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箱の家

2008-10-16 | 建築と文化
いわき事務所に行くとデスクの上に新日軽の小冊子が置いてあった。
難波和彦の「箱の家」の特集記事が掲載されていた。
最近発刊された「建築家は住宅で何を考えているのか」PHP新書
の中でも取り上げられていたので、基礎知識としては持っていたつもりだ。

箱の家は、「家とはいったい何なんだろう」と改めて考えさせられてしまうほど斬新的な家だ。
1995年竣工の箱の家1から進化を続け、現在130棟を超えるという。
外観も一度見たら誰でも記憶に残るようなデザインだが、それ以上に内部の間取りに驚かされる。
小冊子の中で難波和彦は、一室空間と箱の家との関係についてこのように発言している。

「昔の住まいもある意味では一室空間で、生活に暗黙のルールがあった。
それが崩れて、家族の新しいルールができる前に、住宅の中身を固めてしまっていた。
それを無に戻して、お互いに話し合うという家族のあり方を提案したのが箱の家である。」


難波和彦は、箱の家をデザイン・工法の標準化から多様化へと進み、現在ではサスティナブル化を課題として取り組む。

そして、建築の4層構造との調整を解いているのだ。
「すべての建築が、4つの層を備えている。4層はそれぞれ独立しているが、何らかの関係で結びついている。
ある層を変化させると、必ず他の層も変化する。しかし、その変化は一義的ではない。
デザインはどの層からスタートしてもかまわないが、必ずすべての層をチェックしなければならない。4層を調整して、一定の関係に結び付けることが建築のデザインである。」と。

建築の4層構造とは、
第1層・・物理的なもの・・・・・・・・・・・材料・構造
第2層・・エネルギーの制御装置・・・環境・エネルギー
第3層・・社会的な機能を持つ・・・・・用途
第4層・・記号としての意味を持つ・・形態・空間

ここで興味深いのは、過去建築がたどってきた経緯をそれぞれの層との関係を次のように述べている点だ。

機能主義は第3層を優先、技術主義は第1層を優先するデザイン。
モダニズムは、機能主義と技術主義を組み合わせたデザイン。
これに対するポストモダニズムが、第4層を優先したデザイン。
そして最近よく耳にするサスティナブル主義は、第2層を最優先している。
しかし、難波和彦は、ここで本来のサスティナブルデザインは、4層すべてに関わるはずであると述べ、建築を4つの層の重なりとしてとらえる提案をしているのだ。

これからも、「箱の家」は、さらなる展開を見せるに違いない...。