今日,講義内でお話したことなんですが,「ロースクール生は,何故こうも記憶しないのか」ということについてです。
その原因は,恐らくロースクールでの生活における「悪習」にあるのではないか,と思っています。ローの予習課題は中々に大変で,判例や学説を色々と調べて講義に臨むことになると思います。講義内で当てられて答えるわけですが,その際,資料は見放題です。予習段階でまとめたレジュメやら,調査官解説のコピーやらコンメンタールやら何でもありです。しかも,口頭でのやりとりなので,誘導やらヒントが与えられることもあります。条文も見放題。覚えていなくても,資料さえ見れば,誰でもいっぱしの事が言える。しかしそれは「身についた知識」ではない。
このようにして,授業をやり過ごしていく生活を2,3年に渡ってしていくことになるので,当然,このようなスタイルが「普通」になってきます。予習段階では,物理的にも調べるので一杯一杯ですから,事前に頭に叩き込んで講義に望む人は皆無に近いのではないでしょうか。しかも終われば次回の課題が待っています。その繰り返し。
このプロセスに於いては,「記憶する」という過程がスッポリ抜け落ちています。右から左へ多量の情報が日々流れていくだけ。頭には何も残らない。極論すればそんなイメージです。これが受験勉強上の「悪い癖」となっているのではないか,と思います。如何でしょうか。