永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(572)

2009年11月26日 | Weblog
09.11/26   572回

三十八帖 【鈴虫(すずむし)の巻】 その(2)

「花机の被いなど、をかしき目染めもなつかしう、清らなるにほひ、染めつけられたる心ばへ、目なれぬさまなり。」
――仏前に供える花瓶の台など、優雅な鹿の子絞りに染めてやさしい風情があり、美しい色艶や染め模様の趣向がめったに見られぬ立派さです――

「夜の御帳の帷子を、四面ながらあげて、後ろの方に法華の曼荼羅かけ奉りて、銀の花瓶に、高くことごとしき花の色を調えて奉れり」
――(女三宮の)夜の御帳台の垂れ布を四方とも上げて仏壇とし、後ろの方に浄土変相を描いた曼荼羅をお掛けさせになって、銀(しろがね)の花瓶に丈の高い大きな蓮華を彩りよく挿してあります――

◆写真:仏さまに施し奉られた夜の御帳台。
普段は上げられない帷子(かたびら)まで 四面とも上げられています。  
                  風俗博物館より。

ではまた。


源氏物語を読んできて(仏事・目染め)

2009年11月26日 | Weblog
◆をかしき目染め=優雅な鹿の子絞り。

 目染とは絞り染のことで、布を糸で結んで染めてから糸を解く染め方です。こうすると、結んだところが白く残るのですが、その様子がまるで目のようであることから「目染」と呼ばれました。 

                 風俗博物館