67camper's Blog

管理人67camperの空冷VW、北米輸入住宅、キャンプ、ジャズ、自転車、アコギ、カメラ、アメカジに関するログです。

フリップのテナーとソニークリスの共演

2007-09-20 05:06:40 | jazz & vocal
Flip/Flip Phillips and His Orchestra
(Verve MV2659 jp reissue)


 今,ブログ仲間のbassclefさんところに登場したテナー奏者フリップ・フィリップスの記事で話題騒然です。オリジナルキラーのNOTさんを巻き込んでちょっとした盛り上がりをみせていますよね。皆さん,ツボを押さえたコメントの応酬でインターネットジャズ談義に花が咲いてます。お互い顔も知らないのに,結構熱くなっているのは自分だけでしょうか?自分のコメントの中に国内盤のフリップのことを書いたら,早速bassclefさんからSonny Crissが入ったセッションが収録されていると鋭い指摘がありました。本日は国内盤ですがこれをアップしてみます。

 実は,この国内盤、どこかの中古屋さんで安値で買い求めたモノですが,久しく聴いていませんでした。新譜として発売されたのも何となく記憶に残っているのですが他に買いたい奴があって先送りにしておいた物でした。あまり中古屋さんでもみかけないですし「あった時に買っておけ」ぐらいの気持ちで購入しておいた物です。買った時から,日本語解説が有りませんでした。中古国内盤では良くありますよね。それでもって裏面の英語解説を読んでみたのですが,クリスのことは一言だって書かれてません。さすがbassclefさん,良くご存知ですね。副題に"featuring Howard McGhee and Benny Green"とあるように裏英語解説もフリップとこの2人のことしか書いてません。そこでいつも御世話になっているShaolinさんたちが主催する「ようこそ、ジャズ・ディスコグラフィー・プロジェクトへ」を紐解くと録音自体は1947年と1949年の計3回のセッションからなっていることがわかります。A面の5曲目"Swingin' For Julie And Brownie", 6曲目の”By The Lazy River”がクリス入りのセッションです。"Swingin' ~"での熱いアルトは後のクリスそのもので、クリスファンなら是非聴いてみたい演奏かもしれませんね。フリップも勿論良くて,やっぱりコメントで話題になった"My Old Flame”や"But Beautiful"等のバラードや"Drowsy", "Vortex"等もスロー~ミディアムスウィングでいい味を出しています。

 McGheeがはいった47年のセッションではやや音が薄い感じがしますし,国内盤はやはりそれなりなのかも知れませんね。オリジナルカバーを見たことがないのですが本当にこのカバーなんでしょうかねぇ?

翳のあるサザンのボーカル

2007-09-19 06:16:48 | jazz & vocal
Warm, Intimate Songs In The Jeri Southern Style/Jeri Southern
(Decca DL5531)

 今日は久々に10インチボーカルを聴いてみよう。10インチ盤は,当然ながら収録曲は短いですよね。インスト物にも当然たくさんの10インチの名盤がありますが,片面3曲前後の収録曲で構成されるとやはりボーカルものが最適だと思います。10インチのカバーのノスタルジックな魅力も,ひと世代前の時代を反映し12インチを凌駕していると思われ,ジャズ批評誌などでも取り上げられていましたね。自分も所有枚数は多くないですが,いくつか10インチ盤をすでにアップしています。今回はボーカルものでちょっと翳がありハスキーな歌唱がいいジェリ・サザンをアップします。

 バッキングはDave Barbour Trioです。ジェリはピアノを最初に学んだだけあり,弾き語りでも実力を発揮しますが,このアルバムでは弾いてないように思います。A-1の"Miss Johnson Phoned Again Today"から彼女の翳がありアルバムタイトルとは裏腹にややIcyにも聞こえる彼女のハスキーボイスに魅了されます。他にも"The Very Thought Of You", "Cabin", "Mad About The Boy", "Ev'rytime We Say Goodbye"など渋い選曲も魅力です。そして何と言ってもこのパープル系のカバーの素晴らしさには脱帽です。

 所有盤はDeccaのブラックラベル,シルバーロゴのオリジナル盤です。有名なサザンスタイルも良いですがこの歌唱,カバーも捨て難いですね。

テナー奏者としてのゴルソン

2007-09-18 00:04:57 | jazz & vocal
Take A Number From 1 to 10/Benny Golson
(Argo LP681)


 有名なゴルソンハーモニーで最盛期のジャズメッセンジャーズ、ジャズテットの屋台骨となった分厚いアレンジ,あるいは音楽監督の仕事で注目されることが多いベニー・ゴルソンですが,彼のテナープレイにスポットがあたることは比較的少なく軽視される傾向に有るのではと推測いたします。本日アップのこのアルバムをご存知でしょうか?

