A Gasser/Annie Ross
(World Pacific WP-1285)
以前に初リーダー盤の
Annie By Candlelightをアップしたときに、結構盛り上がったアニー・ロスのパシフィックの3枚、改めてZOOTとの共演の「A Gasser」を聴いてみた。World Pacificのオリジナルモノラルと思いますが、はじけるようなアニーのボーカルが全くZOOTのスムースでスィンギーなテナーに負けていないことに気づきます。もちろん、マリガン盤も素晴らしいですが今日はこの「A Gasser」にスポットを当ててみます。
メンバーはAnnie Ross(vo), Zoot Sims(ts), Jim Hal(g), Russ Freeman(p), Monte Budwig(b), Mel Lewis(ds)の五重奏団が主体です。曲によって、ジムの代わりにBilly Bean(g)が、メルにかわってFrank Capp(ds), ズートにかわってBill Perkins(ds)がプレイしています。まず録音が素晴らしく、はじけるボーカル、スウィンギーでソフトだけど圧力を感じるズートのテナー、ビビッドで余韻の少ないラスフリーマンのピアノ、そして甘くとろけるような、一聴、ナイロン弦かと思わせるジムのギター、オリジナルには参ったというところです。A-1のスウィンギーな"Everthing I've Got Belong To You"でもう、ハスキーなアニーとズートの対決の翻弄されること請け合いです。ラスフリーマンも負けていませんよ。バラードの"I Didn't Know About You"のジムのトーンの素晴らしさに酔えます。残念なのは"Lucky So And So"のビル・パーキンスです。決して悪い演奏じゃないですが、ズートの演奏が歌心、イマジネーションが圧倒的で比べられるとかわいそうです。オブリガートからシンガーに絡んでいって一気にソロを吹いて短く簡潔するこのズートのスィングナンバーでの爽快さは他にないと思いますよ。
最近入手したものでWorld Pacificのオリジナルモノラルと思います。日本盤でも十分に味わえた筈でしたが、こんなに強い印象はなかったのが実のところです。アニーとズート全く対等ですね!