永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(553)

2009年11月07日 | Weblog
09.11/7   553回

三十七帖【横笛(よこぶえ)の巻】 その(1)

源氏(六条院、院、大臣) 49歳2月~秋まで
紫の上          41歳
女三宮(入道宮、宮、母宮)22~23歳
薫(若宮、宮の若宮)    2歳
柏木(故権大納言、故君、衛門の督)昨年33歳で逝去
明石の女御(女御)    21歳
匂宮(明石女御と今上帝の三宮)3歳
夕霧           28歳
雲井の雁(夕霧の正妻)  30歳
落葉宮(一条の宮、二宮)朱雀院と一条御息所の姫宮で、女三宮の異母姉
一条御息所(落葉宮の母宮)
秋好中宮(故六条御息所の姫宮で、冷泉院の中宮。御子はいない)


「故権大納言のはかなく亡せ給ひにし悲しさを、飽かず口惜しきものに、恋ひ忍び給ふ人多かり」
――故権大納言(柏木)が、はかなく亡くなられた悲しみを、絶えず残念なこととしきりに恋い忍んでいる人が多かった――

「六条の院にも、(……)ましてこれは、朝夕親しく参り馴れつつ、人よりも御心とどめ思したりしかば、いかにぞや思し出づる事はありながら、あはれは多く、折々につけて忍び給ふ」
――源氏は、(誰の死をも惜しまれる性質ですのに)ましてこの柏木は、源氏の邸に朝夕親しく出入りしては、源氏も他の人より目をかけておられましたので、あの不愉快な出来事があったものの、ひとしおあわれも深く、何かにつけて思い出しておられます――

 柏木の一周忌にも、源氏は誦経など特別におさせになりました。

「よろづも知らず顔に、いはけなき御有様を見給ふにも、さすがにいみじくあはれなれば、御心の中に、また心ざし給ひて、黄金百両をなむ別にせさせ給ひける」
――何も知らずに無邪気でいらっしゃる幼い薫の様子をご覧になるにつけ、源氏はやはりひどくいじらしく思われて、人知れず発心され、黄金百両の御布施を別に供養のために寄進なさったのでした。――

「大臣は心も知らでぞ、かしこまりよろこび聞こえさせ給ふ」
――(柏木の父の)致仕大臣は、源氏の思いや事情を全くご存知ありませんので、ただただ恐縮して御礼を申し上げるのでした――

ではまた。