と称した。
3.B山花子は,その後婚姻によって氏を改め,C山花子となった。
4.C山花子は,○○株式会社の取締役に就任した。

という場合である。同じような事実関係においても,

(1)業務上「A山花子」を使用し続けていた者が,取締役に昇進した。
(2)業務上「B山花子」を使用し続けていた者が,取締役に昇進した。

ということがあり得る。

 今回の改正の趣旨である「女性が輝く社会づくり」ということからすれば,取締役に就任した者(戸籍上の氏名が「C山花子」)について,「A山」「B山」のいずれについても婚姻前の氏であるとして,その記録の届出を認めるべきであろう。

 とすると,

1.A山花子は,婚姻によって氏を改め,B山花子となった。
2.B山花子は,その後離婚したが,民法第767条第2項の届出によって,B山花子と称した。
3.B山花子は,○○株式会社の取締役に就任した。

というケースにおいても,取締役に就任した者(戸籍上の氏名が「B山花子」)について,「A山」を婚姻前の氏であるとして,その記録の届出を認めるべきであろう。

 仄聞するところによれば,後者のケースで,「B山花子(A山花子)」の併記が認められた事例(本省了解)があるということである。

 ユーザー・フレンドリーな取扱いとして歓迎されよう。
コメント

神田秀樹「会社法入門 新版」

2015-07-27 09:28:02 | 会社法(改正商法等)
神田秀樹「会社法入門 新版」(岩波新書)
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1507/sin_k838.html

 第5章「会社法のゆくえ」は,読んでおくとよいと思います。
コメント