 とても面白い構成のアルバムです。A面6曲,B面4曲でA-1の"You're My Thrill"のゴルソンのソロプレイから、A-2の"My Heart Belongs To Daddy"のゴルソンとTommy Williams(b)のデュオとトラックごとに楽器を一つづつ増やして行き最後のB-4(10曲目)でテンテットとなる構成です。増やして行くプレイヤーもA-3( Albert Heath:ds), A-4(Cedar Walton:p), A-5(Freddie Hubbard:tp), A-6(Curtis Fuller:tb), B-1(Sahib Shihab:bs), 次のオクテットのB-2からフロントメンバーがかわりGolson, Nick Travis(tp), Hal McKusick(as), Sol Schlinger(bs), Bill Elton(tb), Willie Ruff(frh)となりピアノレスとなります。B-3のノネット(Bernie Grow:tp), B-4のテンテット(Art Farmer:tp)と極めて多彩です。策を弄しすぎたと言われても仕方がない構成ですが,ゴルソンディレクターらしい発想ですよね。この構成力に耳が行きやすいですが,ソロからSahib Shihabの加わるセプテットまでの演奏は各自のソロが素晴らしく聴きモノですよ。特に,前述のA-1.2のソロとデュオ、ホーキンス,ウェブスターばりのゴルソンのサブトーンをまじえた豊かな表現力が最高です。もしお聴きになっていなければトライしてみてください。

 所有盤はアーゴのモノラルオリジナルでグレイのセンターラベルです。☎のダイアルを模した,美しいコーティングカバーもいかしていますね。

このバチーダを聴いてくれ!

2007-09-17 00:05:54 | jazz & vocal
Joao Gilberto/Joao Gilberto
(Polydor 2451 037)


 高知も九州の西を通る台風の影響なのは,時折暴風まじりの激しい雨が降っています。blog仲間のmono-monoさんが激しい雨が降る時に聴くアルバムなんてタイトルで第3番目に挙げいていたのがこの3月の雨(水)(Aguas De Marco)です。たまたまブラジル産のオリジナルポリドール盤をゲットしたのでアップしますね。

 邦題は「3月の水」ですが、実際はA-1にこの曲名が記載されているだけで,貧弱なブラジル製のカバー、センターレーベルのどこにもアルバムタイトルとしては記載されていません。ズバリタイトルは「Joao Gilberto」だけなんです。そして激しい雨は何も3月に限りません。全編を通じて彼のギター(おそらくDi Georgioだろう!そうであって欲しい)から繰り出される強烈なビート(バチーダ)が激しい雨のように聞こえるのだろうと思う。ジョアンの初期の名作は間違いなく、やはりblog仲間のbassclefさんがアップしておられるオデオンの3枚だろうと思いますが、後期のアルバムでは断然これですね。73年の録音と言いますから,日本で言うとかぐや姫の神田川が流行った年ですね。日本とブラジルの国民性の違いを感じますね(笑)。さて,このバチーダが全編に溢れたアルバムは、ゲッツ/ジルベルトで見せたジョアンの気だるく甘いボーカルを聴くと言うよりは,パーカッシブなギターを聴くアルバムと思います。ある解説で「bass奏者は不明と書いた日本語ライナーがあったと記載されるほどギターのベースラインが素晴らしい。」、即ちベースはおらず,ソニー・カー(Sonny Carr)のブラシだけを相手にこれだけのビート感がでるバチーダの凄さが強調されています。このバチーダに歌詞が乗った感じのボーカルでスキャット(ハミング?)だけの曲なども見られます。A-1の"Aguas De Marco"が勿論有名ですが,オーラスの当時妻であったミウーシャ(Miucha)とのデュオの"Izaura"は息をのむほど美しく,もう一つの聴きモノと思います。

 mono-monoさんが素晴らしいようだとログに書いていたオリジの録音ですが,CD自体を聴いてないので直接比較は出来ないのですが,ギターのサウンドの素晴らしさとブラシの切れが最高です。上記で”ベース奏者はいない!”と書いたとおり、確かにカバーにベース奏者の名はカバーには記載されてないのですが,自分のタコ耳にはどうもベースがいるように聞こえるところがあるのですけどね・・・。

あまり話題にのぼらないケリーのBN盤

2007-09-16 00:33:43 | jazz & vocal
Piano Interpretations by Wynton Kelly/Wynton Kelly
(Blue Note 5025)

