ご存じと思いますが、マイナンバー・カードさえあれば、住民票や印鑑証明などの行政公文書がコンビニのコピー機でも発行してもらえます。市役所より手数料が100円安く済むというので試してみることにしました。
コンビニでいざ試してみると、コピー機の表示に暗証番号入力の指示が出て来ました。暗証番号?心当たりがなかったので、しかたなく翌日、市役所に行くハメとなりました。
翌朝の市役所でのことです。さっそく受付で相談してみると、暗証番号はリセットできるとのことで、担当窓口を教えくれました。併せてその際、写真付き身分証明が必要とも言われました。これにはすかさずマイナンバー・カードそのものが身分証明のはず、と珍しく切り返してみました。やはりその通りと確認できたので、もう出番なしと脳がお休み遊そばしたのかもしれません。
担当窓口の担当者は私のマイナンバー・カードを手に取ると、案の定、カード申請時の申し込み用紙を取り出して来て、記憶がないか聞いてきました。なるほど申し込み用紙には、4桁の暗証番号記入欄がありました。かすかに見覚えがあったのですが、何の数字を書いたのかすっかり忘れていました。
「言われてみればあったような、・・・思い出せませんね。」
「では、リセットになりますね。免許証とかパスポートが身分証明に必要なのですが・・・」とサラリと告げられました。臆するところがなく、さも当然のような口調でした。そんな口調にこちらもすっかり魅入られ
「パスポートなら家にあります。それじゃ改めて、ですね?」と素直に応じてしまいました。
ことの顛末を報告しておこうと再び受付に向かったのですが、何かに後ろ髪を引かれる思いでした。
「受付で交わした事前のやり取りは、一体何のためだったのだろう?」
歩きながらやっとそう気づいたときです。先ほどの担当者が追いかけて来ました。
「失礼しました。マイナンバー・カードお持ちだったんですね! すぐに手続きできます。どうぞ!」
これでどうにか一件落着となりました。
双方ともに、二重の意味で思い込みがあったのです。その窓口は新規申し込み受付が担当ですから、通常なら身分証明が必須アイテムです。写真付きのマイナンバー・カードが目の前にありながら、担当者は通常業務通りに身分証明と機械的に口にしたのでしょう。私も私で、あまりにも自然な彼の口調に何の疑問も湧かず、ごく当然と受け容れてしまったのです。どちらの思い込みもいい勝負、何ともシマラナイ話です。
私としたことが、自信タップリの口調にかくも簡単に落ちるとは・・・。こんなことではオレオレ詐欺の恰好の餌食になりかねません。素直と言えば素直なのですが、あんまりです。肝腎なときになるといつも旧式の蛍光灯状態、つまり気付くのが遅いのです。ここでも遺憾なく発揮されました。
“ありのままを ありのままに受け容れる”、時と場合によりけりです。
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「では、リセットになりますね。免許証とかパスポートが身分証明に必要なのですが・・・」とサラリと告げられました。臆するところがなく、さも当然のような口調でした。そんな口調にこちらもすっかり魅入られ
「パスポートなら家にあります。それじゃ改めて、ですね?」と素直に応じてしまいました。
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「受付で交わした事前のやり取りは、一体何のためだったのだろう?」
歩きながらやっとそう気づいたときです。先ほどの担当者が追いかけて来ました。
「失礼しました。マイナンバー・カードお持ちだったんですね! すぐに手続きできます。どうぞ!」
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双方ともに、二重の意味で思い込みがあったのです。その窓口は新規申し込み受付が担当ですから、通常なら身分証明が必須アイテムです。写真付きのマイナンバー・カードが目の前にありながら、担当者は通常業務通りに身分証明と機械的に口にしたのでしょう。私も私で、あまりにも自然な彼の口調に何の疑問も湧かず、ごく当然と受け容れてしまったのです。どちらの思い込みもいい勝負、何ともシマラナイ話です。
私としたことが、自信タップリの口調にかくも簡単に落ちるとは・・・。こんなことではオレオレ詐欺の恰好の餌食になりかねません。素直と言えば素直なのですが、あんまりです。肝腎なときになるといつも旧式の蛍光灯状態、つまり気付くのが遅いのです。ここでも遺憾なく発揮されました。
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