道を歩いていると、前方から50歳前後の女性が歩いて来るのが見えました。長い髪を垂らし、踝に届くぐらいの長いスカートを履き、サングラスにマスクを付けていました。見覚えのある恰好に、つい目を凝らしてしまいました。
髪とサングラスでよく見えなかったのですが、目に隈がチラッと見えました。サングラスとマスクは、どうやらそれを隠すためのようでした。
「(あっ、O 女史だ!)」思わずそう思ってしまいました。サリーマン時代のかつての同僚のことです。
私が55歳ぐらいの時だったでしょうか、ある一時期、彼女がパンダ顔をサングラスで隠して出勤して来たことが再三ありました。訳を聞くと、転んだからという答がいつも返ってきました。私はてっきりウソとばっかり思っていました。
その当時、彼女は一人息子のことで金銭トラブルを抱えていたらしく、席を離れては物陰で長電話に掛かり切りのことがよくありました。ただならぬ様子から、かなり追い詰められていたようでした。そんな姿から、恐らく暴力沙汰に巻き込まれたものと勝手に思い込んでいたのです。殴られて目に隈は知っていましたが、手も突かずに顔から転ぶ(顔面転倒)など、私の想像力を超えていました。
定年退職後の1年半の間に、私も目に隈のパンダ顔を6回も経験しています。失神による顔面転倒でした。視野が、その都度不意に白黒(モノクロ)状態から真っ暗闇になりました。覚えているのはこれだけで、気が付いたら額や眉の生え際から血を流して倒れていました。意識が戻ったのは直ぐのようでした。大抵が、発泡酒を手にゆったり座って寛いでいたときでした。
顔面転倒を招いた失神は脳の血流減少が直接の原因です。血管迷走神経失神が正式な医学用語で、失神の約20%を占めると言われています。血清Mg濃度の低下が関係するらしいとも言われていますが、私の場合は、大量の発泡酒を飲んでいたことから血清Naの過剰排泄で低Na血症となったせいかもしれません。酒を断ってからは一度も失神はありません。
血管迷走神経失神のキッカケは、アルコールや睡眠薬の使用、強い痛み、排便、ストレスが知られており、他にも咳や飲み込みの場合もあるそうです。アルコールの場合はアルコール癲癇もあり、癲癇ならば意識が戻った際、痙攣による筋肉痛が残るので鑑別診断できるそうです。(癲癇なら命にもかかわります。ご注意!)
私の場合、倒れて打った部位にコブや出血はありましたが、顔全体が腫れ上がったりはしませんでした。そう言えば確か、当時の O 女史の顔にも腫れはなかったように思います。彼女は正直に話してくれていたのです。道ですれ違った女性の顔が、果たして腫れ上がっていたのか分かりませんでした。
人は、他人の日頃の言動から勝手にウソつき、・・・とか決めつけがちです。これこそ色眼鏡を通した “認知のゆがみ” のなせる業、思い込みです。正確な知識と経験の積み重ねがあれば避けられる誤解でしょうが、如何せん限りのある人生、これも仕方ないことかもしれません。精々心懸けるべきは、“ありのままの事実をありのままに受け止め”、その一つひとつを経験知として大切に記憶に留めて置くことでしょうか?
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その当時、彼女は一人息子のことで金銭トラブルを抱えていたらしく、席を離れては物陰で長電話に掛かり切りのことがよくありました。ただならぬ様子から、かなり追い詰められていたようでした。そんな姿から、恐らく暴力沙汰に巻き込まれたものと勝手に思い込んでいたのです。殴られて目に隈は知っていましたが、手も突かずに顔から転ぶ(顔面転倒)など、私の想像力を超えていました。
定年退職後の1年半の間に、私も目に隈のパンダ顔を6回も経験しています。失神による顔面転倒でした。視野が、その都度不意に白黒(モノクロ)状態から真っ暗闇になりました。覚えているのはこれだけで、気が付いたら額や眉の生え際から血を流して倒れていました。意識が戻ったのは直ぐのようでした。大抵が、発泡酒を手にゆったり座って寛いでいたときでした。
顔面転倒を招いた失神は脳の血流減少が直接の原因です。血管迷走神経失神が正式な医学用語で、失神の約20%を占めると言われています。血清Mg濃度の低下が関係するらしいとも言われていますが、私の場合は、大量の発泡酒を飲んでいたことから血清Naの過剰排泄で低Na血症となったせいかもしれません。酒を断ってからは一度も失神はありません。
血管迷走神経失神のキッカケは、アルコールや睡眠薬の使用、強い痛み、排便、ストレスが知られており、他にも咳や飲み込みの場合もあるそうです。アルコールの場合はアルコール癲癇もあり、癲癇ならば意識が戻った際、痙攣による筋肉痛が残るので鑑別診断できるそうです。(癲癇なら命にもかかわります。ご注意!)
私の場合、倒れて打った部位にコブや出血はありましたが、顔全体が腫れ上がったりはしませんでした。そう言えば確か、当時の O 女史の顔にも腫れはなかったように思います。彼女は正直に話してくれていたのです。道ですれ違った女性の顔が、果たして腫れ上がっていたのか分かりませんでした。
人は、他人の日頃の言動から勝手にウソつき、・・・とか決めつけがちです。これこそ色眼鏡を通した “認知のゆがみ” のなせる業、思い込みです。正確な知識と経験の積み重ねがあれば避けられる誤解でしょうが、如何せん限りのある人生、これも仕方ないことかもしれません。精々心懸けるべきは、“ありのままの事実をありのままに受け止め”、その一つひとつを経験知として大切に記憶に留めて置くことでしょうか?
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