 強烈なスウィング感,3連符を駆使したノリはケリーのピアノの聴いたとき誰もが感じる,そして彼が最も愛されるピアノプレイヤーとされる所以ですよね。一方,10インチのブルーノート盤は有名なアルバムではありますが、あまり話題にのぼることはありませんよね。ここで聴かれるケリーは、いつもの強烈なノリを押さえ気味にピアニスティックな魅力溢れるプレイを展開しています。この時代がこう言うプレイスタイルだったのか,あるいは意図的にいつものノリを押さえ込んだプレイに終始したのか知る由もありません。本日はこの彼の10インチリーダー盤をアップしますね。

 本アルバムを録音した頃,ケリーはおそらくディジー・ガレスピーのバンドにいたのでしょうが,それ以前はダイナ・ワシントンの専属ピアニストであったこともありますよね。リバーサイド以降の輝かしくもあまりにも短すぎたケリー時代の到来を予見させるかのようなプレイの萌芽もみられますが、歌伴の経験をいかしたスローナンバーでの美しいピアニスティックな魅力がたまりません。A面の"Cherokee"~"Crazy He Calls Me"~"Blue Moon"~"Born To Be Blue"、そしてB面トップのchelestaを思わせるような"Moonlight In Vermont", 最後の"Goodbye"と選曲がそう言ったピアニスティックのプレイにさせたのかも知れません。一方,B-2のスウィンギーな"There Will Never Be Another You"とB-3のラテンフレイバーの"I've Found A New Baby"が後のプレイを予感させます。メンバーはFranklin Skeeter(b)とLee Abrams(ds)のトリオで"Blue Moon", "Born To Be Blue"で名手Oscar PettifordがSkeeterにかわってベースを務めます。ギル・メレのカバーも秀逸ですよね。

 レナード・フェザーの解説によれば、11才のプロデビュー時,ケリーは電話帳に座ってプレイしていたといいます。このBN盤はそれから約10年を経過した21才の進化形のケリーを捉えた貴重な記録です。10年前ぐらいでしょうか?国内盤でBNの10インチがまとめて再発されましたよね。その前はケニー・ドリューの10インチとのカップリングで出たこともあったと記憶しています。所有盤はいわゆるBlue NoteのUA盤10インチです。国内盤が出る前には,このUAの10インチも希少で入手困難でした。当時は聴きたくてたまらなかったアルバムでしたよね~!

やっぱりこの廉価盤ビリー・テイラーが好きだ!

2007-09-15 04:34:45 | jazz & vocal
Billy Taylor Trio At Town Hall/Billy Taylor
(Prestige 7093 jp.reissue)

 毎日アップしているとオリジナル盤やレア盤はやっぱり底をついてきますね(笑)。ジャズの聴きはじめの頃は,オリジナルなんて存在は知っていた物の高嶺の花であり,自分の安いシスコンでならすのなら廉価盤,中古盤で充分でした。少ない軍資金で一枚でも多くのアルバムを手に入れることが最重要ポイントでしたね。学生時代を過ごした,新潟には当時満足な中古レコードショップはなくレコードは新譜,再発で買うしかありませんでした。東京に行くと中古レコードショップをハシゴして安い中古盤を厳選して買っていたのを思い出します。プレステッジはリバーサイドとともにビクター音産から¥2200で店頭に並んでいました。ブルーノートはキングから2300でVERVEはポリドールから同じく2300だったと思います。コンテンポラリーは¥1500の廉価盤が主流で,BNの廉価盤は¥1800,一部のVERVE盤も¥1500でしたね。一方,プレステッジの廉価盤1500と言うのは画期的でした。多くの廉価盤が超有名盤の再発だったのに比べプレステッジの再発は渋いタイトルばかりで聴いたことがないモノばかりでしたね。勿論,本日アップのこのビリー・テイラーも初めて聴くアルバムでした。朱色基調のバックに白色ロゴとモノクロ写真のこのアルバムのカバーに惹かれた記憶がありますね。

 録音は1954年,タウンホールのステージ演奏です。彼の演奏としてはシカゴ・ロンドンハウスのモノと並んで有名なアルバムですよね。メンバーはレギュラートリオとも言うべきBilly Taylor(p), Earl May(b), Percy Brice(ds)です。A面が"Sweet Georgia Brown", "Theodora", "A Foggy Day"の3曲, B面が"How High The Moon", "I'll Remember April"の2曲と言う構成です。特に,このB面は良く聴きましたね。上記のように,聴きはじめはやはりこんなスタンダードに取り組んだリラックスしたピアノトリオ演奏に惹きつけられたモノです。勿論,今も愛聴しているピアノトリオですし,自分にとってテイラーの中でも特に思い入れのあるアルバムですね。

 自分のレコード棚にはこんな国内盤の再発廉価盤が結構あります。少ない軍資金で大事に聴いていた学生時代の想い出が詰まったアルバムに以外と廉価盤が多いのは自分だけでしょうか?

パティ・ペイジの対をなすアルバム

2007-09-14 02:41:34 | jazz & vocal
The West Side/Patti Page
(EmArcy MG36136)


 テネシーワルツで全世界的な知名度をもつポピュラーシンガー,Patti Pageのなかで最もジャジーで好きなアルバムがこれです。当初はこのWEST SIDEの意味はウェストコーストと解釈していましたが、どうもそうではなくNYのウェストサイドの意味らしい。というのも参加ミュージシャンがPete Candoli, Don Fagerquist(tp), Larry Bunker(vib), Alvin Stroller(ds), Red Mitchell(b)の名がクレジットされていたからに他なりません。後にこのアルバムと対をなす「The East Side」(下に掲載)を入手してハッと気がついたわけです。West Sideではインティメートなジャジーな雰囲気なスタンダード,East Sideでは古いBroadway Hitsを集めたスタンダード集となっており、ともにピート・ルゴロのアレンジ,指揮での歌唱となっており、彼女の最高傑作と考えても良いのではとおもいます。艶のある高音,低音部でのハスキーな唄い回しで、ときにうまいフェイクを見せる歌唱はパワフルではないですが,ボーカルファンには堪らない魅力がありますね。


The East Side/Patti Page
(EmArcy MG36116)


 West Sideでは、とくにA-1の"No Moon At All"とB-2の"Gone With The Wind"が特に素晴らしく,ルゴロのマリガン風のアレンジが聴きモノです。また"No Moon~"は個人的に大好きな曲で、マリガン風のアレンジからパティのボーカルが出るくだりにはゾクゾクしますよ!他にも"I'm Glad There Is You", 'Nice Work If You Can Get It", "The Masquerade Is Over", "Lullaby In Rhythm"などスタンダード集らしい選曲も素晴らしいです。一方,East SideではA-3の"Detour Ahead"が白眉です。この曲も,自分が特に思い入れのある曲ですが,Mary Ann McCallIrene Kralの名唱に優るとも劣らない好唱だと思います。

 所有盤は,ともにマーキュリーロゴのブルーラベルの再発ですが,イーストでは「Park Ave.」、ウェストでは「西52丁目,一方通行」のストリートサインがかかった街灯を配した対をなすカバーも最高です。CDでは2枚組ですかねぇ?ぜひLPで2枚揃えてほしいアルバムですね。

イージーリスニングジャズ

2007-09-13 00:07:42 | jazz & vocal
Latin Escapade/George Shearing
(Capitol T737)


 70年代以降,ジャズ界を席巻したいわゆるクロスオーバー、フュージョンの台頭した時代はメインストリームジャズ愛好家にとっては全く氷河期とも言える一時代でもあった。電化され,洗練されたファッショナブルなサウンドはジャズ喫茶の衰退とカフェバーの台頭と言う「風が吹いたら桶屋が儲かる」的な効果を生んだのかも知れません。(強引すぎるかな?)こう言う70年代のイージーリスニングは、電化されているのが特徴ですが,アコースティックなイージーリスニング的なジャズはそれ以前に萌芽がみられていましたよね。一つは,ウェス・モンゴメリーを中心に録音されていったA&M, CTIの一連の作品群ですし,更に過去をたどって行くとキャピトルのジョージ・シアリングのラテンジャズあたりに行きつくのかもしれません。総じて,このシアリングの作品群は美しい女性がカバーに捉えられており視覚的には素晴らしいモノがありますね。本日のアップはそんな作品群の一枚です。

 演奏は,軽めの聞き流しジャズであり,真剣に対峙する必要は全くありません。メンバーはGeorge Shearing(p), Emil Richards(vib), Toots Thielemans(g), Al McKibbon(b), Percy Brice(ds)の五重奏団にさまざまなサウンドを叩きだすArmando Peraza(conga)が加わっています。 "Perfidia","Mambo with Me","Old Devil Moon","Cuban Love Song", "Poodle Mambo"等の聴きやすいメロディと美しい女性をあしらったカバー,これだけで充分ですね。

 所有盤は,キャピトル,ターコイズラベルのモノラルオリジナル盤です。たまにはこう言う軽めのインスト物も良いですね。

後期マクリーンの傑作

2007-09-12 04:01:54 | jazz & vocal
Demon's Dance/Jackie McLean
(Blue Note BST84345)


 アルトサックス界の話になると,カーター,ホッジズ,ウィリー・スミス系を除いたハードバッパーを中心に聴いて行くと何れのプレイヤーにもパーカーの影はつきまとっていますよね。初期のマクリーンも勿論そうですよね。当時の泣きのマクリーン節はアート・ペッペーと並び日本でも最も人気のあるアルトプレーヤーと言っても過言ではないと思います。マクリーンに関して言うと、フリーキーなトーンをまじえてプレーし始めたワンステップビヨンド以降のマクリーン激しいプレイもとても魅力的だと感じています。この辺りのブルーノートの諸作はどれも粒ぞろいの好演です。本日はこの後期ブルーノートの最後の名盤と言うべき"Demon's Dance"をアップしますね。

 このアルバムの素晴らしいところはA-1タイトル曲をはじめ根底に流れるアバンギャルドなプレイ、A-2の美しいトーンで迫るバラード"Toyland"、オマスズの"Play Fiddle Play”とタイトルは違いますが同じ曲と思われるB-1の"Sweet Love Of Mine"が収録されている点だろうと思います。"Sweet Love Of Mine"については当のオマスズが「自分のほうが先だった!」とコメントしていたと言う記事ををどこかで読んだ記憶があります。皆さんもこの曲には相当に思い入れがあるのではないでしょうか?67年の録音でメンバーも当時の俊英ぞろいです。ホレスのグループで活躍したWoody Shaw(flh, tp)を始め, Lamont Johnson(p), Scott Holt(b), そしてマイルスバンドでも活躍したJack DeJohnette(ds)の五重奏団です。特にジャックはマイルスバンドでトニー・ウィリアムスの後釜をつとめますが,考えてみればトニーの発掘もマクリーンであったことを考えますとこの起用には因縁めいたものも感じますね。

 所有盤は,リバティ,ステレオ盤です。ブラックマジック的なカバーは敬遠されがちですが,後期マクリーンでは絶対はずせないアルバムと思います。

ここにもあったぞ!華麗なるケリー節

2007-09-11 05:29:19 | jazz & vocal
Dizzy Gillespie and Stuff Smith
(Verve MGV-8214)


 ジャズバイオリンとなると,ステファン・グラッペリやレイ・ナンスの名前が上がりますが、50年代後半グランツが積極的に売り出していたスタッフ・スミスの名前も忘れることができませんね。このクラシック畑の楽器で、強烈なスウィング感を醸し出す彼のプレイについては以前”SWINGIN' VIOLIN”にアップしています。ここではVERVEのハウスリズムセクションとも思えるピーターソン、ケッセルのリズムセクションを相手に快演を聴かせてくれますが、本日はフロントにトランペットの重鎮ガレスピーを加え,ウィントン・ケリーの楽しいピアノが聴ける快演盤をアップしますね。

 メンバーはDizzy Gillespie(tp), Stuff Smith(vln), Wynton Kelly(p), Paul West(b), J.C.Heard(ds)の5重奏団でB面最後の"Oh, Lady Be Good"ではGordon Familyのボーカルを加えて録音されています。A-1の中東ムード漂う"Rio Pakistan"はGillespieのオリジナルでエキゾチックな雰囲気にスミスのバイオリンがうまくフィットした佳曲です。A-2の"It's Only A Paper Moon"ではこれは真骨頂とも言えるケリーのピアノが聴けるもっとも好きなトラックです。B面の"Purple Sounds"はマイナーなテーマが美しく,ガレスピーのハイノートとスミスのバイオリンのコントラストがいいですね。こう言ったマイナーテーマのミディアムスウィング曲はケリーは最も得意な曲調で当然ながらケリー節が最高です。B-2の"Russian Lullaby"のロマンチシズム溢れるバイオリンのテーマが泣かせます。B-3のGordon Familyのボーカルコーラスをフィーチャーした"Oh, Lady Be Good"は蛇足ですがご愛嬌ですね。

  決して有名盤ではないですが、こんな企画でアルバムを作った当時のヴァーブの余裕を感じさせるアルバムですね。こんなアルバムでもケリー節が聴け、当時のケリーの人気が伺い知れます。ケリーファンには見逃せないですよね。所有盤はトランぺッターラベルのモノラル盤です。